製造業のコストダウン事例~難易度別の工場戦術ネタ・アイデア~

製造業のコストダウン事例~難易度別の工場戦術ネタ・アイデア~

製造業コストダウンを進めるにあたり
やっぱり他社がどんな方向性を見出し
取り組んでいるのか?は気になります

どんな技術を習得するにもかならず
まずは真似してやってみてその体験を
自分のものにするのは定番ですからね

そこで今回は西本が見てきた
中小製造業がよく取り組んでいる
有効で一般的なコストダウン事例を
工場戦術のネタ・アイデアとして
難易度別に紹介していこうと思います

 
しかしあくまで個人的な知見を
整理しただけの参考事例です

ものづくり工場の取組み方向として
段階的な成長ステップの参考例として
ご参考いただければと思います

今回も読み終えるまでのお時間
しばらくお付き合いくださいませ

 

目次

コストテーブルの3つの構成要素

製造業のコストダウン事例~難易度別の工場戦術ネタ・アイデアについて~

 
原価管理の中心的な役割を担う
コストテーブルは情報の中心です

まずはこれらの情報を整備することで
原価の見える化が進んでいくため
まずはここからスタートするのが定番

ただこのコストテーブルには大きく
以下の3つの構成要素で分けるのが
標準的な考え方になります

 

コストテーブルの3つの構成要素
○ 材料費
○ 労務費
○ その他経費

 

たしかにちょっとおおまか過ぎますが
最初はこのくくりで進めていただき
必要だと思う大きな経費は別出しして
管理の詳細さを決めてください

 
会社によって外注費用とか
電気やガスや水道を多く使う会社は
水道光熱費、いやこれこそ別出しで
電気代、ガス代、水道代などを独立

あるいは燃料費など製造業なら特有の
大きくかかる経費があるかと思います

材料費、労務費、以外に
大きく見たい経費がある場合には
1つ2つ増やすくらいでちょうど良いかと

 

なので今回の工場戦術ネタ・アイデアは
材料費・労務費・その他の3つに分けて
それぞれ4つの難易度レベル別に
紹介することにしていきたいと思います

ぜひ御社の次のステップを考える時に
参考にしてみてください

 
【原価管理の基礎知識はこちら】
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材料費を削減するネタ・アイデア

それではまずは材料費を削減する
ネタ・アイデアについて紹介します

 

[難易度1]複数購買の検討

まず複数購買を検討します

この複数購買は、1社だけでなく
複数の取引先から情報を得ることが
大きな目的になります

 
1社購買は構造上どうしても
情報格差のリスクが高まるため
いいようにやられやすいのです

そのため大幅な発注シフトは品質上
危険が伴う場合はあるため慎重に

特に主要材料はすべて
複数社から購入し情報交換すべきです

つまりもっと勉強すべきだと
その効果も大きいとお考えください

 
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[難易度2]VE/VA手法の導入

次のネタ・アイデアは難易度が上がり
VE/VA手法の導入の検討です

VE/VA手法特有の考え方である
価値 = 機能 ÷ コスト の論理で
原価削減案を見つけることを狙います

この技術や習慣が社内に根付けば
組織として原価低減が定着すると共に
開発力も飛躍的に向上します

 
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[難易度3]購入品の原価分析

次に挑戦いただきたいのは
購入品そのものの原価分析です

自社の原価分析力が身についたら
購入品の原価分析もできます

 
つまり材料相場や歩留、良品率などの
共通情報から計算して確認します

この変動要因を押さえられれば
価格交渉や提案が有利になりますので
さらなる効果も期待できます

 

[難易度4]有償支給化や共同購入等のしくみづくり

最後は本当に難易度が高いですが
主要材料の有償支給化を図れれば
材料相場の価格変動を吸収可能

また同業をまとめてグループ購入など
構造的な大量購入方法を検討します

つまり積極的に購入価格を
抑えるしくみづくりを進めるわけです

 

労務費を削減するネタ・アイデア

次に労務費を削減するために
多くの製造業が取り組んでいる
ネタ・アイデアは以下のとおり

 

[難易度1]3S活動の徹底

まずは基本の3S活動の徹底からです

整理・整頓・清掃の徹底をすることで
ロスが最少な職場をつくっていきます

それと同時に組織的にルールが
守れる体制づくりが進んでいけば
次の難易度2に挑戦する実力が
つくことになります

 
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[難易度2]不良率の削減(QC活動)

まず組織の基本として3Sができれば
次のステップQC活動ができるハズです

つまり不良発生要因を分析して対策し
良品率を向上させロスを減少させます

やはり不良を出してしまえば
それまでの労力は全てなかったことに
なってしまうことがご存じのとおり

不良発生を抑制することで
不必要なロスを削減していくため
あらゆるメンバーで考えて対策する
問題解決の「型」を標準化します

 
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[難易度3]IE手法により最適作業の追求

その標準化が進んだうえで現場の中の
QCDレベルの改善が進んだ次は
問題を見える化できるツールが豊富な
IE手法をQC活動の中で活用します

 
そのことにより
直感では見つからない問題を
見える化できるようになります

これまで見えなかった問題に対し
しっかり対策をうてるようになります

つまり組織的な改善活動の高度化が
図れるようになることで
飛躍的に生産性を高められる職場への
進化を狙うということですね

ここまでくれば対競合コスト競争力は
そこそこの能力を持つ会社になります

 
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[難易度4]IoT機能を設置してデータの自動蓄積

IE手法で改善体制の整備に成功したら
最後はその現場調査手段をIoTで
自動監視させるように進めます

IoTはテクノロジーを搭載した
設備を購入するなどで装備可能ですが
多くの工場では自職場の課題解決に
つなげられていないところがほとんど

なぜなら自社の課題への改善能力を
育てないまま情報だけ得たところで
何のメリットもないからです

メリットがなければ組織がヒトが
動くわけはないですよね

なのでIoTなりテクノロジー活用は
難易度3までしっかり階段を
登った工場だけが有効に使えると
いうわけです

 
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その他経費を削減するネタ・アイデア

それでは次はその他経費を削減する
ネタ・アイデアの解説を進めます

ただしその他経費は会社毎に
特性がまったく違ってくると思うので
それぞれ自社に合うかどうか見ながら
参考にしてください

 

[難易度1]内製化を進めて外注費比率を減少させる

最初は外注費が多くを占める工場は
一旦、内製化を検討してください

負荷の前倒しや生産能力の増強などで
外注加工比率を削減させます

そのことで外部に流出するコストを
抑えることが可能となります

 
昔からこの作業は社内で出来るのに
なぜか外注に回すようにしている

一度途切れるともう依頼できないから
戦略的に定量を流すようにしている

そんな工場も多いかとは思います

 
ただし工場が生き残るためには
そんな甘い考えでは敗戦濃厚です

しっかり長中期的に戦略を考えて
緻密にしたたかに立ち振る舞うことも
とても大切な考え方になります

 

[難易度2]水道光熱費を節約する

2つ目は水道光熱費を節約します

節約はすでにやっている工場も
多いかと思います

この提案は使用量を節約するのでなく
契約会社見直しや省エネ設備の導入で
経費圧縮を図ろうとするものです

 
現代ではいろいろなお得なサービスが
提供されていますのでいろいろ試して
当社に合った契約形態を探しましょう

もし効果が大きいのであれば
カーボンニュートラルやSDG’sなどの
助成金をうまく使って積極的に投資し
ランニングコストを下げる選択肢も
十分に検討の余地はあるはずです

 

[難易度3]計画的な設備保守で設備を大切にする

3つ目はなんと言っても設備・機械を
大切にあつかって長持ちさせます

具体的には設備保守ができる能力を
組織内に装備するということです

設備保守も専門知識が必要なので
担当者を育成する機会を設けます

 
中小製造業は設備保守を
設備屋まかせにすることが多いです

そのため作業者には設備を大切に
あつかうマインドが育ってません

つまりメカニックがいない
F1チームだということ

タイヤ交換が必要になったら急ぎ
近所の自動車屋に電話して来てもらう

そんなF1チームはないですよね、笑

 

当社の設備に合致したメンテナンスは
その工場で働くヒトが考えるべきです

道具を大切にしないアスリートは
結局強くななれないのと同じかと

結果、設備保守ができる工場は
減価償却費および修繕費を節減して
はたまた安定生産で品質力も高まり
コスト負荷を下げることができます

 

[難易度4]その他経費の最適化プロジェクトを編成

最後はその他経費にメスを入れます

もちろん対象とするのはその中でも
大きい金額の項目から対策します

具体的にはQC活動の中で
対象経費の削減をテーマとして
取り扱って対策をしていきます

どうやれば削減できるのか?
QCDの影響を考慮しながら
自社らしい対策を重ねていきます

これで全網羅的にムダのない
コストスリムな工場に
なっていくはずです
 
 

コストダウンの全体戦略としての事例

コストを構成する3つの項目について
難易度別に事例を紹介してきましたが
最後に全体戦略としての製造業事例を
まとめとして同様に紹介します

 

[難易度1]主要製品からコストテーブルを作成する

まずはなんと言っても
コストの見える化を進めてください

この見える化を進めていくことで
自分の工場は何の項目が
原価に大きな影響を及ぼすのか?が
体感的に理解できてくると思います

その項目は一般的に
コストドライバと呼ばれています

自社のコストドライバが見つかれば
というか全員の理解が進めば
ちゃんと制御しようとのチカラが
工場内に生まれます

それがホントの意味で大切なんです

自社の工場は何がもっとも
原価に影響を及ぼしているかを知る

それは本当に重要です

 
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[難易度2]組織的な改善活動をスタートさせる

そしてコストが見えるようになったら
コストを制御・統制できるようになるため
3S活動、QC活動、IE手法orVE/VAの導入など
改善活動をスタートさせてください

せっかく見えるようになったのですから
今度はそれをコントロールできるよう
組織的な機能を装備していきます

もちろん機能装備とは言っても
どこかの部品を取り付けるように
簡単にはいかないものです

自社の強みとはなにか?
それをさらに活かすために
必要な機能とはどんなものか?

それぞれ独自の試行錯誤が
必要となります

そんな課題に向き合う仕組みとして
かならず改善への活動が必要です

ぜひカタチだけからでもはじめて
徐々に自分達のスタイルを
確立していってください

 
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[難易度3]中長期的なコスト削減戦略を立案する

3つ目は中長期的なコスト削減戦略を
立案していってください

これまでのコストの見える化に加え
改善活動が定例化できるようになると
目に見える課題が解決していくことで
恒常的に根を張った課題がでてきます

つまり、改善ではなく改革しなければ
解決できない根本的な課題です

それはおそらく長期間かかると同時に
各テーマごとでなく全社的に全員で
取り組まなければなりません

そんな時にはしっかり経営戦略に
組み込んでしっかり対応していく

そういう長中期的に取り組めれば
おそらく大きな課題もクリア可能です

例えば自社の管理体制にMQ会計や
TOCの導入も視野に入れるなど

ぜひチャレンジしてみてください

 

[難易度4]デジタル手段の導入で改善の自動化を図る

これまでの3つを取り組んで始めて
生産管理システムの構築・導入や
IoT・AI活用を検討する段階に移ります

ITツールは確かにメリットを生みます

しかしそのツールが
あなたの会社に合ってるかどうか

それは実際に経営課題に向き合ってる
そんな会社でなければ判断は無理です

 
だからこそシステムを入れたものの
使われてない現場がどれだけ多い事か

売り込みの言葉だけをまる呑みにして
そのツールが本質的な我が社の成長に
寄与できるかどうかがわからないまま
多額の投資をする間違いを起こします

そりゃそうですよね
課題に向き合ったことがないから
分からないのはしょうがないですよね

だから向き合って欲しいわけです
戦って欲しいわけです

我が社独自に持っている課題を

 

製造業のコストダウン事例まとめ

今回は難易度別というかステップ順に
製造業のコストダウン事例について
まとめてお伝えしました

一般的なイメージですのでそれぞれ
自社の状況に読み替えて参考に
していただければと思います

 

 

それでは今日はここまでです

今後とも宜しくお付き合い下さい☆

長文乱文を最後まで読んでくださり 

いつもありがとうございます♪

すべては御社の発展のために
すべてはあなたの笑顔のために

 

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この記事を書いた人

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。10年間で600社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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