小集団活動とは何か?小集団活動の目的と進め方について

小集団活動とは何か?小集団活動の目的と進め方について

製造業に属する方ならば一度は
『小集団活動』というキーワードを
聴いたことがあるかもしれません

一般的にはQC活動やQCサークルなど
特定の活動を指す表現として
使われることも多いのですが
本質的にはちょっと違うんですよね

 
そのため今回は『小集団活動』
取り上げて簡単に説明することで
皆さまの職場改善の理解を進める
手助けになればとキーボードを
カタカタ叩いています、笑

QC活動やQCサークルとの違いにも
触れていきたいと思っています

今回も読み終えるまでのお時間
しばらくお付き合いください

 

目次

小集団活動とは

小集団活動とは何か?
いつもは辞書検索なんですが
Wikipedia表現がわかりやすいので
今回はこちらを紹介します

 

小集団活動(読み方)しょうしゅうだんかつどう


 小集団活動とは経営学用語の一つで、従業員の経営参加の方法の一つであり、企業内で少数の従業員が集まったグループを結成し、そのグループ単位で共同活動を行うことを目的として運営するものである。

小集団活動では、従業員が自主的に参加するということとテーマは設けないということが特徴で、少人数のメンバーが対面してコミュニケーションをとることで、継続的に共同活動を行うことで相互需要関係を深めていく。小集団活動を行うことでのメリットとしては、従業員のチームワークによる生産性の向上、従業員個人の意見が経営に反映されることで生き甲斐が見出される、小集団の中で自己を振り返ることができ相互啓発が促進されるなどといった事柄が存在する。

当初は生産現場で生産性向上や品質管理を目的として行われてきたが、後には流通業でも行われるようになっている。


出典 フリー百科事典/Wikipedia より

 

ここでキーワードを拾ってみると
・少人数のグループ単位の活動
・従業員が自主的に参加
・チームワークによる生産性の向上
・個人の意見が経営に反映される

の4つで小集団活動における
すべての特徴が表されています

どういうことか?

 

特徴1:少人数のグループ単位の活動

小集団活動は少人数のグループで
行っていく活動です

3s活動は『全員参加』が理想ですが
小集団活動は必須ではありません

その理由は次の特徴にあります

 

特徴2:従業員が自主的に参加

この活動への参加は
従業員の積極性に任されます

だから取り組みテーマは自由です

自分達各々がやろうと思えばやる
やらないと思えばやらない

それは自由なんですよ!

 
ただし、もちろんではありますが
積極的に経営改善に役立とうとする
そういった人材は評価されます

当たり前ですが報酬にも差がでます

やらなかったら減点されるのでなく
やれば加点される

ゲームと同じでわかりやすいルールですよね、笑

 

特徴3:チームワークによる生産性の向上

グループで進めるため編成した
メンバーのチームワークよって
成果が左右されます

つまりチームワーク=組織力向上に
大きく貢献できる取り組みなのです

 
昔の会社運営は一部の優秀なヒトが
多くのヒトを引っ張るスタイルが
主流とされてきましたが
現代ではもう時代おくれですよね

今はどれだけの人数を舞台の上で
輝かせることができるかどうか

 
各々の個人の意識の高さに加えて
その組織的な総合力が求められ
企業競争力の源泉となっています

つまりチームワーク力を高めながら
同時に生産性向上を狙うことが可能

そんな活動だということです

 

特徴4:個人の意見が経営に反映される

最後の特徴は何と言ってもこれ

個人の意見が経営に反映される
そんな機会となっています

 
お客さまからのニーズ、ウォンツ
それに対応すべき社内的な仕組み

その仕組みをより良い方法へと
改善する小集団活動はまさしく
経営活動への参画と言えます

仕事を積極的に楽しむなら
これ以上に機会ってないと思います

 
一方で経営者側にとっても
本来、自分たちがやるべき
課題解決を自主的にやってくれる

こんなに嬉しい取り組みは
ないはずですよね!

その分違う課題にチカラを注げます

 

小集団活動とQC活動やQCサークルとの違い

小集団活動をQC活動やQCサークルと
同じ扱いで語られることも多いです

ですがやはり厳密には
QC活動やQCサークルとは違います

 
QC活動やQCサークルは名前に
QC、つまりQuality Control
品質管理のための活動であることが
表現されています

しかし小集団活動とは品質管理活動
以外のテーマも扱ってOKなんです

 
原価低減や工程改善
工場災害の撲滅や環境対策まで
小集団活動は経営課題であれば
なんでも大丈夫なんです

 
一方でQC活動やQCサークルでは
品質管理以外のテーマを扱っても
まったく大丈夫な空気もあるので
よけいややこしくやっているんです

なのでどちらかというと
QC活動やQCサークルは
小集団活動の類型のひとつだと

そう捉えていただくと正しいです

 

小集団活動の目的について

小集団活動の3つの目的
目的1:経営課題を従業員が直接解決
目的2:個人の意識と組織力の強化
目的3:次世代の活躍人材の育成機会

 
もうすでにだいぶ理解が
進んだかとは思いますが
この小集団活動の目的を改めて
以下の3つに整理していきましょう

 

目的1:経営課題を従業員が直接解決

従業員はどちらかというと
言われたことを粛々とこなす

そういうイメージがついています

 
しかし前述したとおりその状態では
正直、それぞれが持つ個性や特徴を
生かし切ることはできません

 
まだまだ気づいていない経営者は
多いのですが従業員は宝の原石

磨けば磨くほど、育てば育つほど
我が社の成長パワーは高まります

 
それを促す大いなる機会として
この小集団活動の機能を使います

それが1つ目の重要な目的

 

目的2:個人の意識と組織力の強化

2つ目の目的は
個人の意識と組織力の強化です

 

個人の意識強化

通常、イチ従業員は重要な情報から
遮断されていることが多いです

『余計なことは考えなくてもいい』
昔のドラマの頑固なキャラが
怒鳴りつけているのが浮かびますが
現代の作業者の情報処理能力を
なめないでいただきたい

きちっとしっかりした情報を
自ら調べることができるマシーンを
一人一台もっているスマホ時代です

 
自らがやろうと一旦思ったならば
自分で情報を集めて、考えて
最適な行動をとろうとします

その最初のスイッチを入れる
そんな機会になり得ます

 

組織力の強化

そんな個人が集まってくれば
意識の高いヒトの行動を間近で
観察することができるので
さらに個人の意識が高まります

そしてその知見を集めて話し合い
それをまとめる技術を覚えます

 
それぞれの気づきやアイデアから
最適な進め方を導くための方法を
そして体験を得られるわけです

そりゃチームのチカラ=組織力は
日に日に強まっていきます

 

目的3:次世代の活躍人材の育成機会

3つ目の目的は次世代に
活躍できる人材の育成です

『うちには良い人材がいない』
『どこかによい人材はいないか』
そう考える経営者は無責任です

 
そういう組織にしたのは人材育成に
資源を、時間を、お金をかけて
かけてこなかった自身の経営判断

だからこそ今からでもやるべきだと
『ヒトを育てるための機会を創る』

そのための小集団活動の導入を
進める会社が今も増えているのです

 

小集団活動の進め方:5つのステップ

小集団活動の進め方5ステップ
[STEP1]テーマの選定を進める
[STEP2]現状把握と目標設定:ゴールの決定
[STEP3]要因の解析:特性要因図&なぜなぜ分析
[STEP4]対策の検討と実施:重要・緊急マトリクス
[STEP5]標準化と管理の定着

その小集団活動の進め方として
以下に5つのステップで伝えます

 

テーマの選定を進める

まずはテーマを考えて決めます

経営課題にはいろいろあります

 
我が社にはどんな経営課題があり
その解決すべき優先順位はどうか

これまで普通に作業していたヒトは
新しい視点で我が社を観察します

そのうえで最終的に何に取り組むか
参加メンバーが自主的に決めます

 
小集団活動の中でQC活動が多いのは
このテーマ選定に困らないからです

品質問題は多くの職場に溢れていて
多くの作業者が直接触れています

身近な課題として取り上げることも
自然と増えていきますよね

 

現状把握と目標設定:ゴールの決定

取り組みテーマが決まったならば
その現状把握と目標設定を進めます

 

現状把握について

テーマの対象は現在
どのような状態になっているのか?

客観的な事実を調査していきます

 
時にはチェックシートでカウント
時には作業記録を集計して
できるだけ定量的に数字を掴みます

そしてその中から今回の取り組みの
改善効果が図れる数字を
ベースラインとして特定します

 
不良ロスの低減ならば不良率
作業効率の向上ならば作業時間
製品原価抑制ならば原価(円)など
取り組みテーマにふさわしい数字を
決めておきます

 

目標設定について

そしてそのベースラインをいったい
今回の取組みでどの程度改善するか

目標=ゴールを決定します

この時に気を付けることがあります

 
たとえばこの不良率はさんざん
対策を重ねてきているので
あまり改善の余地がないと思い
目標を低く設定することがあります

そうすればあら不思議
このチームは大きな成果を出せず
成長も期待できないでしょう

なぜなら挑戦しないからです
困らないからです
苦しまないからです

 
やはりこの目標はあるべき姿
理想を追い求めるべきです

つまり目標=ゴールは
挑戦的レベルを必須として下さい

 
不良率なら最終的に”0”目標です

だからこそ新たな手段を追い求め
調べて調べて、考えて考えて
みんなでアイデアを振り絞って
やっとつかんだ成果を喜び合う

そんなドラマが
個人意欲を高め、組織の強化を促し
成果を生めるチームへと成長させる

もう、おわかりですよね

 

要因の解析:特性要因図&なぜなぜ分析

到達すべきゴールが決まったら
なぜ困った問題が起こっているのか

その要因を解析することが重要です

 

特性要因図

メンバーそれぞれでなぜの問題が
起こっているか考えに考えて
その思いつく要因を全てメモします

 
そしてそのメモを付箋に書いて
整理してみてほしいのです

その時に活躍するのが特性要因図

詳しくは以下を参照してください

 

なぜなぜ分析

その特性要因図のうえに
全員の気づいた要因がならびます

そして時間があるなら、いえ
できるだけ時間をつくって
そこから要因の深みを増して下さい

つまりなぜなぜ分析を進めます

詳しくは以下を参照してください


 

全員の気づきで考えられるだけの
要因を広げに広げたうえで
そこから深い思考に潜ってつかんだ
要因の全体像を改めて全員で眺めて

その中から今回、対策を打つべき
主要因を3つ程度決めていきます

 
ここでの注意点はいたずらに
主要因を増やさないことです

思いついた重要だと思われる要因は
全て対策したくなるのはわかります

 
しかし我々の取り組み時間も有限

ならばしっかり主要3つを対策し
効果を検証する姿勢が合理的です

結果、どれもこれも中途半端になる
ことだけは避けなければなりません

 

対策の検討と実施:重要・緊急マトリクス&改善プラン

そして対策すべき要因を絞れたなら
次は対策アイデアを量産してみます

メンバーで一人5~10個程度の
対策案を考えてみましょう

 
ここでの注意点はアイデアは
バカバカしいものでも
思考が浅いものでもなんでもOK

軽く考えてみることが大切です

 
まずは質より量を優先してください

そしてそれらアイデアを付箋メモし
模造紙に貼り付けてください

そしてその模造紙にはあらかじめ
重要・緊急マトリクスを書いておきましょう

 

重要・緊急マトリクス

小集団活動とは何か?小集団活動の目的と進め方について

重要・緊急マトリクス(小集団活動版)

重要・緊急マトリクスとは
模造紙の上下、左右にそれぞれに
大きく相互矢印を真ん中に描きます

そして上下縦軸には重要度の高・低
左右横軸には緊急度高・低を記入し
それぞれ問題の判断に使用します

今回は対策なのでそれを少し応用し
上下縦軸には改善効果の大・小
左右横軸はすぐできる・時間がかかる
と記入して対策案を評価してください

そしてその評価結果をもとに
3つの主要因ごとに施策を決定し
自分達の改善プランを作成します

 

改善プラン

小集団活動とは何か?小集団活動の目的と進め方について

改善プランイメージ(例)

 
改善プランは施策毎に3W1H
何を、どのように、いつ、誰が、を
決めていきます

やっぱり『今度飲みに行こう』
言ってみたところで日時、場所など
具体的なことが決まらないと
ヒトは動けませんよね

そのためこの3W1Hのうち
いつ、誰が、という項目は
できるだけ具体的に決めてください

 
いつ、は日程や取り組み時間を
具体的に記載します

誰が、は責任者およびメンバーの
全員の氏名を書いてください

 

標準化と管理の定着

最後は効果的なよりよい方法を
標準化します

いいやり方やノウハウはやっぱり
全体に周知・教育してはじめて
成果を最大化できますから
ここまで徹底して取り組んで下さい

 

小集団活動とは何か?まとめ

さていかがだったでしょうか?

小集団活動は人材育成システムとしては
むちゃくちゃ有効に機能します

そりゃそうですよね

 
自らよかればと思うテーマを設定し
自ら要因解析して対策を探し出し
よりよい方法を標準化するんです

すごくステップアップするはずです

 

特に人材育成に取組んだことがない
中小製造業ならなおさら効果的です

 
もしさらに理解が必要だと思う方は
違う表現でQC活動ステップを
解説しているページもご参考に

 
 

それでは今日はここまでです

今後とも宜しくお付き合い下さい☆

長文乱文を最後まで読んでくださり

いつもありがとうございます♪

すべては御社の発展のために
すべてはあなたの笑顔のために

 

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この記事を書いた人

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。10年間で600社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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