中小製造業のDXの考え方~課題を解決するDXツールの現実~

中小製造業のDXの考え方~課題を解決するDXツールの現実~

DX、DXと聞かない日がないくらい
一般化してきたキーワードですよね

デジタルトランスフォーメーション
つまりITツールを活用した構造転換

経営変革を意味する新たな言葉です

 
WEB上でDX事例を探してみると
そのほとんどが大企業の事例です

え?中小企業はDXできないの?
いえいえ、そんなことはありません

逆に中小製造業こそ、このDXを
うまく課題解決や事業拡大に
活用すべきだと思います

そこで今回は中小規模の製造業では
このDXをどう捉えて考えていけば
よいかを改めて整理してみましょう

ぜひ今回も読み終えるまでのお時間
しばらくお付き合いください

 

目次

DXで目指すべきゴール

DXはIT技術を活用した経営変革

現代の情報技術を活用して
トランスフォーメーション:変身する
くらいの改革を目指すわけです

これってインパクトワードですよね

ただIT投資で生産性を上げよう!
っていう改善レベルではなくて
経営の改革がゴールなわけですから
そりゃ戦略をも変えなきゃですよ

 

同業であっても違うゴール

そもそも考えて欲しいわけです

この市場というのは絶妙な
バランスで成り立っています

同じ業種であっても取引先が違う
そうすると求められるニーズも違い
それぞれ微妙に調整を繰り返します

そうすると今まで長年動かしてきた
組織的なQCDを生み出す仕組みが
独自進化を遂げているはずなんです

自社だからこそ粗(アラ)が見えて
『十分でない』と思うかもですが
その安定した独自価値があるからこそ
今の取引先が継続して注文をくれます

 
実は。。。
そのおかげで絶妙な個性・特徴を持ち
他社とは違うニーズを見ているのです

他社も同様に我が社とは微妙に違う
ニーズを追いかけ独自進化しています

その方向を長期間維持したとすれば
お互い全く違う進化を遂げるハズ
ですよね!

 
つまり同じ業界であってもこれまで
大切にしてきた過去が違えば
まったく違うゴールを目指すのが
正常進化を遂げる本来の姿なのです

 
ゴール設定とは登る山を決めること
近所の山か?それとも六甲山か?
富士山を目指すか、エベレストか?

その具体的なゴール設定によって
従業員全員のチカラを束ねていく

そしてこれらゴールへの到達速度を
早めるツールがDXだというわけです

どういうことか?
説明を加えていきましょう

 

DXで解決すべき課題

ゴール到達が我が社の至上命題

だとするといったい我々は
まずどこに注力すべきなのか?

これからお話する項目はすべての
製造業にとって注目される方向性

なのでその優先順位はゴールにより
まったく変わってくるハズです

なのでその御社独自の目線で
これらの優先順位はどうなってる?
を意識して読み進めてみてください

 

製造業で重要なQCDデザイン

Q=Quality:品質
C=Cost:価格・コスト
D=Delivery:納期

これらQCDはそれぞれ
トレードオフの関係にあります

例えば品質を重視すれば
二重チェックや検査機器の導入など
コストをかけることにつながり
工程が増える分納期も長くかかり

また価格を下げようと思えば
最小限の検査体制で品質も最小限
余分な在庫も持たない体制で納期は
もっとも長くかかる工程になります

 
全てにおいて優秀な会社になる!は
理想的ではありますが寝言に近い

実際にはお客さま満足を
より高めるための理想的なQCDを
これまでバランスを取りながら
努力してきたはずなんです

 
QCDとはお客さまに提供する価値

 
その価値を最高のものとするには
我が社はどの分野に注力して
今後も喜び続けていただくのか?

そんな自社らしい成長とは
どのようなQCDバランスなのか?

それを実現するためには我々は
何に努力をする必要があるのか?

まずはそのデザインが
大切となるわけです

 

コストダウンのための改善体制

どうしたって顧客価値をつくるには
コストがかかります

よい顧客価値は比例してコストが
高くつくのが通常なんです

けれど、他社よりも安く同じ価値を
つくれるようになるかが大切で
そのためにはたくさんの工夫を
生み出して積み重ねる必要がある

だからこそ何度も何度も考え直し
試行錯誤しながら改善を繰り返す

そういった組織づくりが
とても重要であることは皆さまも
ご存じのことですよね

 

必要な情報の見える化

中小製造業のほとんどのトラブルが
知らなかった原因に関連があります

・情報共有が十分でない
・コミュニケーション不足
・伝達ルールが決まってない

これを仕組みでもって見える化し
状態の変化でもって情報発信する
標準化を進めることでカバーする

個人のコンディションに依存しない
組織的な仕組み化が何より大切です

まずは異常や予兆を見えるように
することで多くをカバーできます

 

保全活動の強化

設備は長く使うことで償却が進み
利益を生み出しやすくなってきます

その一方でどんどんと老朽化が進み
チョコ停が重なってドカ停を生み
大きな納期トラブルに結びついたり
そもそも加工精度の確保ができず
品質面やコスト面でロスが増大する
などの影響が心配になってきます

そこで必要な考え方としては
計画的なメンテナンス=設備保全を
組織的な仕組みとして定着させる

そのことによって中長期にわたり
安定して製品供給が可能な会社に
近づけていけるというわけです

 

マネジメント体制の刷新

中小製造業ではこのマネジメントが
経験と勘に任されていることが多い

これまでもこれでイケたのだから
これからもこのままでいいだろうと
または明らかにコロナでヤバいのに
これまでなんとかなったのだから
大丈夫だろうと根拠のない判断

もうそろそろ最新情報を入手して
論理的にアプローチしたうえでの
経験と勘パワーを使う体制に
刷新する必要があると考えます

 

課題解決ツールとしてのDXの位置づけ

DXで解決すべき課題としては改めて
以下の5つということです

製造業で重要なQCDデザイン
コストダウンのための改善体制
必要な情報の見える化
保全活動の強化
マネジメント体制の刷新

いかがでしょうか?

正直、これをすべてすぐに完璧に
DX化できるイメージがわかないのは
当たり前のことだと思います

なぜなら。。。
これはDXが解決できる課題でなく
DXで解決すべき課題

つまりDXでなくてもこれまでと同様
製造業としては解決すべき課題だと
多くのヒトが理解しているからです

ただし!大切なのは
御社の独自進化を果たすためには
いったい何から解決すべきなのか?
それをDXでどう加速させるのか?

これが大切な考え方なわけです

なので課題の優先順位をつけたなら
あとはDXで何ができるのか?を
学習していけば答えに近づきます

 

課題別:DXツールで出来ること

では前述した5つの課題ごとに
DXツールでできることをお話します

 

製造業で重要なQCDデザイン

これはもちろんQCD別に
取り組む方向性が変わりますので
それぞれ説明していきましょう

 

Q=Quality:品質のためのDX

品質管理は2つの機能が必要です
①後工程に不適合品を流さない
②不適合品をつくらせない

特に②はバラツキとの闘いで
永遠の課題と言っていいですよね

そのため出来るだけ早く製品情報を
作業者に知らせることが大切です

『規格の中心から離れ始めた』
『急に製品特性が変わった』
『そもそもバラツキが広い』
など
作業者が早く知れば知るほど
補整の対応も素早く取ることが可能

そのためDX活用でリアルタイムで
製品情報を取得して知らせる機能を
装備してやればその体制が整います

また製品情報や設備条件等を蓄積し
ビックデータ化して解析を進めれば
今まで見えてこなかった品質要素が
見つかるかもしれませんよね

品質管理をどう改革するのか?
考えて検索すれば素晴らしい事例が
見つかることができると思います

 

C=Cost:価格・コストのためのDX

原価管理を行うのにもロジックを
しっかり整理して必要情報を取れば
自動で注文別の損益を算定できます

そうなれば作業標準の最適化が図れ
そもそも注文を受けるべきかどうか
採算の合う価格はどのあたりか?等
受注判断にも活用可能となります

また全体への影響が多い製品は
そのデータを元に早期に対策が取れ
次期生産時の生産計画が最適化され
着工待ちや材料などロスなどを
できるだけ小さくする工夫が可能に

自動的に情報を整理する

そのために必要なデータ取得と加工
そして表示方法を決めて実現する

それがDXですよね

では次は納期面のDXを考えましょう

 

D=Delivery:納期のためのDX

やはり生産計画の高精度化が中心

リアルタイムで作業終了情報を取得

それを元に高度な進捗管理ができ
遵守のみならず柔軟な納期対応をも
実現できる仕組みが構築可能です

納期変更への柔軟な対応と
その顧客対応の速さに直結します

夢のようなシステムですよね

これを実現させることを
DXと呼ぶわけです

 

コストダウンのための改善体制

製造現場では多くの紙面管理が
まだまだ機能しています

これらのペーパーレスを図ることで
目視情報をデータ化して取り扱い
システム入力工数やミスのゼロ化を
一気に実現することもできます

またあらゆるデータ化を進め
間接業務の省力化を進めると同時に
前述の狙ったQCD実現のために
収集すべき情報の自動化が図れ
結果全体的なコストダウンを進める
改善体制の強化を実現できます

さらに自動的に原価額を算定し
改善活動に結び付けられるなら
改善=PDCAの回転数が早くなります

これもとても魅力的ですよね

 

必要な情報の見える化

これまでの課題で記述してきた通り
あらゆる必要なデータを収集して
見える化することはとても重要です

ただし何がもっとも必要なのか?の
判断をするのはリーダーの役割です

 
現在、課題となっているのは
どの程度のレベルなのかをまず
見える化することで把握する

そのためにDXツールを活用するのは
とても有効に働くのでお勧めです

そりゃそうですよね

気づかない問題には対処不可ですが
知ってしまえば皆頑張ると思います

 

保全活動の強化

保全活動の真髄は未然防止です

トラブルが発生する前にそれを
未然に防止するためのメンテナンス
あるいはケアを計画的に進めます

 
たとえば巡回点検や稼働記録、
設備状態やエネルギ消費量などの
情報を自動記録=ビックデータ化で
保守点検の記録作業が省力化できる

そのビックデータを分析・解析して
故障予兆を見逃さないように改善し
トラブル発生を未然に防ぎます

つまり保全計画を正確なデータで
作成するよう変革が可能です

経験と勘ではなくなるため
実践経験豊富な職人でなくとも
安定した設備稼働を実現できます

とても良い改革だと思います

 

マネジメント体制の刷新

あらゆるデータが収集できるような
体制が整ってくると早期に情報が
取り扱えるようになってきます

そうなってくると利益構造の分析が
簡単にできるようになるばかりか
収益向上のための製品戦略
新規顧客開拓のための販売戦略など
中長期目線でのマネジメントが
進められるようになってきます

冷静に時間をかけて狙っていける

そりゃ成功確率も上がるってもんです

 

中小製造業のDXの考え方まとめ

大企業ならこれを全部並行して
進めるヒトも資金も持っています

でも我々はヒトも資金も少ない

だからこそ選択して集中して
課題を解決していく必要があります

だったら御社が独自進化するなら
いったいどこからDXを進めますか?

もうやらないという選択肢は
正直に言ってないと考えます

だってもう応用すれば使える所まで
テクノロジーは進化してきていて
他社は虎視眈々と導入を進めてます

 
また、導入したら勝手に課題解決
などという便利なツールを探すのも
辞めた方がよいと思います

ベストマッチが見つからないのと
心臓移植のように拒絶反応が出て
うまくいかない職場に良く出会います

自社にマッチしたDXは自職場の人間が
発想して組み立てる以外ありません

 
もう迷ってる時間がもったいない
そんな状態です

すぐに検討に取り掛かって
ベストな仕組みを構築したうえで
どんどんと改善を繰り返すことで
近い将来、DX=デジタル変革を
成し遂げていただければ幸いです

 

 

それでは今日はここまでです

今後とも宜しくお付き合い下さい☆

長文乱文を最後まで読んでくださり

いつもありがとうございます♪

すべては御社の発展のために
すべてはあなたの笑顔のために

 

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この記事を書いた人

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。10年間で600社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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