動作経済の原則とは?改善例で知る12の着眼点

動作経済の原則とは?改善例で知る12の着眼点

7つ道具で現状を見える化して
改善を進めるIE手法

その施策を考える時に参考になる
動作経済の4原則の視点を
とても役に立つと以前紹介しました

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ところがこの4原則、もう少し詳しく
12もの着眼点でまとめてある説も
存在しているのです

またこれが具体的で分かりやすいので
今回はそれらの例をお話することで
皆さまに理解を深めていただければと
ご紹介いたします

ぜひご自身の現場と照らし合わせて
イメージしていただければ幸いです

 

なぜ動作経済の原則が重要なのか?

職場で取り扱われる資源としては
3Mがよく取り上げられます

【3Mとは何か?】
Man:ヒト
Machine:機械・設備
Material:原材料

このうち原材料と機械・設備に
代表される物的資源は取扱い方法で
ある程度量的なコントロールで
必要な時に必要なだけ調達可能です

しかし人的資源であるヒトは
そうはいきません

 

与えられた時間内に
効率的に使用しなければ
あっという間にロスとなって
消え去ってしまいます

今回の動作経済の原則はこのヒトの
作業動作を効率的に動かすための
実例が詰まっています

この動作経済の原則を知って応用する
ことでヒトの時間を最大限有用に
活用可能なためとても重要なのです

それではその動作経済の原則とは
いったいどういうものでしょうか?

 

動作経済の原則とはなにか?

以前は4原則として紹介しました

【動作経済の4原則とは】
両手を同時に使う
動作の数を減らす
距離を短くする
動作を楽にする

そして今回は計12の原則の
以下のパターンを紹介します

【動作経済の原則とは】
原則01:足または左手でできることに右手を使わない
原則02:同時に作業をはじめ、同時に終わらせる
原則03:両手を同時に休ませない
原則04:なるべく小さな動作ですませること
原則05:材料や道具はなるべく近くに置く
原則06:動作数は少ないほどよい
原則07:工夫を凝らして動作量を減らせ
原則08:長時間の保持には保持具を用意する
原則09:動作が機械的になるよう順序を考える
原則10:両手は同時に左右対称で動作させる
原則11:慣性、重力、自然力を利用する
原則12:作業点の高さを調整する

この内容は具体例を含めて
説明を進めるため
理解しやすいと思います

では1つずつ解説をしていきましょう

 

原則01:足または左手でできることに右手を使わない

もし足で操作できれば両手が使えます
そのため足踏みの仕掛けを工夫して
両手を有効な仕事に振り向けることも
可能です

例えば、ボール盤やプレスなどは
足踏みペダルの活用例をよく見ます

ミシンなども有名ですよね
これを応用することで
効率化が狙えないか?
そういう視点で見ていきましょう

 

原則02:同時に作業をはじめ、同時に終わらせる

これは本当にやってみるとわかります
両手作業は左右対称が理想ですが
そうになっていなくても効率的です

具体的には材料などの配置や治具、
作業順序などを見直して
両手時間のつり合いをとります

両手が同時に終始できれば
手待ちや保持などはなくなって
動作もリズミカルに早まります

一方でどんな動作でも同時にすれば
よくなるかと言うとそうではなく
試してみて早まるか、疲労がないか
検討をしてみて、より良い方法を
見つけていきます

 

原則03:両手を同時に休ませない

両手を同時に休ませない、つまり
手あきの場合は他の仕事をさせるよう
工夫を施すことで効率化を図ります

たとえば1つずつ加工する工程で
左手は添えるだけの場合
治具を工夫し右手に1つと左手に1つ
2つ同時に進められることで改善した
具体例が多くあります

確かに発想の転換は必要ですが
やれれば相当効果はあがります

 

原則04:なるべく小さな動作ですませること

作業に使う身体の移動距離が長ければ
当然その分動作時間が大きくなります

例えば、これまで部品をセットして
加工する作業が以下の動作とします
(1)右手で部品をとる
(2)部品を加工点にセットする
(3)加工レバーを操作する
(4)部品を取り出す

それぞれ移動距離が
17→3→26→17=63cm

しかし加工レバーを
電器スイッチに変更して加工点から
5cm程度の位置にセットすることで
腕全体の作業が手首での作業に!

5→3→10→5=23cm

これも効果的な改善となります

 

原則05:材料や道具はなるべく近くに置く

作業台に工具や材料を直線的ではなく
ヒトの動きに合った配置を心がけます

つまりヒトが手を動かす敵の軌跡は
円弧を描くため、その線に沿って
手が届く距離での配置が望まれます

手を使う仕事の適正な作業範囲は
『正常作業範囲』『最大作業範囲』
というものがあります

『正常作業範囲』とは肘を体側に付け
前腕を左右上下に動かす範囲
『最大作業範囲』とは肩を支点として
腕全体を左右上下に動かす範囲
を言います

材料や工具はできるだけ
正常作業範囲に置くように配置し
やむおえない場合でも最大作業範囲を
超えないようにする必要があります

 

原則06:動作数は少ないほどよい

当たり前なのですが動作をできるだけ
少なくなるように工夫していきます

例えば、ネジやボルトの場合
溝のある容器に振動を加えれば
常に頭部が上を向くので
取り上げる動作がなくなります

また検査で寸法を測る作業などは
ガラス面に規格寸法の線を引いて
上限・下限を判別できる工夫をすれば
時間が短縮され、疲労も軽減できます

 

原則07:工夫を凝らして動作量を減らせ

原則06とよく似ていますが
さまざまな工夫を施して動作量を
減らしていきます

作業中に複数の工具をしょっちゅう
使い分けするような場合には
それらの工具類を1体にしたものを
組み合わせておけば工具を取る動作を
省くことができます

 

原則08:長時間の保持には保持具を用意する

手を長時間、加工を補佐する役割で
部品の保持に使うことがよくあります

しかし手は仕事をするのに
最も高級な機能を持つツールなため
この使い方は非常にもったいないです

例えば、保持ツールを製作して
両手同時加工を行うことも可能です

ぜひ工夫して両手をフル回転させて
くださいませ

 

原則09:動作が機械的になるよう順序を考える

動作はリズミカルに機械的になるよう
順序を考えてください

ポイントは以下の4つです

ポイント1:動作は曲線のコースにする
ポイント2:すべての動作を同じテンポで行う
ポイント3:動作をシンプルに構成する
ポイント4:楽な姿勢で仕事ができること

もう少しだけ補足しましょう

 

ポイント1:動作は曲線のコースにする

手の運動方向を直線的に構成すれば
急に方向を変更する必要が出ます

順次円滑に連続していけるよう
動作の経路をスムーズな曲線で
構成するようにしてください
 

ポイント2:すべての動作を同じテンポで行う

すべての動作が適度な速さの
同じテンポで行えるようにして下さい

テンポが乱れれば
リズムがつきにくくなります

動作の切れ目をはっきりさせると
テンポが維持しやすくなります
 

ポイント3:動作をシンプルに構成する

動作を単純化すると桜沙に対する
注意力が少なくてすみます

それには運動の経路を
毎回同じにします

つまりモノの置き方も一定になります
 

ポイント4:楽な姿勢で仕事ができること

作業に適した最も安定した状態にして
疲れにくい作業にすることが大切です

 

原則10:両手は同時に左右対称で動作させる

これは原則02を
さらに進化させたものです

両手を同時に使う場合は
身体を中心に左右対称で動かすことが
もっとも自然な動かし方です

例えば両手を交差させて部品を取る
なんてことも応用例のひとつで
やはりアイデアと工夫が大切です

 

原則11:慣性、重力、自然力を利用する

慣性、重力、自然力を応用できないか
また、動力仕掛けで作業を省くことを
検討します

例えば、加工を終えたあとに
重力利用の落とし口やシュートの設置
動力活用の工具やベルトコンベアなど
作業を省く方向は無限にあるはずです

 

原則12:作業点の高さを調整する

作業者は毎日数時間は特性の作業を
続けることが多いため
疲れを起こしにくい最適な作業点を
探して設定する必要があります

例えばPC作業等は上体をまっすぐに
して椅子に座って、前腕をほとんど
水平に前に出したときの高さが
最適だと言われています

このように作業をしっかり観察して
できるだけ姿勢変化を起こさない
かつ疲れにくい姿勢を取れる
作業点をみつけだしてくださいませ

 

動作経済の原則とは?改善例で知る12の着眼点まとめ

さて12もの動作経済の原則を
具体的に説明をしてきましたが
それぞれの原則の目的は
よく似たものでしたよね

そして当たり前と言えば当たり前の
着眼点であったと思います

しかし一つひとつ確認していけば
いくつかの改善点は想像がついたはず

その着想をムダにせず何かひとつでも
実際の改善に結びつけていただければ
と考えます

 

 

それでは今日はここまでです
今後ともよろしくお付き合いくださいませ☆

長文・乱文を最後まで読んでくださり
いつもありがとうございます♪

すべては御社の発展のために
すべてはあなたの笑顔のために

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この記事を書いた人

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。10年間で600社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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