企画開発段階での品質保証体制について

企画開発段階での品質保証体制について

QC活動の進め方をお話するうえで
品質保証という概念の理解は重要です

そのため品質保証について解説をする
当シリーズを前回から開始しました

【参考記事】品質保証とは簡単に言えばどんな仕事なのか?

その中で品質保証には
3つのアプローチ方向があり
製造プロセスを安定させるために
商品の企画開発からの取り組みへと
進化を遂げていることを説明しました

それはいったいどういう進化なのか
具体的にどんな手法が使われているか
それで品質は安定化するのか?

今回はそんな企画開発段階で扱われる
主要な品質保証の取り組みについて
ご紹介をしたいと思います

この記事を読む時間の3分程度
お付き合いいただくことで
品質管理の概要で少しでも
ご理解いただければ幸いです

 

目次

企画開発段階からの品質保証

過去の製造業の品質保証体制は
出荷前検査や交換制度などの
事後的対応のみでした

そのためつくるプロセスを管理して
不具合品を極力出さない工夫を
来る日も来る日も、繰り返し繰り返し
積み重ねてきました

それならばさらにその上流
企画開発段階からも品質保証機能を
整えるのが現代の考え方です

その手法には2つの方向性があります
1つは守り、もう1つは攻めです

【企画開発による保証2つの方向性】
方向性1:トラブル予測や未然防止
方向性2:顧客ニーズの把握と反映

この方向性に分けて
企画開発段階の品質保証の取り組みを
紹介してまいりましょう

 

方向性1:トラブル予測や未然防止

トラブルの予測、そして未然防止は
もちろんプロセス管理の中でも
取り組まれています

しかし一方でつくり方が決まっている
状態での改善には限界があるため
つくり方そのものの検討段階から
トラブルが生まれないよう未然防止の
仕組みを取り入れていこうと
主に以下の4つの手法が使われます

【トラブル予測や未然防止のための手法】
手法1:デザインレビュー(DR)
手法2:FMEA(Failure Mode and Effects Analysis):故障モード影響解析手法
手法3:FTA(Fault Tree Analysis):故障の木解析手法
手法4:QAネットワーク(保証の網)

ではこの手法について
お話してまいります

 

手法1:デザインレビュー(DR)

開発・設計段階での品質の不具合を
審議することを目的として行う
設計審査のことをデザインレビュー
(Design Review:略称DR)と
呼びます

性能、機能、信頼性、コスト、納期等
設計から販売までの品質保証体制が
審査対象です

企画→構想設計→詳細設計→試作→量産

上記の5つのプロセスの移行時に
DR1:企画品質レビュー
DR2:構想設計レビュー
DR3:詳細設計レビュー
DR4:試作評価レビュー を
行うなどで体系化しています

参加者は設計部門はもちろん
営業、製造など関連する部門も
参加してよってたかって確認します

審査会というより意見を募る目的が
強いですね

 

手法2:FMEA(Failure Mode and Effects Analysis):故障モード影響解析手法

システムやプロセスの
構成要素で起こるトラブルを予測し
その原因や影響を事前に解析・評価

そのことによって設計上の問題的を
抽出して事前対策を行うことで
トラブルの未然防止を図る手法です

故障モードの故障は
失敗、不履行、断線、短絡、折損、
摩耗、特性の劣化などと定義しており
モードは
方法、方式、様式、形態など
を意味します

この手法は以下の2つの機能
FM(Failure Mode)故障モード
EA(Effects Analysis)影響解析
に分けて捉えれば分かりやすいです

FM:故障や不具合を列挙して抽出
EA:故障や不具合を評価して分析

さまざまなツールを駆使しながら
故障モードの事前予測、そして
影響が大きいことから順番に
対策・改善を繰り返すことで
品質の安定化を狙う手法です

 

手法3:FTA(Fault Tree Analysis):故障の木解析手法

信頼性または安全性を重視するうえで
その発生が好ましくない現象を
『トップ事象』として取り上げて
要因を中間事象として連鎖的に展開し
その因果関係を樹木型に表す手法です

そのことによって発生経路や原因
発生確率を解析していきます

樹木型に表した図はFT図と呼ばれ
構造的には特性要因図と少し似てます

ただし『ブール代数』という理論を
活用して要因の重複をなくす
また『カットセット』という考え方で
発生確率で優先順位を付けるところが
特性要因図と違ってとても論理です

ただし未来を予測するパワーが必須
また手法が特殊なので慣れが必要です

 

手法4:QAネットワーク(保証の網)

QA:Quality Assurance Network
品質保証網品とも呼ばれます

トヨタ自動車とその系列会社が
活用している未然防止のための
ひとつの手法ですね

多くは生産準備・工程設計段階で
実施されています

現在実施している発生防止および
流出防止策を二次元の表にまとめて
品質保証レベルを検証する手法です

不具合を横軸に、工程を縦軸に表し
その防止策水準を◯✕△等で評価
するシンプルな方法

漏れがないよう確認します

 

方向性2:顧客ニーズの把握と反映

これまで守りの手法を中心に
お話しを進めてきましたが
積極的に顧客ニーズと品質を
分析していく手法もあります

 

QFD(Quality Function Deployment):品質機能展開

新製品開発時に顧客ニーズを
しっかり把握するための方法です

なんとJISにも定義されてある
標準的に使われている方法論です

品質表と呼ばれる表を作成することで
要求品質と品質特性とを細かく整理し
互いの関係を評価することで
品質要素の重要性を見える化します

つまり設計段階で何を管理すべきかを
明らかにできる手法です

 

企画開発段階での品質保証体制についてとめ

さていくつかの手法を紹介しました

我が国の発展に寄与した製造業
その大きな原因はこのような手法を
しっかり運用してきた歴史にあります

真面目にコツコツと品質を安定させる

本当の顧客満足とはこれに尽きます

もし御社がまだ取り組んでいないなら
ぜひQC活動を本気で動かして
従業員全員がこの重要性を認識して
お仕事に邁進する体制づくりを
進めていただければと考えます

 

 

それでは今日はここまでです
今後ともよろしくお付き合いくださいませ☆

長文・乱文を最後まで読んでくださり
いつもありがとうございます♪

すべては御社の発展のために
すべてはあなたの笑顔のために

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この記事を書いた人

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。10年間で600社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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