数千円のマイコンと、AIと。― 中小製造業が自分で作る、現場データ収集のはじめ方

前々回のブログで、「DXを進めるために、まずデータを取ろう」と書きました。時間あたりの生産高はいくらか、設備は本当はどれだけ止まっているのか——その答えは、現場の一次データの中にしかない、と。

すると、こんな声が返ってきました。

「言いたいことはわかる。でも、そのデータ、いったいどうやって取ればいいの?」

まったくもって、その通りです。データが大事だとわかっていても、取る手段が見つからなければ、一歩も進めません。そして実は、多くの中小製造業がつまずいてきたのも、まさにこの「取り方」のところでした。

今回は、そのいちばん知りたいところ——数千円のマイコンと、AIを使って、自社の現場データを自分たちで取る、その具体的なはじめ方を解説します。前回同様、しばらくお付き合いくださいませ。

目次

1. なぜ、データ化の「最初の一歩」でつまずくのか

DXの成功事例を見ていくと、華々しい成果の裏に、必ずと言っていいほど地味な苦労があります。それが、いちばん最初の「データ化」の壁です。

考えてみれば当然です。改善するにはデータが要る。データを取るには、何かしらの仕組みが要る。ところが、この「仕組み」が、これまでずっと高くついたのです。

現場の実績を記録するハンディターミナルは、専用機なら1台で数万円から十数万円。設備の稼働状況を測ろうとセンサーを後付けしようにも、既存の製造設備は1台ごとに仕様が違い、個別対応になれば費用はふくらみます。ましてや専用システムを一から開発するとなれば、数百万円の世界です。これでは、資金力のある企業でなければ手が出ません。


「お金も、専門の技術者もいない」——多くの中小製造業が、この最初の壁の前で立ち止まってきました。
データが大事なのはわかる。でも、取る手段がない。だから、勘と経験で戦い続けるしかなかったのです。

前回ご紹介した旭鉄工も、出発点は同じでした。

市販の専用システムは高額で手が出なかった。昭和の設備に後付けできるシステムはなかった。だからこそ、自分たちで安価な仕組みを作った。それが旭鉄工が最初に開発した自作IoTシステム(第一世代)でした。

——そこにこそ、突破口のヒントがあります

2. 壁は、もう越えられる ― マイコンとAIという2つの武器

結論から言えば、この「データ化の壁」は、いまや誰でも越えられるものになりました。理由は、2つの武器が手に入ったからです。

武器①:数千円のマイコンと、数千円~数万円のミニPC

一つめは、驚くほど安くなったハードウェアです。

代表格が「ESP32」というマイコン(超小型のコンピュータ)です。

Wi-FiとBluetoothを標準で内蔵していながら、価格は数千円ほど。上海のEspressif Systems社が開発し、いまや世界中のIoT機器で使われている定番チップです

手のひらに乗る基板が数千円で買えるというのは、かつてを知る者からすれば、まさに価格破壊です

このESP32に、目的に応じたセンサーを組み合わせます。たとえば——

センサーの種類何がわかるか
光センサー設備のパトランプや稼働ランプを見て、動いている/止まっているを判定
近接センサー・光電センサーワークが1個通過するたびにカウントし、生産数を数える
TOF距離センサーToF(Time of Flight:飛行時間型)技術を用いて「光が対象物に当たって跳ね返ってくるまでの時間」を直接計測して距離を割り出します
電流センサーモーターの電流値から、稼働・停止・空転を見分ける
温度・振動センサー設備の異常の予兆をつかむ

実は、前回ご紹介した旭鉄工の「設備の停止時間を光センサーで測る」という仕組みも、いまならこのESP32と光センサーの組み合わせで再現できます。数千円で、あの一歩目が踏み出せる時代になったのです。

なお、ESP32でも簡単な見える化はできます。ESP32自身に小さなWebサーバーを持たせて、PCのブラウザでグラフを表示する、といったことも可能です。

ただ、扱うデータ量が増えたり、複数の設備からまとめて集めたり、しっかりしたダッシュボードで見せたいとなると、より力のあるコンピュータが欲しくなります。そこで登場するのが「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」という手のひらサイズのミニPCです。数万円で、Linuxが動く立派なコンピュータ。ここに「Node-RED」という、プログラムを部品のように線でつないで組み立てられるツールを載せれば、複数のセンサーから集めたデータを受け取り、集計し、現場のモニターに見やすいグラフとして映し出す——ここまでを、この小さな箱一台でこなせます。

Raspberry Pi 4B と Raspberry Pi zero 2W
(注 : Raspberry Pi zeroはピンヘッダーはんだ付前)
Node-RED と ダッシュボード

ポイントは、これらを組み合わせて、自社の工程にぴったり合うIoT機器を「自作」できるということです。既製品を高いお金で買うのではなく、自社の現場に必要なものだけを、必要なかたちで、桁違いに安く作る。ここに、中小製造業の勝機があります。

武器②:生成AIと「バイブコーディング」

とはいえ、こう思われたはずです。「そうは言っても、プログラムなんて書けないよ」と。

ご安心ください。二つめの武器が、まさにそこを埋めます。生成AIです。
いま、「バイブコーディング(Vibe Coding)」という新しい開発スタイルが広がっています。
人が自分でコードを書く代わりに、AIに自然言語で「こういうものを作りたい」と伝え、AIに書かせる手法です。

AI研究者のアンドレイ・カルパシー氏が2025年に提唱した言葉で、一度で完成させるのではなく、AIと対話しながら試行錯誤を重ねて仕上げていくのが基本とされています。
(出典:@IT「バイブコーディングとは?」/日経クロステック/IBM)

つまり、「ESP32で光センサーの値を読んで、ランプが消えている時間を測って、Wi-Fiでデータを送るプログラムを書いて」とAIに頼めば、たたき台が返ってくる。動かしてみて、うまくいかなければ「エラーが出た、直して」と対話を続ける。専門のプログラマーでなくても、現場をよく知る人がAIと二人三脚で、自社仕様の仕組みを組み上げていけるのです。

これが意味するのは、開発の外部委託が要らなくなるということです。数百万円の開発費が消え、内製化できる。しかも、作った本人が中身を理解しているので、後から自分たちで直せる。前回まで繰り返し書いてきた「ITを丸投げしない」が、ここで現実になります。

しかも、AIに相談できるのはプログラムだけではありません。「このセンサーをESP32のどのピンにつなげばいい?」といった、IoT機器とセンサーの配線(結線)についても、AIと対話しながら進められます。

ただし、ここは一つ注意が必要です。PythonやNode-REDのようなコードの生成と違い、配線は現実世界の物理的な作業を伴います。AIが示した結線図が実際の部品の仕様と食い違っていたり、電圧や極性を取り違えていたりすることは、実際に起こり得ます。最悪の場合、部品を壊してしまうこともあります。AIの答えを鵜呑みにせず、各部品のデータシート(仕様書)で電圧やピン配置を必ず確認する。 これは、物理を扱うからこその、外せない注意点です。

距離センサ(TOF)VL53L1Xで、4ライン(CH)での通過数量を自動計測
Node-RED ダッシュボード
Raspberry Pi zero 2 W,マルチプレクサ,TOF距離センサ×4CHの配線例

3. どれを選ぶ? ― マイコンとミニPCの使い分け

「よし、やってみよう」と思ったとき、最初に迷うのが機種選びです。ここを整理しておきましょう。いずれもAmazonなどで手軽に購入できます。

マイコン(ESP32)― 測る・送る・簡単に見せるなら、これで十分

ESP32は、Espressif Systems社が開発したWi-Fi・Bluetooth内蔵のマイコンです。日本でよく使われるのは、次のような形です。

種類特徴価格の目安
ESP32開発ボード
(ESP-WROOM-32搭載など)
最も基本的な形。ブレッドボードに挿してセンサーとつなぐ、いわば「素材」数千円
M5Stack/M5Stick/M5Stampシリーズ液晶画面・ボタン・ケースまで一体化。
配線やケースの手間が減り、現場にそのまま置きやすい
数千円

ESP32の得意分野は、1か所のセンサーで測って、その値を無線で送ること。たとえば「1台の設備の稼働ランプを光センサーで見て、停止時間をWi-Fiで送る」「1つの工程の通過数を数える」といった用途なら、これ一つで完結します。安く、小さく、消費電力も少ないので、設備の脇に貼り付けても邪魔になりません。

なお、ネットで検索すると、ESP32にはS3・C3など複数の種類がありますが、現場のデータ収集用途なら定番の開発ボードで十分。迷ったらAIや専門家に相談を。

ただし、ESP32でデータを保管管理させることは、メモリ容量が小さいので推奨されません。

データ保管は併設のRaspberryPiにMQTT方式で送り込み、そこで一元管理することが現実的です。

とはいえ、ESP32単体でも簡易的に、センサでのカウンタ値をブラウザで表示(自動更新)させることなら可能です。見える化だけなら十分かもしれませんので、使い分けですね。

ミニPC(Raspberry Pi)― 集約・画面表示・複数入力なら、こちら

一方のRaspberry Piは、手のひらサイズのれっきとしたコンピュータ(Linuxが動きます)。
ESP32とは役割が違います。2026年時点の主なモデルは次の通りです。

モデル特徴価格の目安
Raspberry Pi 5現行の高性能モデル。
4コアCPUでデスクトップPC並み。メモリ2〜16GB。
複数台からの集約・見える化・AI的処理まで担える。高性能ゆえ発熱があり、ファンなどの冷却が推奨
2〜6万円台
Raspberry Pi 4 Model B一世代前だが、いまも定番。
中規模のデータ集約・可視化サーバーとして十分な性能
1~2万円前後
Raspberry Pi Zero 2 W超小型・低価格。軽い処理向け。
ピンヘッダーは別途はんだ付けが必要
4〜5千円台

(出典:raspberry.tips/パソコンお助けナビ/Semi Maker/まきガジェ、いずれも2026年)

Raspberry Piの出番は、複数の設備・工程からデータを集めて、一か所にまとめるとき。あるいは、本格的なダッシュボードで見せる、取ったデータを長期間ためるサーバーにする、といった用途です。センサーを直接つなぐ入力の口(チャンネル)が多く必要な場合や、Node-REDで凝った見える化をしたい場合は、Raspberry Piが向きます。

なお、Raspberry Pi Zero 2 W をAmazonで購入すると、ピンヘッダーがついていないケースもありますので、その場合には別途はんだ付が必要ですので購入時には確認してください。けれど、ピンヘッダーのはんだ付けは、私のような素人でも、少し練習すれば問題なくできるようになりました。

使い分けの目安

迷ったときの、ざっくりした指針はこうです。

こんなときは選ぶもの理由
センサーで測ってデータを取る
(簡単な表示まで)
ESP32
(マイコン)
1設備・1工程なら、これで始めるのが最も安く、速い。簡易なグラフ表示もできる
複数台から集約/入力チャンネルが多い/本格的な画面で見せる/長期保存のサーバーにするRaspberry Pi(4B・5)規模が大きくなったら、こちらに集約する

現実的なおすすめは、まずESP32で1か所から始めること。

そこで手応えをつかんでから、対象が増えてきた段階でRaspberry Piにデータを集約する構成へ育てていく。小さく始めて、必要に応じて広げる

——前回書いた「1工程から」の考え方は、ハードウェアの選び方にもそのまま当てはまります。

【必ず確認】Wi-Fiモデルは「技適マーク」のあるものを

ここで、法律に関わる大切な注意点があります。Wi-FiやBluetoothなど電波を出す機器を日本国内で使うには、「技適(技術基準適合証明・工事設計認証)」のマークが付いている必要があります。 これは電波法で定められた義務で、技適マークのない無線機器を使うと、個人であっても電波法違反として罰則の対象になり得ます。
 総務省 電波利用ポータル|電波監視|電波の利用ルール(出典:総務省 電波利用ホームページ)

やっかいなのは、Amazonなどでは技適のない海外製の無線機器も普通に売られていることです。同じ「ESP32」という名前でも、技適ありの品と、なしの品が混在しています。ですから、購入時には次を確認してください。

技適マーク
確認することポイント
技適マーク・技適番号があるか商品説明や基板に、技適マーク(〒に似た記号)や技適番号が記載されているか
番号を照合する不安なら総務省「技術基準適合証明等を受けた機器の検索」で照合
(例:ESP32-WROOM-32Eは技適取得済みモジュール)
(出典:神戸ソフト「技適」)
Raspberry Piも同様にWi-Fi内蔵モデルは、技適取得済みの正規流通品を選ぶ

まずは、技適マーク・技適番号があるか でよいと思います。これは、ESP32だけでなく、RaspberryPiでも同様です。
技適マークや認証番号は、ESP32やRaspberry Pi Zero 2 Wのように「銀色の金属シールド部分」に刻印されている場合と、Raspberry Pi 4や5のように「基板の裏面」に白文字などで直接プリントされている場合があります。見当たらないときは基板の裏側も確認してみてください。

「安いから」と技適のない並行輸入品に飛びつくと、思わぬ法令違反になりかねません。ここは、価格よりも技適マークを優先してください。これも、安心して現場で使い続けるための土台です。

4. 完璧を目指さない ― トライ&エラーという設計思想

ここで、大切な心構えを一つ。最初から完璧なものを作ろうとしないでください。

バイブコーディングは、そもそも一発で完成させる手法ではありません。AIとの対話を通じて、試して、直して、また試す——その繰り返しが前提です(出典:@IT)。ハードウェアも同じです。センサーの位置がずれていた、しきい値が甘かった、想定と違う値が出た。そんなことは、当たり前に起きます。

ですが、それは「失敗」ではありません。すべては「経験」です。

センサーを1個、1つの工程に付けてみる。値を取ってみる。おかしければ調整する。うまく取れたら、そのデータを眺めてみる。すると、必ず「知らなかった事実」が1つ見つかります。「この設備、昼休み明けの立ち上げにこんなに時間がかかっていたのか」と。その気づきが、次の一手を生みます。

しかも、元手は数千円~数万円です。うまくいかなければ、やり直せばいい。センサーを変えても、置き場所を変えても、痛くない金額。「失敗しても捨てられる」からこそ、思い切って試せるのです。これは、前回書いた「1ライン・1工程から小さく始める」の、まさに実践編です。

高価な専用システムでは、こうはいきません。数百万円を投じたら、失敗は許されない。慎重になり、要件定義に時間をかけ、動き出す頃には現場のニーズが変わっている——。安くて小さいからこそ、速く、何度でも試せる。これが、自作IoTの最大の強みです。

ESP32+赤外線近接センサーで通過数をカウント(15cm先)
ESP32で簡易的にカウンタをブラウザ表示/自動更新

5. データを「改善のループ」に変える

さて、ここがいちばん大事なところです。センサーを付けてデータが取れるようになった。それだけでは、まだ何も変わりません。取ったデータを、毎日の改善につなげる仕組みがあって、はじめて意味を持ちます。

その起点は、驚くほどシンプルです。毎日、データを共有すること。 そして——

経営者も、現場で、同じデータを見ること。

これに尽きます。昨日と比べて、生産数は増えたのか。停止時間は減ったのか。もし差があるなら、その要因は何だったのか。それを、経営者と現場が同じ画面を前に、毎日短く言葉を交わす。「昨日は午後の停止が長かったね、何かあった?」——この日々の会話こそが、DX推進のスタートラインです。

立派なダッシュボードも、月次の分厚い報告書も要りません。前日比の差分を見て、「なぜ?」を一緒に考える。ただそれだけ。ですが、これが回り始めると、現場に変化が起きます。

気づく(データに異常や傾向が見える)→ 試す(じゃあこうしてみよう)→ 見える(結果がまたデータになる)→ 次へ(新しい課題が見つかる)。この改善のスパイラルが、現場を巻き込みながら回り出すのです。誰かに言われて動くのではなく、現場自身が数字を見て動き出す。そうなれば、しめたものです。

そして、このループは、QCD——品質(Quality)・コスト(Cost)・納期(Delivery)——のすべてに効いてきます。停止が減れば納期が安定し、不良の要因が見えれば品質が上がり、工数のムダが見えればコストが下がる。データという共通言語を手にした現場は、確実に強くなっていきます。

これは、前回お話しした「小集団活動」「現場の自走」を、データを取る側から支える話でもあります。取る仕組み(今回)と、使う文化(前回)。この両輪がそろって、はじめてDXは動き出します。

6. ただし、セキュリティは軽視しない

ここまで「安く、自分で、どんどん作ろう」とお伝えしてきました。ですが、一つだけ、必ず立ち止まって考えていただきたいことがあります。セキュリティです。

自作したIoT機器を工場のネットワークにつなぐということは、便利さと引き換えに、外部からの新しい侵入口を一つ増やす可能性がある、ということでもあります。これは自作機器に限った話ではありませんが、手軽に増やせるぶん、意識しておく必要があります(出典:日立ソリューションズ「IoT化が進む工場のセキュリティリスクと対策」)。

とりわけ気をつけたいのは、「うちはインターネットにつないでいないから大丈夫」という思い込みです。かつて工場のネットワークは外部と切り離された「閉域網」で守られていました。しかしDX・IoT化でデータがクラウドや社内システムとつながるようになった今、その安全神話はすでに崩れています。保守用に持ち込まれたPCやUSBメモリから、外部と遮断されていたはずの工場がウイルスに感染し、操業停止に追い込まれた事例が、国内外で相次いでいます。
(出典:コニカミノルタ「OTセキュリティ対策とは?」)

とはいえ、恐れて何もしないのは、いちばんもったいない。まずは、身の丈でできる最小の一歩から始めれば十分です。実際、専門家も次のような現実的な進め方を勧めています。どの機器がネットワークにつながっているのかを、紙やExcelで分かる範囲だけ書き出す。外部とどこでつながっているかを整理する。そして、データを集めるネットワークを、基幹の業務システムとは分けておく(出典:NTT-AT「OTセキュリティ事例に学ぶ」)。これだけでも、リスクの入り口はぐっと絞れます。

そして心強いことに、国もここを後押ししています。経済産業省は、中小規模の製造事業者向けに、工場のセキュリティを確保するための具体的な手順や事例をまとめた解説書を公開しています。
(出典:経済産業省「中小規模の製造事業者向けに工場のセキュリティを確保するための具体的な手順や事例を紹介する解説書を策定しました」)。

ここは、独学で抱え込まず、専門家の知見を借りるべき領域です。作るのは自社、守り方の設計は専門家と一緒に。その役割分担が、安心して前に進むための鍵になります。

そして、セキュリティに限らず、「何から手を付けるか」「どう進めるか」で迷ったときの相談先は、思っているより身近にあります。

  • 中小企業診断士 — 経営課題からあるべき姿への経営戦略と、その実現を伴走支援
  • ITコーディネータ — 経営戦略から情報化戦略へ、実現手段への落とし込みと伴走支援
  • よろず支援拠点/生産性向上支援センター — 無料の公的窓口。専門家が現場に足を運んでくれる伴走型
  • NIROものづくり支援センター — 上記センターと連携して、DX(AI・ICT・ロボット導入)も支援

まとめ:AIが背中を押してくれる時代に

前回ご紹介した、えびや大食堂も、旭鉄工も、出発点は同じでした。人もお金もないところから、まず現場のデータを取り、それを見て、少しずつ改善を重ねていった。そこからすべてが始まったのです。

ただ、彼らが歩き始めたときには、まだ生成AIは今のレベルではありませんでした。プログラムは自分たちで、あるいは苦労して手配して書くしかなかった。それでも、彼らはやり遂げました。そして今、両社はその先を走っています。とりわけ旭鉄工は、社長の思考を再現した「AIキムテツ」をはじめ数々のAIを業務に組み込む「AIファースト経営」へと進化し、大きな成果を上げています。データ化から始まった歩みが、いまやAI経営の最前線にまで届いているのです。
(出典:木村哲也『AIファースト経営 利益を10億円増やした旭鉄工の成功モデル』日経BP)

いまの私たちには、当時なかった強力な味方がいます。数千円のマイコンと、生成AIと、バイブコーディング。 かつて数百万円と専門技術を要したことが、いまや数千円と、AIとの対話でできる。データ化と見える化のハードルは、劇的に下がりました。壁は、もう越えられます。

まずは、いちばん気になる設備1台に、センサーを1つ。AIに相談しながら、小さな仕組みを一つ、作ってみてください。そこから、あなたの会社の改善のループが回り始めます。

ただし、セキュリティにはくれぐれもご留意を。そして、迷ったときや守りを固めたいときは、どうか一人で抱えず、専門家の知見も借りてください。

今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
皆さんの現場が、自分たちの手で、一歩を踏み出せますように。

参考・出典一覧

  • 神戸ソフト株式会社「ESP32|組み込み・IoT用語辞典」/「ESP32での開発」
  • gihyo.jp「ESP32ではじめるIoTデバイス開発」
  • Lang-ship「電子工作における電波法・技適周りの現状把握」
  • raspberry.tips「Raspberry Pi Models 2026」/パソコンお助けナビ「用途に合わせて選ぶRaspberry Pi」/Semi Maker「ラズベリーパイの種類」/まきガジェ「2026年最新ラズパイ比較」(Raspberry Piのモデル・2026年時点)
  • 総務省「電波利用ホームページ 技術基準適合証明等を受けた機器の検索」/神戸ソフト「技適(技術基準適合証明)」/EC-HOWTO・BDL(技適マークと電波法)
  • @IT AI・機械学習の用語辞典「バイブコーディング(Vibe coding)とは?」
  • 日経クロステック「生成AIにプログラミングを任せるvibe coding」
  • IBM「バイブコーディングとは」
  • 日立ソリューションズ「IoT化が進む工場のセキュリティリスクと対策とは?」
  • コニカミノルタ「OTセキュリティ対策とは?工場の安全神話崩壊と3つの守り方」
  • NTT-AT「OTセキュリティ事例に学ぶ中堅製造業で起きうるインシデントと工場停止リスク」
  • 経済産業省「中小規模の製造事業者向けに工場のセキュリティを確保するための具体的な手順や事例を紹介する解説書を策定しました」(2025年)/「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」
  • 木村哲也『AIファースト経営 利益を10億円増やした旭鉄工の成功モデル』(日経BP)
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この記事を書いた人

メーカーの社内IT部門やシステム開発会社で23年間、業務システムの構築に従事。その後15年間は一転して、部品の買い付けや生産・物流など、モノづくりの最前線で泥臭い現場実務を経験しました。現在も自らプログラムを書く現役のIT技術者でありながら、工場のリアルな実情を肌で理解しているのが最大の強みです。「ITの専門知識」と「現場の実体験」を掛け合わせ、古くて使いにくいシステムの入れ替えや既存Excelデータの活用、AIやIoTを活用したデータ収集と見える化で、段階的なデジタル化からDX推進を強力に伴走支援します。

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