製造業のDX戦略②データ活用でコストダウンを進める時の目指す姿

製造業のDX戦略②データ活用でコストダウンを進める時の目指す姿

製造現場は常にコストダウンを含む
進化の継続が求めらます

そりゃそうですよね!

お客様が自由に取引先を選択できて
ライバル会社が努力を続けるかぎり
我々もしっかり成長しないと、です

 
しかしその一方で我々中小製造業は
多品種・小ロット・短納期が求められ
それが当たり前になった状況では
従来からのコストダウン手法や
改善手法が使えなくなってきました

だからこそDX戦略として
新たなコストダウン手法や
新しい改善手法を進めることで
コストダウンと改善の変革を
確実に進めていく必要があります

 
そこで今回は中小製造業のDX戦略の
3つの目指す姿を紹介することで
どんなメリットがあるのかを理解し
現場改革を進めて欲しいと考えます

今回も読み終えるまでの少しの時間
お付き合いいただければ幸いです

 

目次

IoTのデータ活用で実現する新しいコストダウンと改善の手法

まずDX戦略として必要になるのは
なんと言ってもデータです

実際にDXが進んでいない工場では
コストダウンや改善を進めるのに
長い時間と労力をかけてデータを
収集・加工・分析するために使います

 
つまりそのプロセスはこれまで
見えにくかった、また見えなかった
問題を全メンバーの前で共有

まず関わる全員が問題があることを
認識・共有することから始めます

これを自動的に収集できる仕組みが
IoTという手段で実装できるのです

 
これは使わない手はありませんよね

 

IoTが実現する新しいコストダウン

原価管理には4つの目的があります

①決算書の製造原価算定のため
②経営計画または予算統制のため
③見積のための製造原価想定のため
④コストダウン=進化を実現するため

 
このコストダウンの原価管理は
『個別実績原価管理』がほとんど

つまり受注生産品での実績として
算定されることは行われてきました

しかし見込生産しかもロット単位が
多くなった現代の製造現場では
この実績原価を計算することって
コストダウン活動でも開始しないと
ほとんど機会がないのが現実です

 
つまり普段は問題が問題であると
わからない世界
で仕事をしています

見えないモノは幽霊のごとく
存在すら認めてもらえません

だから対策が進みにくいんですね

 
ところがこのIoTという手段は
○常にデータを取得し続けること
○それを加工して表示すること
 に
よって常に問題を見える化できる

しかもリアルタイムで良いか悪いか
判断できるため手元で制御可能

新時代のコストダウンは後で分析し
こうやれば、ああやれば、ではなく
その場の感覚で実現できるものです

 
これってすごい進化ですよね!

 

IoTが実現する新しい改善

従来では難しかったムリ・ムダ・ムラ
の3ムの改善が進められます

ムリ・ムラ・ムダ=3ムとは
ムリ=無理難題:飛込みや割込み等
ムラ=作業や原価のバラツキのこと
ムダ=時間や材料等の損失のこと

 
たとえばどんな改善につながるのか

3つの目指す姿を紹介することで
ご理解いただければと思います

 

DXで目指す姿1:作業工数を自動取得してデータ活用

たとえば受注生産の見積詳細のうち
材料や部品などの調達原価はほぼ
見積通りに調達できると考えます

しかし作業工数においては
見積工数と実績工数が大きく違う
なんてことはよくあることです

 
実際に赤字を発生させるほとんどが
作業工数の差異によることが多く
これをコントロールする必要がある

だからIoTという手段を実装して
これら工数をリアルタイムに把握し
すぐさま改善を進めたいわけです

 

Iotによる工数原価管理のしくみ

バーコードリーダやタブレットで
作業着手から作業終了までの時間の
標準工数を見えるようにします

そして着工と同時に
ストップウォッチを稼働させて
終了と同時にストップして記録

まるでゲーム感覚で楽しみながら
自分の作業速度の向上を攻略します

 
もし目標工数をオーバーした場合は
作業終了時に改善カードを自動発行

作業者はなぜオーバーしたのか?と
オーバーしないための対策を記入し
提出してもらうことを徹底します

 
また作業中断が必要となった時は
画面タッチでタイムカウントを中断

その理由を登録しておくことで
中断理由のパレート図を作成して
後で確認させることも可能です

 
これらのことによって
実際の作業工数、中断時間と理由、
さらに対策の効果などのデータを
獲得することができる
ので
その相関を分析することも可能

可能性が広がっていきますよね!

 

DXで目指す姿2:実績原価を自動計算してコストダウン

これまで難しかったロット単位での
実績原価計算を自動化させることで
コストダウンを図る仕組みづくりを
進めることができます

実績原価は以下の4つの原単位に
わけることができます

実績原価における4つの原単位
①材料使用量
②作業工数時間
③設備稼働時間
④その他使用量

 
上記の③の設備稼働時間
活用した設備の購入費を
使われた設備の時間分だけ
原価に加算させるためのもの

のその他使用量
そのロットに使われた電力使用量や
梱包資材など、その他の経費のうち
最も影響度が高い項目を選択します

 

Iotによる実績原価計算のしくみ

4つの原単位を自動取得すること
加えてそれを加工して表示すること
で実績原価の自動計算をしくみ化
することを狙います

 

材料使用量の自動取得

重量の場合は秤量器から
長さの場合はエンコーダから
個数の場合は個数カウンタから
自動取得する仕組みを実装します

 

作業工数時間の自動取得

作業者名は設備への着任と解任を
名札のRFID化やバーコード活用で
自動登録

ロット番号は作業指示データから
画面の確認入力で半自動登録

作業開始と終了時刻は設備の信号
あるいはタッチ画面で作業者入力

などを組み合わせてできるだけ
自動登録できるよう工夫します

 

設備稼働時間の自動取得

設備稼働はロットの段取開始から
後始末が完了した時間までを
設備信号あるいはタッチセンサ等の
作業者入力などで記録します

 

その他使用量の自動取得

たとえば電力使用量である場合は
積算電力量計のパルスから取得

梱包資材などの場合は材料使用量と
同様なしくみを検討します

 

実績原価把握によるコストダウン

これらの仕組みによって実績原価を
把握することが可能になります

そして目標とする原単位を
見積内容や改善方針に従って設定

それらと比較できる画面を表示して
すぐに進捗を確認して対策できる

そんな環境を整備します

 
また実績原価のバラツキを確認し
なにが原因で変動しているのかを
後で分析ができるようになります

 
これはデータを収集していないと
わからないことですよね

このように問題を明らかにすれば
新たな問題が見える化します

そうなればあとは愚直に
改善を進めるだけ、ですよね

 

DXで目指す姿3:設備稼働のデータ活用で設備総合効率の向上を図る

作業時間のムダ取りに加えて
コストダウンで検討すべき方向性は
設備稼働の徹底した効率化です

その状態を表す代表的な指標として
『設備総合効率』というものがあり
その計算式は以下のとおりです

設備総合効率の計算式
設備総合効率=時間稼働率×性能稼働率×良品率
 
時間稼働率=稼働時間/就業時間
性能稼働率=実用速度/最高性能速度
良品率=良品数/生産数

この設備総合効率を定義する
時間稼働率性能稼働率良品率
3つの指標を自動取得すること
それを加工して表示すること、で
リアルタイムで目視可能になります

ではどのような仕組みで自動取得が
可能になるのか解説してみましょう

 

Iotによる設備総合効率向上へのしくみ

まず時間稼働率ですが前述の設備の
着工-終了の入力のしくみにより
設備稼働時間が把握できます

また設備が稼働していない時間も
非稼働の理由を入力することで
後日にて分析が可能となります

 
一方で設備の出来高の積算機能で
生産数をカウントすると同時に
その間隔時間を計測することで
製品1個当りの実用速度を把握

またその実用速度と最高性能速度で
性能稼働率を算出可能となります

 
そして品質検査で不良発生があれば
内容別の置き場を設置したうえで
入口に通過センターを導入すれば
不良内容別の不良数を把握可能

そうなれば不良率もわかりますよね

 

DXでコストダウンを進める時の目指す姿まとめ

この他にもリードタイム短縮や
あらゆるトラブル発生も工夫次第で
データ化することが可能で

そのデータ活用するために加工し
問題を見える化することが可能です

 
ですが大前提としてやはり
改善が進む組織体制ができてないと
そのデータ活用はできません

まず変革の手段であるDX戦略を
検討しはじめる前段取りとして
3S活動やQC活動を進めることで
改善が普通に進むチームづくりを
進めることが大切です

ぜひこれを最後まで読んだあなたから
組織改革に取り組む空気づくりを
スタートしていただければと願います

 

 

それでは今日はここまでです

今後とも宜しくお付き合い下さい☆

長文乱文を最後まで読んでくださり

いつもありがとうございます♪

すべては御社の発展のために
すべてはあなたの笑顔のために

 

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この記事を書いた人

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。10年間で600社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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