第36回QC検定3級を受ける前に押さえておくべき基礎知識①

第36回QC検定3級の前に押さえておくべき基礎知識①

品質管理については、仕事を進める上でとても役立つ方法論であり、身近な問題を解決する出発点でもあります。QC検定は、品質管理の知識を客観的に評価するためのものであり、本サイトではQC検定3級への挑戦をおすすめしています。

品質管理には、日本の独自性があり、それは世界中で認められているほどで、品質管理の歴史や、品質とは何か、管理とは何か、QC的な考え方や、改善についての考え方など、様々なカテゴリーで学ぶことができます。また、現場で使えるデータ管理についても学べます。品質管理とデータの関係性や、母数と統計量の求め方など、基礎から学べるので、すぐ使える知識としては安心できますよね。

そこで今回は次回、第36回のQC検定3級を受験の前に押さえておくべき基礎知識について、説明していくことにしたいと思います。ぜひ参考のうえ、6月から申し込みが始まる第36回のQC検定3級への挑戦をご検討ください。

目次

品質管理とは

私たちは日常生活で「もの」と「サービス」を利用しています。例えば、家族でレストランに食事に行く際には、車や公共交通機関で移動し、レストランではいろいろな「もの」と「サービス」が提供されます。しかし、故障や遅延、予約ミス、品質の問題などがあると、楽しい食事どころではありませんよね。そのため各企業では品質管理に力を入れ、品質の向上に向けた取り組みが行われています。では、そんな品質管理とはどのようなものなのでしょうか?その全体像について説明していきましょう。

①日本の品質管理の変遷

日本の品質管理は、第二次世界大戦後に導入され、米国による品質管理の指導が入ったことから始まり、日本規格協会や日本科学技術連盟の設立、JIS制定など、徐々にわが国の産業が品質管理に立ち向かい始めたました。

1950年には、ウィリアム・エドワーズ・デミング博士が来日して品質管理の講習が行われ、これを機に企業への品質管理の導入が和やかに行われ、発展していった経緯があります。

1960年代以降、品質管理が経営の基盤を支える活動として位置づけられ、日本独自の全社的かつ総合的な品質管理(TQC)へと展開が行われ、1990年代には、ISO 9001のグローバルな普及に伴い、TQMへと名称が変更されました。現在では、TQM宣言などによってそのフレームワークが提示されています流れで日本の品質管理は変遷してきましたのです。

②品質管理とは

品質は、製造者や提供者だけでなく、多くの人々が関わっています。例えば、レストランでの食事のように、車やバスの製造、運行にも多くの人々が必要です。レストランでは、従業員全員が受け入れまでの時間や注文ミス、接客態度などの品質管理を行います。

品質管理には、組織的な活動が不可欠です。各人が役割を果たすことが重要です。野球やサッカーのような競技でも、個々に自由にやっていては勝利は難しいでしょう。チームとして組織的な戦略や行動が必要です。戦略が良くても、各人がその戦略を理解し、自己の役割を果たせなければ、勝利は得られません。

品質管理は、上記の組織的な考え方も含まれ、品質管理用語(JIS Z 8101:1981)では、品質管理を次のように定義しています(1999年5月に廃止済)。

買手の要求に合った品質の品物又はサービスを経済的に作り出すための手段の体示。

品質管理を略してQCということがある。また,近代的な品質管理は,統計的な手段を採用しているので,特に統計的品質管理(Statistical Quality Control,略して SQC)ということがある。 品質管理を効呆的に実施するためには,市場の調査,研究 開発,製品の企画,設計,生産準備,購買 外注,製造,検査,販売及びアフターサービス並びに財務,人事,教育など企業活動の全段階にわたり,経営者を始め管理者,監督者,作業者など企業の全貝の参加と協力が必要である。このようにして実施される品質管理を全社的品質管理(Company-wide Quality Control,略してCWQC)又は総合的品質管理(Total Quality Control,略してTQC)という

※ この規格は1999年5月に廃止され、現在はTQMとして世界的な流れに合わせているとのこと。

③品質保証

企業は、提供する製品やサービスについて、顧客の要求に応え、品質を満足させることが大切です。品質が保証されなければ、顧客は製品を安心して使用することができず、サービスを受けることができません。品質を保証するために、厳格な検査を行うことが考えられますが、品質を工程で作り込める体制づくりが重要です。提供した製品やサービスに問題があった場合、迅速に対応する体制を整え、全社員に情報を共有することが求められます。つまり製品やサービスの品質を保証することは、顧客に対する最低限の約束であり、そのための品質管理の徹底が必要なのです。

品質とは、管理とは

品質管理は、「品質」と「管理」の2つの言葉で構成されています。つまり品質管理を理解するためには、「品質」と「管理」の両方の理解を深める必要があります。そのため「品質」と「管理」の2つの意味合いについて解説していきましょう。

①品質とは

ニーズや期待は人によって異なります。そのため、製品の品質を決定するためには、顧客のニーズや期待を十分に理解する必要があります。そのため、品質管理を適切に理解するためには、いくつかの押さえておくべきキーワードが存在します。それはいったいどのようなものでしょうか?早速、紹介していきましょう。

【押さえるべきキーワード】

品質要素・品質特性

品質とは、製品が顧客のニーズに合っているかを判断するための性質や性能を指すとも言えます。携帯電話の場合、軽さ、大きさ、使いやすさ、頑丈さ、画面の見やすさなどがその性能に含まれます。これらは「品質要素」と呼ばれ、機能性能、デザイン、使いやすさ、信頼性、安全性などがあります。またその品質を客観的に評価するためには、「品質特性」という項目があります。携帯電話の例で言えば、軽さ、大きさ、強度などが品質特性に該当します。

顧客満足(CS),顧客価値

顧客が自分たちの要求を満たしていると感じる状態を「顧客満足(CS)」と呼びます。企業は製品やサービスを通じて、顧客に「顧客価値」を提供し、顧客満足を得ることが求められます。厳しい市場競争に勝ち抜くためには、顧客に価値を提供し続ける必要があり、それには、顧客の要求を満たすだけでなく、まだ顧客や市場が気づいていない新しい製品やサービスを提案することも必要です。つまり事前に未来に起こる要求の変化を察知して、商品開発をすることが必要なのです。

当たり前品質と魅力的品質

品質には、顧客満足と充足憾の2つの側面から考えたモデルがあります。「魅力的品質」は、素晴らしいと思える品質を指し、「当たり前品質」は、充足されても当たり前と受け取る品質を指します。例えば、ホテルで朝食時間が早いとチェックアウト前に食事ができると十分に満足を得れますが、逆にエアコンの調節ができない場合は不満を引き起こしますよね。

サービスの品質,仕事の品質

製品の品質には、「ハードの品質」と「ソフトの品質」があります。両方の品質は、製品やサービスが持つ機能を満足させることを目的としています。現代の品質管理は、製品に付随する価値だけでなく、ホテル、流通販売、通信、配送、エネルギー供給、ソフトウェアデザインなど、様々な業界で顧客満足の追求が当たり前になってきています。また、企業内の事務部門でも、自分の仕事の品質について考え、業務の機能や役割を認識することが求められています。

感性品質

人の五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)や感情、気分、性格、好みなどによって評価される品質を「感性品質」といいます。消費者は、市場にあふれる数多くの商品(製品、サービス)の中から、自分の好みに合う魅力的な商品を選んで、豊かで快適な生活を送ろうとします。そのため、近年では、消費者の感性に訴える感性品質を重視した商品開発が重要となってきています。

社会的品質

顧客の視点から見ると、社会には製品やサービスの品質だけでなく、社会的品質も重要です。現在の大量生産、大量消費の時代では、製品が社会に与える影響が大きくなっています。生産から消費までの過程で起こる品質問題には、工場廃棄物や振動、騒音、省エネルギーなどがあります。企業は、顧客の要望だけでなく、社会に対する責任も考慮する必要があります。

ねらいの品質とできぱえの品質

製品の品質は、設計と製造の2つの品質に分けられます。設計品質は製品を作る目標であり、「ねらいの品質」と呼ばれます。製造品質は製品が設計図通りに作られている程度を表します。「できばえの品質」とも呼ばれます。製品やサービスの提供者は、まず購入者のニーズを把握し、次に技術やコストなどを考慮して設計図を描き、設計品質を追求します。しかし、設計図どおりの製品やサービスが提供されなければ意味がありません。製造品質は設計図通りに製品やサービスが提供されている程度を表します。

②管理とは

「品質」についての理解は深まってきたかと思います。では「管理」についてはいかがでしょうか?「品質」と同様に「管理」についても押さえておくべきキーワードについて解説を進めていきましょう。

【押さえるべきキーワード】

維持管理と改善活動

品質管理活動には「維持管理」と「改善活動」の2種類があります。維持管理は、製品やサービスの提供がきちんと行われていれば、品質を現状維持できることを指します。しかし、競争が激しくなる現代では、維持管理だけでは不十分です。企業は、改善活動を通じて現状を改善し、目標に向かって進む必要があります。維持管理と改善活動の評価尺度としては、PQCDSMEの観点から管理項目を設定することが多くなっています。

PDCAサイクル

維持管理や改善活動は、合理的なプロセスが必要になります。よく使われるのは「管理のサイクル」または「PDCAサイクル」と呼ばれる4つのステップがあります。これはあらゆる活動に通用する4ステップです。肝心なことは、このステップを何度も実行することです。このステップを実行することを「管理のサイクルを回す」といいます。繰り返すことで、現状よりも高いレベルの達成を目指します。

ステップ説明
P:PLAN(計画)目的とその達成方法を計画し、過去の実績や現在の技術力から現在の方法が最適であることが確認できる場合は、それを標準化します。この場合、計画ステップは標準化ステップとして扱われ、SDCAサイクルとなります。
D:DO(実施)P:計画で決められた方法をきちんと実行できるように,教育や訓練を施し,実際に実施します。
C:CHECK(確認)実施結果を確認し,評価します。
A :ACTION(処置)評価の結果にもとづいて,必要な処置をとります。

継続的改善ーPDCAとSDCA

製品やサービスの品質管理においては、現状よりも改善するために繰り返し活動を行う「継続的改善」が重要です。このためには、「維持管理」と「改善活動」の2つの方法を取り入れる必要があります。SDCAとPDCAのサイクルを適切に実施することで、維持管理のルールを決めて安定状態を保ち、改善活動で高い水準を目指します。改善活動の成果を維持するためにも、新たなルールを決め(標準化)して、次の改善に取り組む準備を整えます。維持管理と改善活動を段階的に進めることが大切であり、繰り返し実施することになります。

QC的な考え方

QC的な考え方は、品質管理の思想面での特徴と言えます。この考え方は、品質管理を進める上で基盤となります。そのため、①品質についての考え方、②管理についての考え方、③改善についての考え方、の3つの項目について、これまでと同様に押さえてるべきキーワードを解説していきましょう。

①品質についての考え方

それではまず1つ目の項目として、品質についての考え方の理解を進めるために、いくつかの押さえるべキーワードをお話ししていきます。

【押さえるべきキーワード】

品質第一

製品やサービスの品質について考える際、Q:質のみを考慮する場合と、C:原価とD:納期を含めたQCDの総合的な品質を考慮することは重要です。ただしQCDの中でもとりわけ品質が重要とされます。なぜなら品質が向上すれば、原価を下げることができ、納期も守ることができるためです。しかし、その逆は成り立ちません。安くても品質が悪かったり、納期が守られても品質が悪かったりすると、お客様は不快な思いをし、もう製品やサービスを購入したいと思わないからです。

マーケットイン 顧客指向

企業や組織が品質管理を行う目的は,顧客満足を提供するためです。そのためには顧客の要望を把握することが重要であり、マーケットインの考え方が必要不可欠になります。マーケットインとは、製品やサービスに市場の要望に適合するように企画、設計、製造、販売することです。それに対し、プロダクトアウトという考え方は、企業や組織が一方的に製品を作り、顧客に無理やり売りつけることを意味します。やはり自分勝手な片思いだけでは市場は盛り上がりませんよね。

後工程はお客様

製品の品質を保証するためには、最終検査で全数を厳密に検査することが必要です。しかし、この方法には限界があり、必要な数の適合品を確保するまでに、大量の不適合品を生産する可能性があるため、製品価格が上がることになります。そのため、「後工程はお客様」という考え方に基づき、各工程で悪いものは受け取らない、つくらない、流さないようにすることが必要です。このように、各工程が正しく機能すれば、製品の品質は保証できます。

②管理についての考え方

まず品質に関する考え方をしっかり把握したところで、次は管理面で押さえるべきキーワードを解説します。この考え方を理解していれば、品質管理的にはだいぶ向上していける条件が整います。逆にいえばうまくいかない場合は、ここに要因があることが多いですので重要です。

【押さえるべきキーワード】

事実に基つく管理 ~ 三現主義 + 5ゲン主義 ~

品質管理は「事実に基づく」と言われるが、現実はKKD(Keiken, Kan, Dokyo)=経験、勘、度胸に頼る現場がまだまだ多く、場当たり的な判断になってしまい、同じ失敗を繰り返すことになり勝ちです。だからこそ逆に事実を把握し、客観的なデータを取り、判断や処置を下す「事実に基づく管理」が何より重要。まさに三現主義は、「現場」、「現物」、「現実」の三現を重視するスタイルです。さらに、発生した問題の原因を追究する場合、三現主義で把握した事実を「原理・原則」の二現を加えて状況を判断する「5ゲン主義」を貫きたいところですね。

プロセス重視

「プロセス重視」は、結果につながる仕事のやり方やしくみを管理して改善する考え方です。その中核となる考え方が「プロセス管理」であり、工程の結果である製品を測定・監視し、異常の発生や変動に対して工程にフィードバックをかけ、工程を管理します。つまり製品の異常や変動の原因を調べて再発防止を行い、工程を安定した状態に保つことで、安定した結果(品質)を維持しようとする考え方です。プロセスの結果である製品の品質特性を安定した状態に保つためには、データに基づく工程解析を行い、原因と結果の関係を整理し、原因に対して処理することが大切です。

バラツキ管理

製品やサービスを提供する上で、バラツキの存在を理解し、管理することが重要です。品質管理では「バラツキの排除」が基本的な仕事です。そのためには、以下の二つの考え方が必要です。①製品品質は、必ずばらつくものであること、②そのバラツキに着目して管理するということ。つまりバラツキは避けられないものですが、許容範囲内に収めるために、バラツキの程度を把握すること、そしてそのバラツキを許される範囲に押さえ込む仕組みをつくり管理する考え方が大切です。

再発防止 未然防止と源流管理

問題発生時は、応急処置をして根本原因を調査し、再発防止策を立てる必要があります。また同じ原因で同様の問題が起きないように、水平展開を行うことも重要です。このような活動は、未然防止につながります。未然防止とは、製品を生み出す過程において問題を予測して防止することを意味します。具体的には、要因の上流で対策を打つ源流管理を行い、品質を作り込み、トラブル予測と未然防止に直点を置くことではじめて、効率的で安定した製品やサービス提供が実現できます。

③改善についての考え方

品質面、加えて管理面で重要である考え方について説明をしてきました。最後のそれらの改善面において重視すべきキーワードを押さえていきましょう。

【押さえるべきキーワード】

目的志向

すべての活動の出発点は、目的にあるはずなのに、忘れてしまうことが多々あります。だからこそ、常に目的を意識していることが大切です。目的志向とは、活動を実践する際に、常に目的を考え、その目的に沿って実践していることの適切さを判断することです。この目的は、階層構造になっている場合があり、本当の目的を知るためには、常にワンランク上の視点を持つことが必要です。プロセス管理を考える場合も、プロセスの目的を考え、プロセスとプロセスの相互関係を整理し、より上位の視点から全体として統合された管理の仕組みを考えることを大切にしましょう。

重点指向

JIS Z 8141では、「経営目的に沿って、ヒト、モノ、カネ、情報などの毀源を計画し、運用し、統制する手続き及びその活動」と定義されています。しかし我々中小製造業は利用できるリソースが限られており、全ての事項に対応することはできません。そのため、重点指向という考え方で、必要な事項の中から取捨選択を行い、重要と思われる事項に焦点を絞って取り組みます。企業や組織だけでなく、私たちの身の回りであってもこの考え方は非常に重要です。

「見える化」と潜在トラブルの顕在化

「見える化」は、基本的な情報やデータを示すことにより、事前に潜在している間題を顕在化させることで、顕在化した問題を解決することを目的としています。主な見える化すべき指標は、目標/基準、現状、そして問題や異常などが含まれます。見える化は、情報共有を促し、問題意識を高め、問題解決のきっかけをつくるため、広範囲に活用することが望ましい。そのため、その現場にふさわしい見える化指標はなにか?を検討して抽出する取り組みも重要となります。

第36回QC検定3級の前に押さえておくべき基礎知識①まとめ

QC検定3級は合格率が50%ほどの検定試験です。

そのためしっかり学習して押さえるべきポイントを押さえれば、十分合格できる試験ですので、安心してください。このシリーズは好評であるため、もうしばらく続けていきたいと考えています。品質管理の基礎知識をおさらいする意味でも、ぜひ次回もお付き合いくださいませ。

 それでは今日はここまでです。今後とも宜しくお付き合い下さい☆
 長文乱文を最後まで読んでくださりいつもありがとうございます♪

 すべては御社の発展のために、すべてはあなたの笑顔のために

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この記事を書いた人

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。10年間で600社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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