IE手法7つ道具①タイムスタディ(時間研究)標準時間設定編

IE手法7つ道具①タイムスタディ(時間研究)標準時間設定編

IE手法でとても重要な概念として
7つ道具①『タイムスタディ(時間研究)』

その概論については過去に説明しました

【参考記事】>IE手法の7つ道具①タイムスタディ(時間研究)概論編
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その目的はもちろん単位作業を
要素作業単位で分解してみることで
ムダがないか再確認することにあります

そのことによって
関係者は対象の作業について詳しくなり
かつ、改善の糸口をみつける技術を得ます

これを繰り返すことが
組織的な現場改善力を高めることに
貢献するのがIE手法のスゴいところ
  
  
一方で実はこのタイムスタディ(時間研究)
さらなるパワフルな活用方法があります

それを今回は紹介して行きたいと思います  

しばらくお付き合いくださいませ
  
  

 

目次

タイムスタディ(時間研究)における標準時間とは

まずは標準時間とは
どのようなものでしょうか?

【標準時間とは】
標準時間とは、決められた作業方法を一人前の作業者が標準の速さで作業を行う時に必要な作業時間である。

簡単に表現するなら
ベテラン作業者が普通に作業した時の時間
と言えます
  
  
だからどうなんだ?
これを知ってどうするの?

要するにこの時間より早ければ効率的
この時間より遅ければ不効率
  
  
生産性向上という目的を置いた時に
いまの作業が良い状態か、悪い状態か
判断できるラインを引いて置こうと
そういことです

 
 
例えば。。。

自動車で70Kmの速度を出したとします

スピードを出しすぎでしょうか?
  
  
それは走っている道路の制限速度が
一般道路の60Kmなのか
高速道路の80Kmなのか によって
判断は変わりますよね

このように標準時間を設けることで
すべての作業が早いのか、遅いのか
さらにそれはどういった要因なのか

そういったアラームを鳴らすことが
可能となるわけです
  
  
それではその標準時間はどのように
設定すればよいのでしょうか?

実は標準時間には条件があります
  
   

標準時間に求められる条件

標準時間は
作業スピードを評価する機能を守るため
以下の3つの要件が必要になります

【標準時間に求められる要件】
 1.公平性:工場や職場間で差がでないこと
 2.適正:正確な値であること
 3.普遍性:一般的に妥当な尺度を持つこと

この標準時間は一般的に
生産計画の能力算定の元データや
原価(見積)計算の基準情報などに
活用されることほとんどで

ものづくりの現場ではほぼ
機能的根幹を担うことが多いです
    
  
そのため上記の3つを確保する必要があり
これを守れないと間違ったモノサシで
現場は走ることにつながってしまうため
細心の注意が必要だということです

3は競合との交流がないと困難であるため
少なくとも1,2は確保したいところ
  
   

標準時間の設定方法

IE手法7つ道具①タイムスタディ(時間研究)標準時間設定編

【標準時間の設定方法(例)】

まず当たり前ですが
どうやって標準作業時間を設定するかを
最初に検討します

ただし、標準作業ですから
その時点で考えている一番良い作業方法で
検討することが前提です
 

基本時間の設定

そういう作業方法について
タイムスタディ(時間研究)の方法
あるいは今後説明するPTS法などを
活用して実際の時間を調べます

そして設備については
設備標準時間を別で定めます

それらを用いで基本時間を設定します
 

余裕率の付加


IE手法7つ道具①タイムスタディ(時間研究)標準時間設定編

【余裕率設定基礎表(例)】

その後、余裕率というものを検討します

余裕時間には
人的余裕、疲労余裕、遅れ余裕という
3要素あって、余裕率設定基礎表等を参考に
余裕率を決めます

ま、なにかしら基準を決めておくということ
  
  
余裕率というのはとくルールはありませんが
おおよそ一般的には10%前後です

ライン方式の工程だと10%くらい
セル方式だと6~8%くらいをよく聞きます
  
  
肉体的にキツイ職場であったりとか
移動が非常に多い職場なんかだと
余裕率を大目にとっておくことも必要です

会社の考え方や職場の特性によって
考え方も基礎表の内容もバラバラなので
それぞれの職場で検討いただければ
それがベターです
 
   

標準時間の設定

余裕率が決まったら標準時間を設定します

【標準時間の構成】
標準時間 = 基本時間 + 余裕時間
     = 基本時間×(1+余裕率)

基本時間と余裕率を活用して
それぞれの標準時間を設定します

これを工程別、作業別に
標準時間一覧表を作っていくという
流れになります

最近は余裕時間を入れない企業も
多くなってきているのでご参考ください
  
  
 

IE手法7つ道具①タイムスタディ(時間研究)標準時間設定編まとめ

さて標準時間という概念について
ご理解は進みましたでしょうか

中小企業製造業をお伺いすると
しっかり標準時間を設定している企業は
やはりしっかり実力を伸ばしています

そりゃ、今日やった作業時間が
良かった、悪かったか、その原因はなにか
ちゃんと把握できなければ
自らの改善意欲さえ生まれないですよね
  
  

生産性を高める第一歩はこういった
作業の見える化からスタートすると
作業者にとっては分かりやすいです

では、時間はこの標準時間を決める
基本時間を計測する具体的な手法
PTS法について解説をしたいと思います

ぜひご理解いただいて
活用くださいませ

 
   
  
それでは今回はここまでとなります
今後とも宜しくお付き合いください☆

長文・乱文を最後まで読んでくださり
いつもありがとうございます♪

すべては御社の発展のために
すべてはあなたの笑顔のために

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この記事を書いた人

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。10年間で600社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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