OC曲線の見方~生産者危険と消費者危険を理解する~

OC曲線とは?生産者危険と消費者危険を理解してOC曲線を使いこなす

皆さまはOC曲線というのを
お聴きしたことがあるでしょうか?

ものづくりは、安定した状態で
継続的に供給することを目指します

そのため、製品を作りこむために
製品の出来栄え情報をタイムリーに
発信していかなければなりません

それが品質管理を進める
大切な目的でもありますよね

 

その製品の出来栄え確認は
検査工程で情報をとることになります

そんな検査工程を設計するのに
このOC曲線の考え方を理解して
組み立てていくことが必要です

そんなOC曲線とはどんなものか?
また、生産者危険と消費者危険とは
どんな意味があるのか?
今回はそんな内容をお伝えします

品質管理に関わる方にはぜひ
理解していただきたい考え方のため
ぜひ読み終えるまでの3分間の
お時間をくださいませ

 

目次

検査工程に必要な重要な機能について

検査工程の体制を考える時には
全体の不良や不具合の混入具合が
狙った範囲内で許されるようにします

つまり確率など統計的な理論を用いて
ロット単位抜取数や合否基準を決めて
ロット毎の品質を決めています

すなわち
製品の「1を知って10を知る」
必要がある、つまり
ロット毎での1の検査データーで
製品の全体の状態の10を知り
判定する機能をもたせるのです

これを「母集団を推定する」
表現します

これは検査工程には必ず必要になる
重要な機能であり、考え方です

ではもう少し話しを進めていきます

 

OC曲線とは何か

製品を生産すると必ず「ばらつき」が
発生します

また、サンプリングにも偏りが出ます

そのため1の検査データーから
10を知り判定することには
いくらかのリスクが発生します

 

例えば、ある製品を1000個製作して
そのうち10個が不良品だったとします
(不良率は、1%となります)

この時1000個から10個を抜き出して
検査してみたとしたら、不良品は
いったいいくつ見つかるでしょうか?

入っている可能性は0個から10個の
全てのパターンが考えられますよね

不良品がたまたま0個かもしれないし
10個全てが不良品である場合も
確率は低いですがあるかもしれません

この状態を定量的に見えるように
ロットの不良率と検査合格率の関係を
グラフとして示したものが
『OC曲線』になります

 

Operating Characteristic Curve
別表現では検査特性曲線と呼ばれます

つまり、抜き取り検査の際に
ロット毎の出来栄え品質と
そのロットが合格して
製品として出荷される確率の関係性を
示した曲線のことですね

 

生産者危険と消費者危険の意味について

OC曲線とは?生産者危険と消費者危険を理解してOC曲線を使いこなす

【OC曲線(例)】

OC曲線の縦軸にはロットの合格率を
横軸はロットの不適合品率を取ります

不良率が低ければ合格率は高まり
不良率が高ければ合格率は下がるため
グラフは左上から右下へ
緩やかなカーブを描くことになります

この曲線は検査の合格ロットの中に
1つも不良品がないとは断言できず
抜取具合(数、頻度)や検査結果で
良いロットを悪いロットと判断したり
その逆もあることを示しています

曲線を見ながら考えていきましょう

 

生産者危険とは何か?

OC曲線とは?生産者危険と消費者危険を理解してOC曲線を使いこなす

上図のα(=1-P(p))は
不適合品率が低いにも関わらず
ロットが合格する確率が
100%よりも小さい確率(1-α)と
なってしまいます

αが大きいと生産者が不利になるので
生産者危険といい
第1種の誤りともいいます

本当は合格なのに
ちょっとしたことにあわてて
不合格にしてしまうことから
「あわて者の危険」ともいいます
(α=A:アワテ者)

 

消費者危険とは何か?

上図のβ(=P(p))は
不適合品率が高いにも関わらず
ロット合格する確率が
0%よりも大きい確率:βとなります

βが大きいと消費者が不利になるので
消費者危険といい
第2種の誤りともいいます

本当は不合格なのに
誤りに気付かず合格にすることなので
「ぼんやり者の危険」ともいいます
(β=B:ボンヤリ者)

α=A:アワテ者といい
うまく表現しますよね、笑

また1-βは
ロットを不合格とする確率
つまり不合格を合格としない確率で
検定力と呼ぶこともあります

 

OC曲線の使い方について

OC曲線の使い方は
その考え方を理解したうえで
出荷側と受取り側に対する保護を
バランスよく設定していく場合に
規準型抜取検査という体制を
選択していきます

出荷側に対しては
生産者危険(通常、α=0.05)を
受け取り側はに対しては
消費者危険(通常、β=0.10)を
それぞれ一定の小さい値に決めて
OC曲線を見つけ出して
サンプル数(n)と
合格判定個数(c)を
決定していきます

例えば、受入検査などで
計数規準型一回抜取検査表
(JIS Z 9002:1956)を用いて

OC曲線とは?生産者危険と消費者危険を理解してOC曲線を使いこなす

P0が「なるべく合格させたいロットの不適合品率の上限(0.30%)」に、P1には「なるべく不合格としたいロットの不適合品率の下限(4.0%)」と決定すれば、ロットから検査のために抜き出すサンプル数(n=100)と、そのサンプルから不適品を何個まで合格させるかの個数(c=1)を決めることができます

規準型抜取検査は、このようにして
検査するサンプル数と不適合品数を
設定していきます

なかなか使えそうですよね

 

OC曲線の見方~生産者危険と消費者危険を理解する~

OC曲線の考え方と見方
生産者危険と消費者危険
ご理解をいただけたかと思います

一見すると生産者と消費者という
トレードオフな関係に見えますが
生産者が不利になりすぎることは
ストレートにコストに影響するため
結局はお客さまにとって
ちょうど良いバランスを保とうと
するための考え方です

ぜひご理解のうえ
活用いただければ幸いです

 

 

それでは今日はここまでです
今後ともよろしくお付き合いくださいませ☆

長文・乱文を最後まで読んでくださり
いつもありがとうございます♪

すべては御社の発展のために
すべてはあなたの笑顔のために

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。10年間で600社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

目次