変化点(変動)管理における4M(5M+1E)の見落とし勝ちな変化点

変化点管理における4M(5M+1E)の見落とし勝ちな変化点

前回は4M変化点管理の重要性や
使えるツールや大切な考え方などを
合わせて紹介しました

でもこの4M変化点管理って
問題となる変化点を
どの部分に着目して設定するか?
によって結果が変わってしまいます

 

つまりあまり単純に捉えすぎて
真の原因を間違えると
対処方向を間違ってしまう可能性が
とても高くなってしまうので

そこで今回は
4M変化点管理における管理要素
4M(5M+1E)それぞれについて
見落とし勝ちな変化点を
紹介していきたいと思います

それでは早速
解説していきましょう

 

目次

5M+1Eの見落とし勝ちな変化点

これまで説明してきた変化点管理

少しずつイメージがついてきたかと
想像しますがいかがでしょうか?

さらに具体的に捉えていただくため
5M+1Eの管理要素において
見落とし勝ちな変化点を挙げて
『そのことだったのか!』と
視野を広げる効果を狙います

それでは一つひとつまいりましょう

 

MAN(作業者)の見落とし勝ちな変化点

このヒトに関する変化点だけで
書籍が書けるかもしれないほど
見落し勝ちな部分が存在しています

ヒトの変化点は大きく2つ
『ヒトが行う作業や判断の変化』
『ヒトそのものの変化』です

 

ヒトが行う作業や判断の変化

いわゆるヒューマンエラーです

この見落とし勝ちな変化とは
・スキル不足
・訓練不足
・身体能力不足
・性格の問題
・作業所やマニュアルの不備 など

これを単純にこれが原因だと
飛びついてしまうと間違うことが
よくあるんです

 

たとえば間違い作業の原因として
訓練不足や性格の問題ととらえて
対処してしまうとNGです

どちらかというと対処的には
はさみゲージなどのポカヨケで
誰が作業しても間違えないよう
METHOD(方法)で対処することが
より確実である場合があるのです

 

また設備の操作ミスなども
作業者の不注意が変化点と捉えると
『今後からもっとがんばります』
対処方向を間違えることがあります

たとえば操作盤が照明の陰だったり
職場が暗くてよく見えなかったり
ボタン配列が間違えやすかったり
ボタンの形状や大きさや色など
真因は作業者でないことも多いです

 

ヒトそのものの変化

ヒトそのものの変化で注意すべきは
もっとも身近にいる同僚の変化です

 

新人や応援者、外注の協力者などは
間違いなく変化点だと捉えます

しかし彼らも緊張感を持ってるので
なかなか大きな問題にはなりません

実は、注意すべきは身内なんです

 

・いつも元気だから
・彼は信用できるから
・これまで問題を起こさなかったから
いろいろ理由はあると思いますが
それは思い込みなんですよね

今がどんな状態か?が重要です

 

立っている姿勢、声の大きさ
しっかり声をかけて顔色確認を
お願いします

また作業者の突発的なお休みや
生産量の急激な増減があるときなど
いつもと違う配置で作業をする時が
生まれるときなどは要注意です

 

MACHINE(設備)の見落とし勝ちな変化点

設備でよくある見落としは
『処置して元に戻っているはず』
『改善して良くなっているはず』

などの思い込みに絡むものです

 

何らかの異常から復帰すた直後
特に初めてではなく
何度もあった異常から
正しい処置などで復帰した場合
『処置して元に戻っているはず』
どうしても思っちゃいますよね

また、決めたとおりに実施した
日常の清掃、定期点検や定期保全
計画的な改善工事の後なら
『改善して良くなっているはず』
誰もが思ってしまうと想像します

ところがどっこい!
その通りにならない
意図しない変化が製品の品質に
現れることがあるんです

 

それを発見可能にするには
初期点検や初品確認はもちろん
考えられるだけの変化を抽出して
設備が正常であるかどうかを
どうやって確認するかについて
事前に決めておく必要があります

その最大のヒントになるのが。。。

特性要因図なのです!

ぜひ一度、関係するメンバーで
取り組んでみていただきたいと
強くオススメします

 

MATERIAL(材料)の見落とし勝ちな変化点

MATERIAL、つまり部品や材料での
見落とし勝ちな変化点は大きく
以下の3つを挙げることができます

MATERIALの見落とし勝ちな3つの変化点
部品や材料そのものの変化
間接材料・副資材の変化
部品・材料の製造現場の変化

それではこれらをもう少し
掘り下げて説明していきましょう

 

変化点1:部品や材料そのものの変化

これは
・部品や材料の品質変化
・保存場所の状態変化
・通い箱など入れ物の変化

つまり破損、変形、汚れ
さらには検査表の承認印の日付
使用期限と納入日のズレなどなど

複数の作業者でじろじろ観察すれば
いろいろ気が付くことも多いはず

これが一つ目の変化

 

変化点2:間接材料・副資材の変化

2つ目の変化点は
間接材料・副資材の変化のことです

・はんだ付け用フラックス
・溶接用アシストガス
・接着用のマスキングテープ
・切削用の潤滑油や洗浄液 など
製品の仕上がり具体に影響を及ぼす
間接材料はどんなものでしょうか

また一方で
治具・工具・設備の破片
作業者の毛髪・皮膚・化粧品などが
MATERIALに混入し問題を引き起こす
なんてことも否定できません

トラブル経験がないと
なかなか思いつかないですが
気づくようになれば対処は簡単です

 

部品・材料の製造現場の変化

最後の変化点はMATERIALそのものを
製造する工程の5M+1Eの変化です

長きに渡って問題が発生していない
MATERIALであれば気づけません

前回説明した異常連絡書発行もなく
前述の2つの変化点に該当しないと
問題が起きてもMATERIALでないと
思ってしまいます

 

しかし実際には我々は気づかず
検査表項目にも載っていないが
初めての設備で生産していたり
別の方法で加工していたり
何かしらの変化点が隠れている場合
製品特性が変わることもあるんです

怖いですよねー

 

METHOD(方法)の見落とし勝ちな変化点

最近の機械設備は技術が進んで
加工条件に異常が発生すると
自動的に知らせてくれる
仕組みも少しずつ増えてきました

たとえば切削・検索加工で
刃具や工具の破損検出とか
溶接加工の条件モニターとか
ネジ締め加工のトルク検出とか

しかしそれでもヒトによる作業が
加工条件になっている場合は
まだまだ変化点を見落とし勝ちです

ヒューマンエラーは必ずしも
真因は作業者にあらず注意すべきは身内である久しぶりの熟練者に注意

などなど定説はあるものですね、笑

さらに
改善が目的でMETHODを変えると
見落とし勝ちな変化点が
生まれることが多くなります

これは大きく3タイプあります
それは。。。

METHODの見落とし勝ちな3つの変化点
METHOD変更による変化点の移動
METHOD変更の前に生まれる変化点
METHOD変更による変化点の透明化点

ではそれぞれどういうことか
お話を進めてまいります

 

METHOD変更による変化点の移動

1つ目はMETHODを変えると
変化点が5M+1Eの中で
移動してしまうことがあります

最も多いのは作業者による変化点を
減らすために自動化した場合です

 

もちろん自動化によって
作業者の変化点はなくなります

しかし一方で設備にも
変化は起こっているはずなんですね

そのため設備の変化点管理を
新たに見直す必要があるんです

 

たとえば自動化する前は
作業者が部品の外観チェックや
部品の調整やよごれ除去など
行っていた場合はどうでしょう?

あらたに同様な機能を担わせる
必要があるか検討が必要です

つまり作業者か設備かに
変化が現れるはずなんです

 

METHOD変更の前に生まれる変化点

次はMETHOD変更を実現する前に
生まれてしまう変化点のことです

たとえばレイアウトを変えるために
設備を移動させるとします

電源、空気、水等のユーティリティ
床の強度や照明の強弱などなど

どのような変化があらわれるのか?
しっかり検討して対処すべきですね

 

METHOD変更による変化点の透明化

最後はMETHODの変更によって
変化点そのものが見えなくなること

どういうことか?

たとえば品質、あるいは能力向上で
切削加工を研削加工へ変更した時
材料や仕掛品等の観察距離が変わり
これまで微妙な感覚で気づいていた
変化点が見えなくなることです

 

同様な例としては
溶接方法や熱処理方法の変更、
自動化設備への切り替えなど
加工材料の質的な変化には
どうしても気づきにくくなります

このように意図した変化として
METHODを変更するわけなんですが
意図しない変化点も同時につくって
見落としてしまうことがあります

 

MEASUREMENT(計測)の見落とし勝ちな変化点

たとえば検査規格が”0”で
プラスもマイナスもNGであった時
測定器の電源オフで”0”を指す
アナログテスターの様な場合は
電源が入ってなくてもその変化に
気づけないかもしれません

さらに記録機能付の計測器が故障し
作業者が筆記具と紙で記録した場合
筆記具や紙から発生する異物が
変化点となる場合があります

このように非定型業務の発生は
変化点の見逃しにつながりますので
注意が必要です

 

ENVIRONMENT(環境)の見落とし勝ちな変化点

温度や湿度の変化は数値化できて
しっかり把握されていると思います

しかし天気といったらどうでしょう

豪雨、豪雪、暴風雨、猛暑、雷雨、
火山の噴火などなど

 

温度や湿度以外にも
いろいろな変化が職場を襲います

・作業者の欠勤
・設備の転倒や精度のズレ
・測定器の狂い
・材料の変質
・部品の落下・破損
・材料や部品の納期ズレ・欠品
・加工条件の不良
・停電
・雨漏り
・職場の安全性や衛生度合の確保
などなど盛りだくさんですよね

想定外の異常気象に備えるために
近年ではBCP策定が叫ばれてますが
まだまだ取り組んでいる会社は
少ないと聞き及んでいます

 

気象環境だけではありません

近年、社会的な変化となりうる
新型コロナウイルスの感染防止策が
事業継続における絶対条件に
なっていくことも大きな変化点

あなたの会社は何をどう
取り組むべきなのでしょうか?

どんどんと想像力を磨き上げて
労働環境の改善に向けて
ぜひ検討と準備を進めてください

 

変化点管理における4M(5M+1E)の見落とし勝ちな変化点まとめ

こうやってみていくと
それぞれの管理要素ごとに
どのような変化点が潜んでいるのか
検討していく機会そのものが
働く人々のボキャブラリーを
増やしていくことがわかります

作業者一人ひとりが育つ
『4M(5M+1E)変化点管理の導入』

皆さまの職場ではいかがでしょう?

検討してみることをお勧めします

 

 

それでは今日はここまでです

今後とも宜しくお付き合い下さい☆

長文乱文を最後まで読んでくださり

いつもありがとうございます♪

すべては御社の発展のために
すべてはあなたの笑顔のために

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この記事を書いた人

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。10年間で600社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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