生産計画表の立て方については以前
その基礎的な考え方を伝えました
でも実際に生産計画を立てようと
する方からの質問が後を絶ちません
そのためもう少し具体的な事例
つまり生産計画の立て方として
簡単な事例を挙げて説明した方が
わかりやすいヒトがいらっしゃると
いうことですよね
そこで今回は少し具体的な事例を
挙げてみることによって理解を
深めていただければと思いながら
この記事を書き進めることにします
今回も読み終えるまでのお時間
しばらくお付き合いいただければ
うれしいです
生産計画の立て方を説明する今回の事例
今回は生産計画の立て方を
説明していく事例として
あるスイーツ店のチョコレートの
製造工程をモデル化して行います
実際にはまだまだいろいろな
制約条件や管理項目があるのですが
簡略化して以下の工程を示します
まずは簡略化した工程を簡単に
説明しますのでおおまかに把握して
いただければと思います
工程1:材料調達
まずチョコレートの原材料などを
調達する工程です
カカオニブや砂糖などその種類は
多岐に渡りますがいつも
だいたい同じ原料になります
ここでの不良ロスを含めた歩留は
80%としてください
工程2:精錬
原材料を混ぜ合わせて練り込む
コンチング工程です
専用ミキサー設備を活用して
一定時間擦り合わせることで
最終的にペースト状になります
工程3:温調
ペースト状にしたチョコレートを
一定の熱を加えながら安定化を図る
テンパリング工程になります
この工程はチョコレートの品質に
大きく影響することから当店では
手作業で進めることにしています
この工程では水分が蒸発するとして
重量が20%ロスする、とします
工程4:冷却
冷却装置にかけてチョコレートを
丁寧に冷やしていく工程です
コンベアー方式であるため
ゆっくりと動いて移動するので
安定した冷却効果が期待できます
工程5:梱包
当店のオリジナルデザインの
パッケージに梱包することで
商品として完成させます
こちらは手作業で行っています
生産計画の立て方事例
ではこのシンプルな製造工程の
生産計画の立て方を説明しましょう
簡略的にご理解をいただくために
生産計画の策定・決定に必要となる
4つの機能をステップごとに分けて
は以下のとおり説明していきます
[STEP2]仮の生産計画の立て方
[STEP3]負荷計画の立て方
[STEP4]在庫計画の立て方
ではこのステップについてもう少し
補足を加えていきましょう
[STEP1]販売予測の立て方
見込み生産の工程であればもちろん
受注生産であっても中・大日程では
販売予測を立てる必要があります
ただし上図をしっかり見込むのに
移動平均法なり、指数平滑法なり
手法を使ってもよいのですが
実際にはヒトの感覚によって
補正されるのが未だ常識です
たとえば。。。
上図の実績数値を見れば明らかに
市場が縮小傾向と言っていいです
なので同じ減少傾向で見込むなら
チョコレート事業はやめましょうと
言う生産計画となってしまいます
そうでなく、営業として戦略的に
努力する部分も含めて数値を決める
通常月は減少するにしてもせめて
バレンタインシーズンだけは今年は
プロモーションを打って挽回策を
織込んでいく戦略を考えるとします
そんな数値を
営業などお客さまに近い位置の人が
責任を持って決めていくべきですね
つまりこの工程は営業との連携が
とても重要な作業になってきます
[STEP2]仮の生産計画の立て方
販売予測がはっきりすればそこから
歩留や良品率から逆算して
仮の生産計画を立てます
具体的には販売予測数から
④梱包数を決めて
次に④冷却数を決めて
さらに③温調数を歩留80%で割り
ロスの分を逆算して着工数を増やす
などとして計画していきます
つまり今回の設定では
工程3:温調
工程1:材料調達
の2つの工程で20%のロスを
見込んでいますので、それぞれ
そのロスを織込んだ着工数、または
購入数を計算する必要があるということ
ただし、このロスを見込む時に
過去の実績の歩留はいくらで
良品率はいくらであるのか?
つまり仮の生産計画に織り込む
歩留、良品率の数値を関係部署に
決めてもらわなければなりません
さきほどの販売予測と同じでこれは
それぞれ管理すべき部署が計画用に
採用する数値を決めてもらうのです
なぜなら、生産計画どおりに
進捗しなかった場合の責任の所在を
はっきりさせておくべきだからです
たとえば歩留は開発部門、あるいは
製造部門がふさわしいと考えます
また良品率は品質担当、または
製造部門です
もし計画どおりの出荷ができない時
その原因が歩留が原因なのか
それとも良品率が原因なのか
その後の対策を含めて担当部門が
責任を持てるようにしておきます
つまり、この工程では品質あるいは
製造部門との連携がとても重要です
[STEP3]負荷計画の立て方
では次は負荷計画を立ててみます
単純に設備能力、作業能力を把握し
仮の生産計画の月毎に必要になる
生産量を1ヵ月あたりの能力で割る
そうすると何ライン、何人が
必要になるのか?その負荷具合が
数値としてはっきりしてきます
もちろんチョコレートは
バレンタインやホワイトデーにて
圧倒的にニーズが高まることが
販売予測からもわかっています
しかし実際にこのマックスに必要な
設備や人員を用意する工場って
見当たらないと想像します
つまり必要となるのがこの負荷の
平準化となるわけです
負荷の平準化は作り溜め
つまり戦略的に在庫を積み上げて
季節の閑散に合わせていくこと
それらを調整していくのが
次の最後のステップになります
[STEP4]在庫計画の立て方
負荷計画の数値を見ながら
在庫計画を立てていきます
具体的には負荷計画の年間平均で
必要な設備や作業者にあたりをつけ
それらに生産能力を掛け算するなり
残業対応や多能工育成を計算したり
全体の効率を考慮しながら平準化を
図っていくパズルのような調整が
必要となってきます
その結果、戦略的な適正在庫
そしてそれを実現できる生産数量
さらには必要設備や作業者数を決め
生産計画として完成させます
まとめ
さて、こうやって順を追って
必要なステップや機能を説明すると
生産計画の立てる時の考え方が
ご理解いただけたかと思います
やはり何回か出てきたのですが
生産計画で重要となるのが
他部門との連携です
なにかしら進捗がおかしくなれば
その原因をすぐさま特定して
最速でアクションにつなげる
そのためには生産計画に織り込む
あらゆる条件については
他部門が責任をもって
管理していく体制がベターです
そうはなっていないなら
おそらく問題が問題として
明かにならない構造が隠れています
問題が見えないこと
それは本当に怖いことですよね
それでは今日はここまでです
今後とも宜しくお付き合い下さい☆
長文乱文を最後まで読んでくださり
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