QC7つ道具の使い方⑮シューハート管理図の見方~異常判定のルール~

QC7つ道具の7つ目のアイテム:管理図

実はこの管理図にもヒストグラムや
散布図の時のようにそのグラフ形状で
読み取れるメッセージがあります

しかもシューハートの管理図として
その見方がJISで定義されているのは
皆さまはご存知でしょうか?

我が国の製造業では管理図って
どれほど有名なツールなのか
それがよく伝わりますよね

そこで今回はこのJISで定義された
管理図の見方について解説をします

 

目次

シューハート管理図とは何か?

管理図には学術的に多くの種類が
存在していて先日はそのいくつかを
解説しましたが、それも実は
現場で使いやすい一部の紹介です

【参考情報】管理図の種類(計量値管理図と計数値管理図の違い)

現存する管理図を大きく分けると
1つの変数で管理する単変量管理図と
複数の変数で管理する多変量管理図の
2つに分けらます

そのうちよく使われている
単変量管理図の代表的なものとして
シューハート管理図
CUSUM(累積和)管理図
EWMA(指数重みづけ平均変化)管理図
があり、現場でよく活用されているのは
やはりシューハート管理図が多いです

実は、先日紹介した管理図は
すべてシューハート管理図の一部です

管理図の大きなくくりだという
大まかな認識で特に問題は
ありませんので安心してください

そんなシューハート管理図
いったいどのように見れば
どんなことが見えてくるのか?

その異常状態を判定するルールを8つ
紹介していきましょう

 

シューハート管理図の見方(異常判定の8つのルール)

JISで定義されている
シューハート管理図では
点の動きのパターンからその数値が
語るメッセージを読み取るために
次の8つの異常判定のルールを
定義しています

【シューハート管理図の異常判定の8ルール】
ルール1:管理限界線(領域A)を超える
ルール2:連が出現する
ルール3:傾向が現れる
ルール4:連続して交互に振れる
ルール5:連続3点中の2点が領域A以上
ルール6:連続5点中の4点が領域B以上
ルール7:中心線の近くに集まり過ぎる
ルール8:連続8点が領域B以上

この状態毎にどんなことが分かるのか
1つひとつ解説をしてきます

 

ルール1:管理限界線(領域A)を超える

QC7つ道具の使い方⑮シューハート管理図の見方~異常判定のルール~

まず基本的な捉え方として
上方管理限界(UCL)と
下方管理原価(LCL)との間を
1σ(シグマ)間隔で6つの領域に
分けます

そしてその領域は上方管理限界から
順にA、B、C、(中心線)、C、B、A
と分けることで、説明しやすくします

その中でこの管理限界線を超えるのは
発生確率0.27%以下の現象発生のため
何らかの異常が考えられることは
あきらかですよね

ではそれ以降ルールについて
見ていきたいと思います

 

ルール2:連が出現する

QC7つ道具の使い方⑮シューハート管理図の見方~異常判定のルール~

上図のように中心線の一方の側に
連続して現れる点の並びを
『連』と呼びます

そしてその点の数を『連の長さ』
言い『長さ〇〇の連』と表現します

シューハートの管理図の定義では
この連の長さが9つ異常の場合
異常と判定します

 

ルール3:傾向が現れる

QC7つ道具の使い方⑮シューハート管理図の見方~異常判定のルール~

上図のように点が徐々に増加していく
あるいは減少していく状態のことを
『傾向がある』と呼びます

この連続増加、または連続減少の点が
6点続いた場合に異常だと判定します

これは連続する6点を結ぶ5線が
すべて増加あるいは減少
つまり5回連続増加・減少となった時
異常判断するということを意味します

 

ルール4:連続して交互に振れる

QC7つ道具の使い方⑮シューハート管理図の見方~異常判定のルール~

上図では連続する16点が交互に
増減している状態です

これは異常というよりも
さらに分析が必要との見方をします

つまりさらに点の動きを見ながら
上下している波の周期性について調べ
同じ周期と振幅で変動要因を探すと
技術的な有益な発見が得られることが
多くありますので参考にしてください

 

ルール5:連続3点中の2点が領域A以上

QC7つ道具の使い方⑮シューハート管理図の見方~異常判定のルール~

上図のように連続する3点の中で
2点が同じ側の領域A、あるいは
それを超えた場合は異常と判定します

限界線までの距離の2/3の線は±2σです

ただし反対側の領域Aに表れた場合は
異常とはみなしませんのであしからず

 

 

ルール6:連続5点中の4点が領域B以上

QC7つ道具の使い方⑮シューハート管理図の見方~異常判定のルール~

次は連続する5点中、4点が
領域B以上の時は異常が生じていると
判断します

限界線までの距離の1/3の線は±1σです

ただし反対側の領域Bに表れた場合は
異常とはみなしませんのであしからず

 

ルール7:中心線の近くに集まり過ぎる

QC7つ道具の使い方⑮シューハート管理図の見方~異常判定のルール~

上図は連続する15点が
すべて領域Cに存在しています

このような多くの点が中心線の近くに
集まりすぎている管理図は
群分けの仕方があまり良くなく
バラツキがしっかり把握できない
状態になっていることが考えられます

これでは異常を見つけるために役立つ
管理図とならない可能性が高いため
群分けの方法を見直すなど
検討が必要です

 

ルール8:連続8点が領域B以上

QC7つ道具の使い方⑮シューハート管理図の見方~異常判定のルール~

上記のように連続する8点が領域Cを
超えた領域に出現した場合は
工程に異常が生じていると判断します

 

管理図の見方~シューハート管理図の定義~まとめ

さて管理図の異常判定の8つのルール
これらを把握しながら管理図を
しっかり観察していくことで
数字の推移が語るアラームを
聞き取れることができます

ウソをつかない数値のメッセージ
これを味方につけていただけるよう
少しずつ活用して慣れていただければ
幸いです

 

 

それでは今日はここまでです
今後ともよろしくお付き合いくださいませ☆

長文・乱文を最後まで読んでくださり
いつもありがとうございます♪

すべては御社の発展のために
すべてはあなたの笑顔のために

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この記事を書いた人

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。10年間で600社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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