「DXを進めよ」「デジタルを味方につけよ」「他社より先に武器を手に入れろ」
そんなことはみんなわかっているはずなんです。でも実際にはなかなか現場は変わらない。
そりゃそうなんですよ。なぜならもう何十年も、よかれと思って考えに考えた作業方法が現場に定着していて、同じ作業方法さえ守っていれば、大きな問題もなくこれまでと同じ仕事ができるはずだから。。。
いやいや、それはもう完全なる時代錯誤です。
デジタルを味方につけた工場はどんどんと効率化を進め、同じ値段で売っているのにしっかり収益を生み出し、働く現場の仲間の給料が上がったり、あたらしい設備を増やしたりして、時間が経てば経つほど差が開いているのが現実です。
デジタル化は、これからの仕事を続けたいならどうしてもやらなきゃいけない。では、どこから始めるのが現実的なのでしょうか?
今回はそのひとつの答えとして、工場のDX(スマートファクトリー化)の基本構造を紐解きながら、それらを打破できる「カミナシ」というツールを紹介しながら、そのアプリを使って現場の反発を乗り越えた3社のリアルな成功事例を、現場目線で提案していきます。
それは今回も読み終えるまでのお時間、しばらくお付き合いくださいませ。
そもそも「DX」とは何か?現場が目指すべき「スマートファクトリー」
世間では「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉が飛び交っていますが、会社から「DXをやれ」と言われても、なんだかピンとこないのが本音ですよね。実はDXと一口に言っても、大きく分けると3つの方向に分類されます。私たちの現場が本当に目指すべきゴールはどこなのか、まずは整理してみましょう。
①スマートプロダクト(製品自体のIT化)とは?
これは、作っている製品そのものをIT化し、便利にすることです。たとえば、インターネットに繋がる家電などがこれにあたります。製品の付加価値は上がりますが、これだけでは現場の毎日の作業が直接楽になるわけではありませんよね。
②スマートサービス(顧客体験のIT化)とは?
お客様がモノを買ったり使ったりする体験をITで便利にすることです。スマホでの注文や決済システムなどが該当します。これも営業や販売の仕組みの話であり、製造現場のドロドロとした課題を解決してくれるものではないはずです。
③スマートファクトリー(製造現場のIT化)とは?
私たちが取り組むべきなのは、間違いなくこの「スマートファクトリー」です。工場や製造現場の仕組みそのものをIT化し、圧倒的な生産性向上とコスト削減を実現することを指します。
これを現場目線で言うと、「自分たちの首を絞める無駄な作業をなくし、より働きやすい環境を作るための手段」です。
私たちが普段、現場で頭の中でやっている「この機械、そろそろメンテだな」「この手順だとミスが出やすいな」という職人の知恵(暗黙知)がありますよね。それをデータとして見える化し、スマホやタブレットでサクッとチーム全体に共有できる状態を作る。それによって、特定の誰かに負担が偏るのを防ぎ、現場のみんながスムーズに動けるようにする。これこそが、現場の人間が目指すべき「スマートファクトリー」の形なんじゃないかなと思います。
スマートファクトリーを実現する「改善の4プロセス」
現場の仕事がスムーズに回り、どんどん改善が進む=レベルアップしていく仕組みというのは、おおよそ以下の「4つのプロセス」をぐるぐると回すことで実現します。これまでは、現場の一部の誰かが汗をかき、頭をフル回転させてなんとか乗り切ってきた部分ですが、これを特定の誰かの頑張りだけに依存するのではなく、現場のみんなでチームとして取り組める仕組みにすることが重要になります。
1. 現状を調査する(情報のデータ化)
まずは「今、現場で何が起きているか」を正確に把握することです。これまでは紙のチェックシートに手書きで記録していましたが、IoTセンサーやスマホ、タブレットのデジタル帳票を使い、現場のリアルな状況をそのままデータとして取得します。
2. 調査内容を整理・分析する(データの集約)
集まった情報を整理し、「なぜその問題が起きたのか」「どこに無駄があるのか」を見つけ出す工程です。ITツールを活用すれば、バラバラだったデータが自動的にグラフ化され、ひと目で状況がわかるようになります。
3. 対応策を検討する(知見の導出)
分析結果をもとに「次はどう動くか」を考えます。ここで最新のAIなどを活用すれば、過去の膨大なデータや熟練の知恵から、「こういう時はこの設定がいい」といった最適な解決策を瞬時に導き出してくれます。
4. 対応策を実行する(自動化)
決まった対応策を実際の現場の動きに落とし込みます。FA(ファクトリーオートメーション)機器などを使い、人の手を煩わせることなく自動で作業を調整・実行していく段階です。
改善力の強い現場は、これまでこれら4つのプロセスをすべてヒトの作業や努力でこなしてきました。これをひとつひとつ自動化していこう、というのがデジタル化の主な目的です。なので、「1. 現状を調査する」の段階を、いまだに「紙の帳票」で行っていれば、これを自動化したいわけです。その理由は以下のとおりです。
紙で記録してしまうと、「2. 調査内容を整理・分析する」のステップへ進む前に、事務所に戻って「Excelへの転記作業」など、地獄のような手間が発生してしまいます。この作業、本当に無駄で疲れますよね。
今回ご紹介する「現場DXツール」というのは、まさにこの「1のデータ化」から「2の分析」への壁を取り払うためのものです。手書きからExcelへの転記作業をゼロにし、現場に一切の負担をかけずに、自動で次のプロセスへ繋いでくれる強力な拡張機能になります。
「ツールは仕事を増やすもの」ではなく、「俺たちが楽に次のステップへ進むための橋渡しをしてくれるもの」。そう考えると、新しい仕組みを取り入れる意味がすっと腑に落ちるんじゃないでしょうか。
現場の反発を抑え、紙をゼロにするツール「カミナシ」とは?
「現場をペーパーレス化するぞ」とタブレットを渡されても、正直なところ「手袋を外して画面をポチポチ打つなんてやってられるか!」というのが現場の本音ですよね。私たちがタブレットを嫌がる最大の理由は、デジタルが嫌いだからではなく、単純に「文字入力が面倒だから」です。
カミナシは、そうした「現場の面倒くささ」を極限まで削ぎ落とした現場DXツールです。会社が私たちを管理するためのシステムではなく、私たちが毎日の仕事をサクッと終わらせるための「拡張機能」として、どのように役立つのかを見ていきましょう。
①レポート機能:直感的な操作で紙より楽になる
スマホやタブレットで、普段使っているアプリのように直感的に操作できるデジタル帳票です 。
どんないいことがあるか?(メリット)
文字を書く手間が省けるだけでなく、チェックの「抜け漏れ」をシステムが自動で防いでくれます 。事務所に書類を出した後に「ここ、ハンコ漏れてるよ」と突き返されるイライラがなくなります。また、いつもと違う数値を入力した時にはアラートで教えてくれるため 、異常の放置を防ぎ、自分たちの身と製品の品質を守ることに繋がります。
具体的な使い方
キーボードで文字を打つ必要はありません。画面に表示されたチェック項目をタップして選んでいくだけです。もし機械にちょっとした異常を見つけたら、その場でスマホのカメラで写真を撮って貼り付けることができます 。手順が不安な時は、同じ画面でマニュアルを確認しながら作業を進められるので 、誰がやっても迷わず正確な記録が残せます。
②コミュニケーション・教育機能:言葉の壁をなくし、見て覚える
メールアドレス不要でログインでき 、自動翻訳付きのチャット や、短い動画マニュアルを配信できる 現場専用のコミュニケーションツールです。
どんないいことがあるか?(メリット)
最近は外国人の仲間や、新しく入ってくる若い子たちも増えましたよね。身振り手振りで必死にコツを伝える苦労や、「伝わっていなかった」というすれ違いをなくすことができます 。言葉の壁がなくなり、みんなが同じレベルで動けるようになるため、チーム全体の作業スピードが格段に上がります。
具体的な使い方
チャット機能では、私たちが日本語でメッセージを送ると、相手のスマホにはベトナム語など、設定した母国語に自動で翻訳されて表示されます 。また、ちょっとした作業のコツはスマホで動画に撮ってアップするだけ。AIが自動で字幕や翻訳をつけてくれるので 、若い子たちは自分のスマホで何度も「見て覚える」ことができます 。
③設備保全機能:「あの時の状況」を一瞬で呼び出す
工場にあるすべての機械の「過去のトラブル履歴」や「予備品の在庫状況」を、スマホ一つで一元管理できる設備カルテです 。
どんないいことがあるか?(メリット)
「機械が急に止まったけど、ベテランさんが休みで直し方が分からない」という、現場が一番ヒヤッとする事態(属人化)を防げます 。過去の知恵がいつでも引き出せるようになるので、復旧までの時間が劇的に短くなります 。
具体的な使い方
機械にQRコードを貼っておき、調子が悪い時はスマホで読み込みます 。すると、過去に誰がどうやって直したかの記録がパッと出てきます。部品を交換した時はアプリ上で入力すればよく、在庫が少なくなれば自動で「要発注」のアラートを出してくれるので 、「いざという時に部品がない!」という悲劇も防げます。
【事例解説】猛反発から一転!現場がシステムを味方につけた3社のリアル
「機能がすごいのは分かったけど、うちのベテランさんたちが使うわけないよ」と、まだ半信半疑かもしれませんね。新しい道具を導入する時、一番の壁になるのは機能ではなく「現場の抵抗」です。
ここからは、実際に「そんなもん使えるか!」という猛反発を受けながらも、結果的に現場がシステムを味方につけた3社のリアルな事例 をご紹介します。他の現場がどうやって「自分たちのメリット」を手に入れたのか、その生々しい裏側を見ていきましょう。
機械製造業A社(大阪府・50名)の場合:属人化とデジタル反発の壁
産業機械の設計や製造を行っているA社 では、会社から「ペーパーレス化」が掲げられても、現場にはこんな問題が山積みでした 。
【現場のあるある問題1】
- 「紙が一番早いんや!」と号令を無視
長年のやり方を変えるメリットが現場に伝わらず、30種類以上の紙帳票が溢れかえったまま 。 - 「俺のやり方が正解だ」という検査のバラつき
検査手順が特定のベテランさんの頭の中にしかなく、人によってチェック項目や基準が違うという属人化が発生 。 - 「老眼で見えんし、手が汚れる」という言い訳
タブレットを渡しても、何かと理由をつけて触ろうとしない強硬な反発 。
【カミナシでの解決策と成果1】「直感的な入力画面」
文字を打ち込むのではなく、写真やチェックボックスを主体とした「直感的な入力画面」機能が有効です 。
- どんないいことがあるか?(メリット): キーボード入力のストレスが排除され、誰がやっても同じ基準で検査ができるようになります。結果として、30種類の紙帳票がデジタル化され、年間50日分もの業務時間が削減されました 。
- 具体的な使い方: タブレットの画面に出てくる指示通りにチェックを進めるだけ。これによって業務の標準化が進み、検査の属人化が解消されました 。導入を機に「これなら俺でも使える」と、現場のみんなのデジタル化への意欲が向上し、改善が進みやすい環境に変わったそうです 。
食品製造業B社(静岡県・100名)の場合:書式の乱立と監査前の残業地獄
地元食材を使った食品製造を行うB社 では、厳しい品質基準(ISO22000など)を満たすため 、現場の負担が限界に達していました。
【現場のあるある問題2】
- 「その用紙、もう古いです」書式の乱立
製造するチームごとに勝手に記録用紙を改変しており、全社の情報集計が不可能な状態に 。 - 「去年の記録、どこやった?」監査前の残業祭り
監査が近づくと、段ボールの山から過去の紙記録を探し出すために、中心になって動く人たちが深夜まで残業 - 「ハンコ押すだけで1日終わる」承認リレー
現場から上がってきた大量の紙の束に、ひたすら印鑑を押すだけの無駄な時間が発生。
【カミナシでの解決策と成果2】「統一された記録フォーマット」&「ワンタップ承認機能」
全チームで共有できる「統一された記録フォーマット」と、タブレット上での「ワンタップ承認機能」が役立ちます。
- どんないいことがあるか?(メリット)
書式のバラつきがなくなり、記録の徹底とデータ検索が圧倒的に楽になります。これにより、残業時間がなんと3分の1に激減 。さらに、念願だったISO22000の取得にも成功し、監査員からも称賛される職場になりました 。 - 具体的な使い方
現場は統一されたフォーマットに沿って記録を残し、確認する側もタブレットからワンタップで承認を完了させるだけ。過去の記録も一発で検索できるため、監査前のドタバタが完全に消滅しました。
金属加工業C社(静岡県・15名)の場合:突然の機械停止と「油まみれのノート」
金属スクラップ加工を行うC社 では、設備に関するトラブルが現場の生産時間を奪っていました 。
【現場のあるある問題3】
- 「また機械止まった!原因なんだ?」で半日ロス: 突発的な設備トラブルが起きると、原因究明と対応だけで現場が半日ストップしてしまう 。
- 「前も同じとこ壊れたよな?」記録は担当者の脳内のみ: 設備に関する情報が記録されておらず 、特定の担当者の頭の中か、読めない字で書かれた油まみれのノートにしか存在しない(属人化) 。
- 「予備の部品、誰か使った!?」在庫切れの悲劇: いざ修理しようとしたら予備部品がなく、部品到着までラインが完全に止まる。
【カミナシでの解決策と成果3】設備カルテ」と「予備品管理機能」
機械に貼ったQRコードと連携する「設備カルテ」と「予備品管理機能」が効果的です 。
なぜ彼らは「現場の反発」を乗り越えられたのか?3つの成功ポイント
さて、3つの現場のリアルな声を見てきましたが、彼らも最初は「そんなもの使えるか」と強く反発していました。では、なぜ最終的にシステムを味方につけ、自分たちの道具として使いこなすことができたのでしょうか。そこには、新しい仕組みを導入する際に現場の中心になって動く人たちが実践した、3つの「うまいやり方」がありました。
ポイント1:現場に「文字入力をさせない」工夫をした
新しい道具を渡されたとき、一番苦痛なのはタブレットでチマチマと文字を打たされることですよね。成功した現場は、この現場が感じる「面倒くささ」を徹底的に排除しました。画面にはプルダウンやチェックボックスだけを用意し、何かあればスマホで写真を撮るだけ。つまり、「選ぶだけ・撮るだけ」の仕組みを作ったことが最大の勝因だったんです。これなら、油で汚れた手でも、文字を打つのが煩わしくても、普段のスマホ感覚でサクッと記録を終わらせることができますよね。
ポイント2:「会社のため」ではなく「現場が楽になるため」を提示した
会社から「ペーパーレス化を進めろ」と言われても、俺たち現場の人間にとっては知ったことではないというのが本音なんじゃないかなと思います。成功した現場では、「会社の方針だから」という建前を押し付けませんでした。その代わり、「これを使えば過去の書類を段ボールから探す手間がなくなるよ」「日報を書くための居残りがなくなるよ」という、現場のみんなが直接得られるメリットにフォーカスしたんです。自分たちの理不尽な忙しさが解消されると分かれば、ベテランさんたちも「それならちょっと試してみるか」と前向きに動いてくれるようになります。
ポイント3:確認の「承認待ち」というボトルネックを破壊した
せっかく現場が急いで記録を上げても、確認する人がハンコを押すまで次の処理が進まない。あの承認待ちのイライラは、現場のスピード感を削ぎ、やる気をなくす大きな原因です。成功した現場では、このボトルネックをクラウドの力で完全に破壊しました。現場からデータが上がれば、離れた場所にいてもスマホで即座に内容をチェックし、ワンタップで承認やちょっとした声かけを返せる仕組みにしたのです。このスムーズなやり取りを現場が体感したことで、「新しい仕組みって、俺たちの仕事を止めないためのいい相棒なんだな」という信頼に繋がっていきました。
まとめ:DXの第一歩は「現場の面倒」を取り除くことから
現場をスマートファクトリー化していく第一歩は「データの取得」だと言われます。しかし、現場の状況を無視して「今日から紙をやめてタブレットで記録しろ」とだけ言われたら、俺たち現場の人間が反発するのは当たり前ですよね。
現場が嫌がるのは「変化」そのものではなく、「これまでの工夫や、自分たちのスムーズな動きを邪魔されること」です。だからこそ、直感的に操作できて入力負担のないツールを選び、まずは徹底的に「現場の面倒くさい」を解消するアプローチを取ることが一番大切なんじゃないかなと思います。
その「面倒」さえクリアしてしまえば、普段から「どうすればもっと効率よく良いモノが作れるか」を頭の中で考えているベテランの職人さんたちは、必ず強力な味方になってくれるはずです。
まずは「一番面倒な1枚」から変えてみませんか?
いきなり工場の仕組みをすべてデジタルに変えようと気負う必要はありません。
まずは、皆さんの現場で一番不満が出ている「毎日書くのが面倒な紙のチェックシート」を一つだけピックアップして、カミナシのような直感的なツールに置き換えてみませんか?
「お、これなら手が汚れてても意外と楽だな」
「もう事務所までハンコをもらいに行かなくていいんだな」。
そんな現場の小さな成功体験が、結果的に工場全体の仕組みをスマートに動かしていく、一番確実で大きな一歩になるはずです。自分たちの知恵を活かせる新しい道具を使って、もっと働きやすくてかっこいい現場を、みんなでつくっていきましょう。


