新QC7つ道具とQC7つ道具の違いを分析~有効なツール集をどう使うべきか?~

新QC7つ道具とQC7つ道具の違いを分析~有効なツール集をどう使うべきか?~

これまで数回に渡って紹介してきた
QC7つ道具と新QC7つ道具ですが

QC7つ道具はそれぞれ特徴と使い道
新QC7つ道具にも各々役立つ場面が
しっかりと設定してあるものの
その違いがおわかりでしょうか

 

『覚えたいがイメージができない』
『使う前に用途を教えてほしい』
『違うかどうかさえ分からない』

そんな声や問い合わせって意外と
多いものです

 

そこで今回はこれまで紹介してきた
QC7つ道具と新QC7つ道具の違いを
少し詳しく分析してみることで
この素晴らしいツールをどう使うか
考える機会にしていただきたいと
そう考えてこの記事を書き進めます

今回もしばらくお付き合いください

 

目次

そもそもQCとはなにか

QC7つ道具や新QC7つ道具を語る前に
そもそもQCって何?ですよね

QCとは『Quality Control』
頭文字をとったもので
直訳すると品質統制
つまり品質管理のことです

日本語でいう品質管理の機能面を
表現するならどっちかと言うと
『Quality Management』
言いたくなっちゃうんですが
一般には品質統制=QCと表現します

 
いまでこそ品質のジャパンブランド
って世界的に認知度を誇ってますが
戦後の日本の製品って
本当にひどいありさまだったんです

ですが持前の真面目さも手伝ってか
QC活動、QCサークルと呼ばれる
チームで進める改善活動が広がり
しっかり仕事ができるように
なったわけです

 
多くの日本人は体裁を気にします

なので
チームで気づいてチームで考え
チームで改善するのがあっていた

そういえますよね

 
そのQC活動で有効だと認知された
代表的な問題の見える化ツール集が
QC7つ道具として紹介されたのです

それはどんな道具だったのか?
ちょっと紹介していきましょう

 

QC7つ道具について

QC7つ道具
①グラフ
②ヒストグラム
③パレート図
④チェックシート
⑤特性要因図
⑥散布図
⑦管理図

それぞれどんなツールなのか
まずは簡単に紹介していきますね

 

①グラフ

QC7つ道具の使い方③グラフの作り方(エクセル含む)

関連する2つ以上の数値データの
関係性を見える化する手法です

これは本当によく知られてますよね

グラフから得られる情報について
関係コメントを追加記入することで
説得力の強化が可能となります

 

グラフにはいくつかの種類があり
全体の姿を視覚的に表すためには
それぞれのグラフの特徴を理解して
表現目的に合ったグラフを
活用することが大切になります

 

グラフの種類と特徴
①折れ線グラフ:数値の変化を表現
②棒グラフ:数量の大小を比較可能
③円グラフ:データの割合を視覚化
④帯グラフ:時間や層別の割合比較
⑤レーダーチャート:項目別評価比較 など

 
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②ヒストグラム

QC7つ道具の使い方④ヒストグラムの平均値とバラツキでわかること

こちらはグラフの棒グラフを用いた
工程の状態を見る手法です

測定値が存在する範囲と対象に
いくつかの区間に分けたとして
その区間のデータの数を集めて
棒グラフで表したシンプルな図です

 
たとえば、作業時間などの
ばらつきが大きいことが問題の場合
正常な現場と条項を比較するなどに
活用が可能となるわけです

また、ばらつきの特徴から
現場に何が起こっているのか
類推することにも役立つ
パワフルなツールのひとつです

 
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③パレート図

QC7つ道具の使い方①パレート図の作り方を理解して重点度を明らかに

問題となっている
不良や欠点、クレーム、事故などを
その原因別に分類したデータをとり
不良個数や損失金額などを
多い順に並べる手法です

これは全体の中で
大きなウエイトをもつ問題が何か
それを簡単に図式化できるので
主に情報共有から対策の優先順位を
説明するときに役立ちます

 

たとえばこのパレート図からは
製品a、製品b、製品cの3つの製品で
全体の約8割を占めているため
この3製品から対策することに
決めたいと思います、と説明すると
おおよそ特別な理由がない限りは
反対するヒトは少ないかと思います

 
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④チェックシート

QC7つ道具の使い方⑥チェックシートの作り方

これも万能・有能なツールのひとつ

このツールだけで1日6時間の
セミナー解説が可能なほどです

チェックシートとは
製造現場での事実を確認したり
情報獲得のためにつくる書式のこと

業務管理を目的とした『記録用』と
調査結果を記す『調査用』とを
目的別に使い分けて活用します

 
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⑤特性要因図

QC7つ道具の使い方⑦特性要因図の作り方1(エクセルは次回を予定)

この特性要因図(フィッシュボーン図)は
問題の因果関係を整理することで
原因を追及することに活用します

製造現場では以下の4Mで分類し
主要因の仮説をたてることが有効と
されています

 

製造業の4M
①人:Man
その仕事を進める人たち
②機械:Machine
製造機械や業務を進めるシステム
③材料:Material
取り扱う原材料や書類
④方法:Method
その仕事の進め方

 
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⑥散布図

QC7つ道具の使い方⑩散布図の見方でわかる相関度合い

2つの対になったデータxとy
その関係を明らかにするために
表現する点グラフの一種です

xとyの交点を「・」でプロットし
この点の散らばり方や傾向から
2つのデータに相関関係があるかを
見極めることができます

 
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⑦管理図

工程変動に基づき定められた限界と
現在の状況とを対比する手法です

具体的には
「偶然によるばらつき」
「異常によるばらつき」
見分けることが可能となります

しかしこれは結構
統計の専門的知識が必要であるため
あまり中小製造業では
採用されていないのが現実です

 
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新QC7つ道具について

QC7つ道具
①親和図法
②連関図表
③系統図法
④マトリックス図法
⑤PDPC法
⑥アローダイアグラム法
⑦マトリックスデータ解析法

さて、それではQC7つ道具に続いて
新QC7つ道具も簡単にですが
ご紹介させていただきます

 

①親和図法

新QC7つ道具①親和図法とは?読み方や進め方をわかりやすく解説

親和図法は製品に対する意見や
発想などの言語データが集まった時
言語データを統合して集約するのに
適した手法です

また、イメージを具現化するときも
有効に働くのでとても便利ですね

たとえばテーマを発見したいとき
問題を整理したいとき
顧客の要求品質の把握などに
よくつかわれています

 
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②連関図表

連関図法の作り方と事例でなぜなぜ分析の理解を深める

連関図法は原因同士が複雑に
絡み合った問題の原因を追究する時
とても役立つ手法となります

問題と原因、あるいは原因同士の
因果関係を矢印で表現することで
改善すべき主要因や根本原因を
絞り込むことができます

 
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③系統図法

系統図法の作り方(テンプレート付)と種類を知って具体策を絞り込む

目標(目的)を設定したあとで
その目標をどのように達成するのか

つまり方策(手段)を発想する時に
この系統図法がよく使われます

この系統図法には
目的を達成する手段を展開する
『方策展開型』
目的の中身を細分化していく
『構成要素展開型』
2つの使い方があります

 
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④マトリックス図法

Y型マトリックス図法

マトリックス図法は、複数の項目の
対応関係を整理するのに効果的です

確認したい項目の数、つまり
項目が2つの時はL型
項目は3つの時はT型
項目は3つでそれぞれ関係が
見たときはY型
項目が4つの時はX型 が
よく活用されています

 
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⑤PDPC法

PDPC法のイメージ図

PDPC法は、実施過程で起こりうる
あらゆる事態を事前に予測しながら
一連の手段を計画する時の手法です

Process Decision Program Chartの
頭文字からPDPC法と呼ばれています
つまり過程を決定する計画図のこと

このPDPC図を活用することで
不測の事態が起こった場合
また起こらなかった場合など
パターン別の方策をあらかじめ
考えておくことができるので
安心して計画を進められます

 
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⑥アローダイアグラム法

アローダイヤグラム法 クリティカルパス

アローダイヤグラム法は
作業や実施項目の最適な日程計画を
立案するのに有効なツールです

たとえば同時に並行して進める作業
あるいは時間的な余裕の有無を
確かめることもできるので便利です

 
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⑦マトリックス・データ解析法

2つの主成分の相関図

普通、製品の品質は単純ではなく
複数の特性で評価されますが
その場合は特性のごとの評価でなく
その特性を総合的に見た評価が
大切になってきます

こうしたときに活用されるのが
マトリックス・データ解析法です

たとえばクルマの評価特性として
燃費、馬力、最高速度など複数あり
これらを別々に比較するのではなく
これら特性を合成した
総合指標を算出して評価します

一方でこちらは相当
数学的な知識を使いますので
活用にはそれなりの学習が必要です

 
【詳しくはこちら】

 

新QC7つ道具とQC7つ道具の違い

さてこのQC7つ道具と新との違い
こうやって全体を紹介しただけでも
だいぶ違いが整理できたかと思うが
分析を進めるとさらに理解できます

さきほど説明しましたが
QC活動で有効だと認知された
代表的な問題の見える化ツール集が
紹介されたものがQC7つ道具です

 

そしてそれに次いで
『これも有効に使えますよ!』って
追加で紹介されたのが新QC7つ道具

つまり実際にはQC活動で使われる
ツール集なわけですので
これらをどの局面で活用するか
整理をしていくことで分析できます

 

QCストーリーについて

このQC活動には7つ道具以外に
強烈なコンテンツが仕込まれてます

それはQCストーリーと呼ばれる
問題解決の『型』です

所説はありますがおおまかに
以下の5つのステップを踏むことで
問題解決プロセスとなるのです

QCストーリー5つのステップ
ステップ1:テーマの選定
ステップ2:現状の把握と目標の設定
ステップ3:要因の解析
ステップ4:対策の検討と実施
ステップ5:標準化と管理の定着

 
【詳しくはこちら】

 

この5ステップの中でどのツールが
どこで使われるかですよね

では解説を進めながら整理します

 

ステップ1:テーマの選定

まずはこの活動そのもので
どんな問題解決に取り組むのかを
選んでいくプロセスが1つ目です

ここで活用されるのが以下のツール

 

QC7つ道具 新QC7つ道具
チェックシート
パレート図
グラフ
親和図法

ここでは、QC7つ道具で数値状態を
把握してから新QC7つ道具で検討する

そんなイメージですね

では次のステップを見てみましょう

 

ステップ2:現状の把握と目標の設定

選択したテーマに沿って
現状がどのような状況であるのかを
調査・把握して数値化します

そしてその数値を
どこまで改善するべきなのか
改善活動の目標を設定する過程です

ここで活用されるのが以下のツール

QC7つ道具 新QC7つ道具
チェックシート
ヒストグラム
管理図
グラフ

このステップでは新QC7つ道具が
はいってませんね

やはり取り扱っているのが
数値中心だからでしょうか

次のステップを見てみましょう

 

ステップ3:要因の解析

ここでいよいよ根幹に触れます

なぜその問題が起きているのか
要因を考えて、考えて、考えて
今回の改善で解決すべき主要因を
仮説として設定します

これらを解決することで
問題が解決するだろう、と
あたりをつけるわけです

ここで活用されるのが以下のツール

QC7つ道具 新QC7つ道具
特性要因図
チェックシート
ヒストグラム
散布図
グラフ
親和図法
連関図法
マトリックス図法

こうやって見てみると
QC7つ道具の中で特性要因図だけが
異質な存在として光っています
どちらかとういうと新の仲間かな?

QC7つ道具で把握した数値を参考に
新QC7つ道具で要因解析を進める
そんな役割分担がイメージできます

では次にステップを進めましょう

 

ステップ4:対策の検討と実施

そして見つけた要因への対策案を
考えて実行してみます

もちろんこの段階でどれだけ効果が
出るのかを測定する活動も含みます

ここで活用されるのが以下のツール

QC7つ道具 新QC7つ道具
チェックシート
ヒストグラム
管理図
グラフ
系統図法
PDPC法
アローダイヤグラム法
マトリックスデータ解析法

ここでも数値把握はQC7つ道具で
対策の検討が新QC7つ道具との
役割分担が見えてきます

そういう意味ではこのステップでは
マトリックスデータ解析法が異質で
QC7つ道具に仲間入りしそうですね

では最後のステップです

 

ステップ5:標準化と管理の定着

最後に見つけた対策をしっかりと
通常の有効な作業手順として
定着させるための行動を取ります

ここで活用されるのが以下のツール

QC7つ道具 新QC7つ道具
チェックシート
管理図
グラフ

ここでは見事に新QC7つ道具が
はいりませんでした

検討の必要性が少ないからなのかも
しれませんね

 

QCストーリーと活用ツールの傾向

だいぶ傾向が見えてきましたね

 
QC7つ道具そのものは
数値を取り扱う傾向が強いです

チェックシートで数値化して
その数値をわかりやすくグラフ化

一方で新QC7つ道具はその状況を
分析して検討して選択するための
サポートを後押しするツール集

ただし特性要因図と
マトリックスデータ解析法の役割は
入れ替えた方がわかりやすいですが
ま、そこは後先のグルーピングだと
割り切ればいいのかもしれません

 

~まとめ~

QC7つ道具と新QC7つ道具の違いは
主に数値把握・表現を支援するか
解釈・検討を支援するか

おおまかにはその違いが
見えてきた分析結果でしたが
まずQC7つ道具をベースとして
活用できるようになった後

さらに対策案の選択肢を増やすため
新QC7つ道具を活用していく

この順番のイメージはそんなに
間違っていなかったとの結論と
今日のところはさせていただければ
幸いでございます

 

 

それでは今日はここまでです

今後とも宜しくお付き合い下さい☆

長文乱文を最後まで読んでくださり

いつもありがとうございます♪

すべては御社の発展のために
すべてはあなたの笑顔のために

 

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この記事を書いた人

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。10年間で600社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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