製造業の生産性向上を実現できる職場が持つ4つの必要条件

製造業の生産性向上を実現できる職場が持つ4つの必要条件

製造業にとって生産性向上は
必ず取り組むべき課題と言われます

でもそもそも生産性とは何か?
なぜ向上させる必要があるのか?
でどうやれば向上させられるのか?

なんとなく理解はしているものの
簡潔に説明ができないとの声が
よく聞こえてきます

 
そこで今回は製造業における
生産性とはどういう意味なのか?
向上させるとどんなメリットが?
実際何に取り組めばよいのか?

について簡単に解説をすると同時に
それを実現させる4つの必要条件を
お伝えしていきたいと思います

今回も読み終えるまでの3分間ほど
お付き合いいただければ幸いです

 

目次

生産性向上とはなにか?

ところでそもそも生産性とはなにか
あなたは誰かに説明できますか?

いつものようにまずは辞書を使って
言葉の意味を確認してみましょう

 

生産性(読み方)せいさんせい


 労働、設備、原材料などの投入量とこれによって作り出される生産物の産出量との比率。労働生産性、原材料生産性、資本生産性などがある。生産の効率性を示す指標として用いられる。生産率。


出典 精選版 日本国語大辞典/小学館 より

 

表現が難しいですがしっかり読むと
『投入量と産出量の比率』とのこと

投入量=インプットした大きさ
産出量=アウトプットした大きさ

つまりインプットした大きさと
それに『生産=仕事』をしたことで
生産物をアウトプットした大きさ

その比率を『生産性』と呼ぶ

つまり我々が仕事をすることで
どれだけ価値を高めたかという
増大率が『生産性』というわけです

 

生産性の代表格:労働生産性

ここ近年では『労働生産性』という
代表的な指標が国家間の比較として
取り扱われるようになってきました

『労働生産性』とは
付加価値額 ÷ 労働人数 で算出されます

 

製造業で説明するなら
売上高から外部から調達した経費を
差し引いた金額が付加価値額

付加価値額というのは文字通り
うちの会社で付けて加えた価値

つまり仕事した価値そのものを
金額で表現するというわけです

それを労働人数で割る指標

つまりひとり当たり
どれだけの仕事をしたのか?
金額換算するわけです

 

世界では遅れている日本の労働生産性

実は日本中の事業所の付加価値額を
集計した額が国内総生産
『GDP』という指標です

そして日本中の労働人口で割ると
国としての労働生産性が計算できる

 

それを世界比較した時に実は
先進国36ヵ国中、日本は21位と
どれだけ効率悪いねん!と指摘され
『働き方改革』がスタート

だからここ最近では
製造業の中でも『労働生産性』
クローズアップされているわけです

 

製造業における生産性向上の意味

ではこの生産性を向上させる課題は
我々製造業に置き換えた時に
具体的にはなにを意味するのか?
その解説を進めていきましょう

さきほど説明したとおり生産性
つまり代表的な労働生産性で言えば
『付加価値額 ÷ 労働人員』
計算されることになります

つまり生産性向上させるには以下の
2つの方向性があるということです

生産性向上の2つの方向性
方向性1:付加価値額を高める
方向性2:労働人員を減らす

 

それぞれについて具体的に解説を
進めてまいります

方向性1:付加価値額を高める

付加価値額とは付けて加えた金額

売上高から外部調達した金額を
差し引いた額であると説明しました

ようするに付加価値額を高めるには
1-①:売上高を高める
1-②:外部調達額を減らす
のさらに2つの方向性に分解可能

ではこれらを具体的に説明します

 

1-①::売上高を高める

これは本質的なお話となりますよね

売上高はなにも営業活動だけが
効果を生み出すわけではありません

売上高を構成するのは2つ

 
まずはしっかり仕事をして
お客様に喜んでいただくことで
何度もリピートして注文をいただく
既存取引先との取引額

ある一部の特殊な事業を除いて
この取引額を多くを占めていないと
しっかり仕事をしているとは
言えませんよね

選ばれ続けている取引が多いこと

まずはここは基本的に重要です

 
そしてもうひとつはその噂や評判で
初めて注文をいただく新規顧客との
取引額があること

これがないと既存取引先の事情で
売上高が安定しないことになります

既存取引と新規取引の2つの合計で
売上高が構成されている

どちらもしっかりと仕事をしないと
獲得し続けることは困難な一方
他社よりしっかり仕事をしていれば
自然と増えていく構造を持ってます

やっぱり大事なのは仕事の質です

 

1-②::外部調達額を減らす

もう1つは外部調達額を減らす方向

例えば、材料購入価格の値下交渉や
外注量の内製化などの施策のほかに
不良率の減少や歩留りの改善で
購入量を減らすことで減少可能です

この外部調達額を減らす方向性って
中小製造業になればなるほど
取組んでいないところが多いです

取り組めば効果は出るはずなので
なんとももったいないと思います

 

方向性2:労働人員を減らす

この労働人員はリストラか?と
嫌悪感を示すヒトがいますが
いえいえ、適正な人員というのが
とても大切になってきます

 
必要な労働量に対して人員が必要で
雇用が生まれているわけですよね

この必要な労働量を減らしていけば
もちろん人員は減らしますけれど
減ったら減った分だけ人員を減らす

それではその企業の組織的強さは
高くなっていけない構造があります

だからこそ労働量を省いた分だけ
質を高めるための労働量を
増やせばいいだけの話

 
さきほどの1-②外部調達額を減らす
ことができない中小製造業は
減らすために活動する時間がないと
そういう理由を上げています

だったらしっかり作業効率を上げて
同じ生産量を短い労働量でまかない
余剰時間でしっかり改善を進める

そして更に強い組織力をもつ会社に
進化を続けることが大切です

 

生産性向上の具体的な施策について

ここまで説明してきましたので
もうおわかりだと思いますが
具体的な施策を3つに分けて
丁寧に整理していきましょう

 

生産性向上の具体的な施策
施策1:品質管理を強化する
施策2:作業時間を短縮する
施策3:改善活動を活性化させる

 

施策1:品質管理を強化

何と言ってしっかり仕事をする

これが既存取引先から注文を増やし
新規取引先を増やすことができます

しっかりはどういうことかというと
我々は製造=ものづくり企業なので
『安定品質』ということになります

 
この会社は信用できる
もうここ何年も品質トラブルがない
いつも製品特性にバラツキがない

それはリピート注文の理由としては
十分な内容ですよね

ちょっとしたミスで、捉え違いで、
勘違いで品質トラブルを頻発させる

ここは信用できない、なんて
思われたい製造業はいないですよね

だからこそ他社と同じくらいでなく
自社だからこその取り組みが
大切になってくるわけです

ここはおわかりですよね

 

施策2:作業時間を短縮する

やはり『手早くしっかり作業する』
かっこいい製造業の醍醐味ですよね

だからこそ個人個人でいろいろな
良かれと思う作業への工夫が満載

そういった現場がほとんどですよ

でも、実はそれらを寄せ集めて
組織としての最適な作業を見つけて
標準化できる職場って少ないんです

 
一人ひとり作業方法や順番が違うと
品質特性も安定しないんですよね

だからこそそれぞれの工夫を集めて
より素晴らしい作業方法をつくる

そんな目的を全員で共有して
全員で考える機会をつくって
しっかり最適な作業を標準化する

 
その結果、作業時間が短くなって
その時間を生産性を高めるための
あらゆる取り組むに費やしていく

そのことでさらに生産性を高める

こういった良いスパイラルを
つくることを狙ってください

 

施策3:改善活動を活性化させる

もうここまでくれば説明は簡単です

施策2で創出した余剰時間を使って
我社に多くあるあらゆる課題に対し
改善への取り組みを活性化させます

材料購入価格の値下交渉
外注量の内製化
不良率の減少
歩留りの改善

挙げればきりがないですし
それぞれ永遠の課題と呼ばれて
どこまでやればいいのか?も
わからないほど深みがある沼です

 
だからこそ我が社のもっとも大きな
課題とはこのうち何なのか?

我々はQCDのどの項目を重視して
どんなバランスで取り組むべきか

関係者でしっかり話し合って
優先順位を付けながら改善に傾ける
時間配分をもコントロールする

そうやって他社にない独自な特徴を
積み重ねていける体制が整います

 

生産性向上を実現させる4つの必要条件

ではそんな生産性向上の実現に
必要な条件をお伝えしていきます

 

生産性向上の必要条件
条件1:ビジョン=ゴールを決める
条件2:事業戦略を明らかにする
条件3:問題の見える化を進める
条件4:組織改善の習慣をつくる

 

条件1:ビジョン=ゴールを決める

1つ目の条件はゴールを決めること

どんな会社にも必ずこれまで
大切にしてきたことがあります

それをもし時代が変わる10年後に
正常進化を遂げるとしたら
本来どんな会社になるべきか?

そんな理想的な姿を想定しながら
3年後のあるべき姿=ビジョンを
時間をかけて考えていきます

それをゴールと置いた時にこそ
はじめてやるべきことが
明かになっていきます

 
多くの職場で改善が進まない理由は
このゴールがないためにそれぞれが
それぞれ良かれと思うことが違い
相互に違う方向性に努力をするから

そうなれば足を引っ張り合うため
途中からしんどくなって
努力さえムダだと思います

そうなったら従業員はだれしも
会社を良くしようなんて思わず
自己利益ばかりを追求し始めます

良いか、悪いか、でなく
損か得かで判断しはじめます

そんなチームが強いはずが
ないですよね

なのでその職場の目指すゴールが
しっかり決まっていること

それがまず必要な条件です

 

条件2:事業戦略を明らかにする

次に必要なのが事業戦略です

どの山を登ろうとしているのか?が
条件1ではっきり決めたのであれば
あとはどのルート=戦略で
その山を登るのかがわかれば
それぞれの判断と行動が一致します

山の上り方にもいろいろあって
目の前の崖をよじ登るのか
遠回りして徐々に高さを稼ぐのか
それとも基本ルートどおりにいくか
それによって取り組むべきことって
それぞれ変わってくると思います

だからこそ登山ルートを伝えて
協力を求めることは大切になります

 

条件3:問題の見える化を進める

次は問題の見える化を進めること

登る山とそのルートが決まれば
あとはその通り進んでいるのか?

しっかり見えることが大切

であれば、見えるようにちゃんと
仕組みを整えていくことが重要です

 

そりゃ目標の売上高や時間に対して
計画どおり進んでいるのかどうか
わからない活動なんてありえません

自動車でも走行距離やスピードなど
数値化して把握できる仕組みが
備わっていないと運転できません

だけど生産性向上が進まない職場は
この仕組みが整ってないことが
多いのも事実なんですよ

リーダーには見えていても
その活動を進めているメンバーが
『自分がどこにいるのか不明』
そんな登山は危険極まりないです

だからこそ全員が見れる仕組み

これが大切になってきます

 

条件4:組織改善の習慣をつくる

最後はやはり組織改善の習慣です

課題があきらかで戦略も決まり
ゴールを達成してうまくいって
『終了!』なんて会社はないです

それで会社を辞めるならいいですが
そうではないですよね

なのでせっかく改善を進めたなら
そのまま継続して活動を続ける

そんな改善の習慣化を目指し
体制を整えていくことが必要です

製造業の生産性向上を実現する必要条件まとめ

『生産性向上を高める』

おそらく製造業でなくても
事業組織であれば優先すべき課題

これに向き合うには組織的な条件を
整えていく必要があることを
ご理解いただけたかと思います

この組織的な体制を整えると
不思議と個人の意識も育ってきます

逆に個人の意識が育たないのは
育たない構造になってしまっている

そういった組織体制が原因だと
そう言うこともできるでしょう?

あなたの職場はどうですか?

ぜひ参考にして見直してみて下さい

 

 

それでは今日はここまでです

今後とも宜しくお付き合い下さい☆

長文乱文を最後まで読んでくださり

いつもありがとうございます♪

すべては御社の発展のために
すべてはあなたの笑顔のために

 

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。10年間で600社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

目次