多能工化とは~推進目的や手順・メリット等を知り生産性を高める方法~

多能工化とは~推進目的や手順・メリット等を知り生産性を高める方法~

皆さまは多能工化っていう手段が
生産性を高める効果があることは
おそらくご存じかと思います

しかしこの多能工化とはなにか
推進目的やメリットはどんなもの
その進め方などについて
詳しく説明できる方は少ないのでは
ないかと思っています

 
なぜかというと
この絶大なパワーを持つ手段を
活用している工場が少なく
あまりにもったいないと
感じてしまっているからです

そのため今回は多能工化について
しっかりとご理解いただき
ぜひ活用いただきたいと考えます

今回も読み終えるまでのお時間
お付き合いいただければ嬉しいです

 

目次

工場でよくある困りごと

生産性向上を図る手段として
作業そのものを見える化する方法は
これまで多く紹介してきました

しかし一方で実際の生産現場では
誰がどの仕事ができるのか?
十分その技術を持っているのか?
その速さや正確性はどうか?
など

ヒトの対応能力が育ってないことで
作業のボトルネックになることが
結構多く発生してします

 
例えば作業者は何人もいるのに
あるヒトしかできない作業なので
これ以上受注が受けられない
あるいはそのヒトの負荷が高い

またそのヒトがもし倒れたら
うちの仕事が進まない心配がある

誰かに仕事をやってもらおうと
思っても心配で任せられない

 

なぜうちには対応者な少ないのか
どうして制約が多く減らないのか
優秀なヒトは雇えない理由は?

様々な疑問が浮かぶと思いますが
実はそれ、単なる計画不足なんです

 

人材不足になるよくある理由

各工程には対応能力があって
最初は能力にバラツキがあるのは
ある意味仕方がないと言えます

でもいつまでもその問題を
ほったらかしにしているのは
仕事として少しおかしいですよね

 
つまり問題に対処する必要があるが
取り組んでこなかった結果が
目の前にあるわけです

当たり前といえば当たり前の話

この問題にチームとして対処する
もっとも有効な手段として
この『多能工化』があるということです

 

多能工化とは何か?

ではいつものように言葉の定義を
調べてみましょう

 

多能工化(読み方:たのうこうか)
1人の作業者が複数の工程の作業をこなせるようにトレーニングすることである。これにより

  • 生産負荷が低い工程から高い工程へ人員を柔軟に移動させ、負荷の平準化を常に行えるようにする。
  • 1人で複数の加工機械を受け持ち、工程の少人化を実施する。
  •  
    そうなんですよ!

    この多能工ってあの世界のトヨタが
    大切にしてきた手段なんですよね

     

    多能工化の目的

    この多能工化を進める目的は
    以下の3つだと言われています

     

    多能工化を進める3つの目的
    目的1:負荷の平準化
    目的2:工数の省力化
    目的3:人的能力の開発

     

    目的1:負荷の平準化

    まずは最初の目的として挙がるのは
    負荷の平準化です

    工程間でどうしても
    負荷にバラツキは出てしまいます

     
    それは仕方がないですが
    ずっと同じ工程に高い負荷が
    かかっている状態ですと
    その能力の限界がその会社の限界で
    ある一定以上の受注は受けられない

    言わば成長できない状態を
    つくってしまうことになります

    その負荷集中を緩和するために
    この多能工化を進める意味は
    とても大きいものです

    これが1つ目の目的です

     

    目的2:工数の省力化

    2つ目の目的は工数の省力化です

    この多能工化が進めば
    ある一定の作業者がすべての工程を
    1人でできるようになります

     
    そうすると手待ち時間をゼロにでき
    ヒトとヒトとの連携ロスが削減可能

    結果的に省力化が実現できます

    ここまでいくとすごいことですが
    一定の期間が必要になりますよね

     

    目的3:人的能力の開発

    そして3つ目は人的能力の開発です

    もっとも理想的な状況はなにか?
    それに必要な能力とはなにか?

    定義してそんな理想的な状況に
    するために能力開発を進める

    そして自らが理想的な体制をつくる

     
    つまり将来を設計するために
    この多能工化という手段が有効に
    なるというわけです

    それは使わない手はありませんよね

    多能工化のメリット

    ではあらためて多能工化を進める
    メリットについて説明しましょう

     

    多能工化の3つのメリット
    メリット1:業務の効率化と平準化
    メリット2:作業者のモチベーション強化
    メリット3:従業員満足と定着率の向上

     
    業務効率が向上するのに加えて
    人材面でもメリットが大きいです

     

    メリット1:業務の効率化と平準化

    1つ目のメリットは直接的なもの
    つまり業務の効率化と平準化が
    実現できることです

    多くのヒトが多くの作業ができると
    負荷バランスをとることができます

     
    つまり工程間でのボトルネック
    つまり停滞要因がなくなります

    そうすればあるヒトだけに集中する
    作業なんてものはなくなりますし
    常に最短納期を狙える体制が
    整ってしまいますよね

    この1つ目のメリットは大きいです

     

    メリット2:作業者のモチベーション強化

    2つ目のメリットは作業者の
    モチベーションを強化できること

    そりゃね、自分のやるべきことが
    明らかになったら頑張りますよ

    しかも自身の成長が
    チーム全体の強化に繋がると思えば
    なおさらチカラがはいるはずです

     
    1日の1/3を占める仕事時間が
    充実すれば人生も豊かになります

    そりゃモチベーションは上がります

    これがメリットの2つ目

     

    メリット3:従業員満足と定着率の向上

    最後のメリットは
    従業員満足と定着率の向上です

    メリット2のモチベーション向上の
    結果なのですがこれは大きいです

    やっぱり将来が見えればヒトって
    充実度が増すんですよね

     
    また多能工化が進めばお互いが
    作業の助け合いが可能になります

    そのため作業者間の人間関係も
    とてもふんわりとなりますため
    定着率の向上も期待できるのです

    ぜったい雰囲気よくなりますよね

     

    多能工化のデメリット

    これまで説明したメリットの半面
    やはりデメリットもついてきます

     

    多能工化の3つのデメリット
    デメリット1:育成まで時間がかかること
    デメリット2:作業者の評価が必要になること

     
    この2つのデメリットなら
    いずれ組織的には克服する必要が
    ある項目ですよね

     

    デメリット1:育成まで時間がかかること

    やはり1人前になるまでには
    数年かかると言われています

    その1人前の定義とはなにか?
    それによって現実はまちまちです

    ですが多くの作業を覚えるには
    やはり時間がかかってしまうのは
    仕方がないことだと思います

     
    ですが計画的な人材育成を
    進めることができるのなら

    理想的な能力配分が
    実現できるのであれば

    積極的に取り組みたいですよね

    これが1つ目のデメリットです

     

    デメリット2:作業者の評価が必要になること

    多くの作業ができるようになれば
    それなりの評価が必要になります

    そうするとどこまで仕事ができれば
    どれくらいの評価が上がるのか

    イメージを具現化する必要が
    あると言えるでしょう

     
    具体的には評価基準の設定

    とはいっても社労士さんが提示する
    大それた人事評価制度とかまでは
    必要ないと考えています

    ま、あれば越したことはないですが
    このためだけに必要とは言いません

     
    ただ、仕事ができるようになったら
    ちゃんと褒めてあげてほしいんです

    三ツ星とか五つ星とかでいいです

     
    自分は職場の中で何番目とか
    あと1つ頑張れば追いつけるとか
    フルコンプリートした先輩とか

    自分の立ち位置がわかったうえで
    五つ星おめでとう!金一封3万円!
    みたいなものでもだいぶ違います

    そうすればデメリットとまでは
    言えないようになるかと思います

     

    多能工化の手順・進め方

    それでは多能工化に向けた手順を
    以下の3ステップで示します

     

    多能工化の手順の3ステップ
    ステップ1:自職場に必要なスキルを洗い出す
    ステップ2:現時点のスキルマップをつくる
    ステップ3:育成の計画を決める

     
    それではその手順・進め方について
    説明を進めてまいりましょう

    まずは職場全員のメンバーに
    集まっていただくことから始めます

     
    目的はみんなの能力開発ですから
    みんなで考えないとなかなか
    納得感は得られませんよね

    なので必ずリーダー1人が勝手に
    権限を振りかざして決めるのでなく
    全員で集まって以下のステップを
    実行していただきたいと思います

     

    ステップ1:自職場に必要なスキルを洗い出す

    まずは自職場に必要なスキルを
    すべて洗い出します

    工程別に検討していくと
    必要な機能がより鮮明にわかります

    担当それぞれに確認を取りながら
    必要な機能を明らかにしていきます

     

    ステップ2:現時点のスキルマップをつくる

    それがわかればスキルマップを
    模造紙などに書いて作成してみます

    スキルマップはこんな感じです
     

     
    上記は実際にある会社の
    スキルマップです

    まずは現状のスキルマップを作成し
    どのスキルが不足しているか?
    その熟成度はどの程度なのか?
    全体のバランスはどうか?

    を把握していきます

     
    上記の例では設計工程のスキルが
    圧倒的に不足していることが
    よくわかりますよね

    このように偏っているスキルを
    不足しているスキルを
    見える化することができるのです

    おわかりですよね!

    ではこのスキルマップができたら
    次のステップに移ります

     

    ステップ3:育成の計画を決める

    スキルマップを全員で眺めて
    チームとしてあるべき姿
    つまりどうなることが適切かを
    議論していきます

     
    この『議論』がなにより重要です

     
    当たり前に感じていること
    当然気づくこともすべて漏れなく
    言葉にして議論していくことで

    普段から考えてるヒトも
    なあんにも考えてないヒトも
    職場の問題点を共有できます

    議論の中で見えてくる
    『うちの職場ってこうなればいいね』
    ってフワっとした理想像=ゴール

     
    そんな達成イメージを共有した上で
    それぞれが何を覚える必要があるか
    どんなスキルを習得することが
    チーム全体の強化につながるか考え
    それぞれの学習計画を決めます

     
    具体的には
    何を、どのように、いつ、誰が
    そのスキルを学習するのか

    必要であれば教える先生も決めて
    必要であれば関連書籍も購入して
    必要であれば外部研修に参加して

    スキルを習得していく手段を方法を
    具体的に決めていきます

    ここまでやってはじめて
    多能工化が進む前提が整います

    ぜひ最後までやりきってください

     

    多能工化とは~まとめ~

    さてこれまで多能工化について
    詳しくお話してきましたが
    いかがだったでしょうか?

     
    やっぱり全員で話し合うことって
    全員の認識を合わせることに繋がり
    その前提で将来のことを決めたら
    やっぱり作業者側も安心できます

    結果的に個人の意識も高まりますし
    チーム=組織のチカラも強まります

     
    そんな機会を増やしてこそ
    どこにも負けない強い会社づくりが
    進んでいくものです

    ぜひチャレンジしてみてください

     

     

    それでは今日はここまでです

    今後とも宜しくお付き合い下さい☆

    長文乱文を最後まで読んでくださり

    いつもありがとうございます♪

    すべては御社の発展のために
    すべてはあなたの笑顔のために

     

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    この記事を書いた人

     大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。10年間で600社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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