前回の記事ではIE手法7つ道具のうち
動作分析(作業分析)のPTS法について
説明しました
【前回記事】>IE手法7つ道具④動作分析(作業分析)PTS法編
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続いて今回はそのPTS法の代表手法MTM法
そのもっともシンプルなMOST法について
具体的な進め方を説明したいと思います
しばらくお付き合いくださいませ
MOST法とは
MOSTとは
Maynard Operation Sequence Techniqueの
頭文字をとったもの
米国H.B.メイナード社により開発された
動作を『流れ』という発想でとらえた
比較的新しいPTS法のひとつです
ヨーロッパではすでに広く活用されており
日本でも導入企業は数千社に及びます
従来のPTS法に比べた特徴として
・分析がシンプルであること
・分析時間が短いこと
・分析結果が正確であること
など優れた点が挙げられます
それでは早速どんな手法かを
みていきましょう
MOST法の考え方
作業は、作業者やモノの移動が多いもの
そのため合理的な作業とは
基本動作のパターンが
うまく組み合わされている状態と言えます
これを方法工学:Method Engineeringを
活用することで整理することが
可能となったわけです
【MOST法とは】
MOST法とは人や物の移動に注目し、移動を一連の動作の並び(シーケンス)として認識する。この動作の並びは、一貫性を持った繰り返しのパターンである。引用元: ㈱日本能率協会コンサルティング
たとえば、
つかむ=GRASP
運ぶ=MOVE
対象物の位置を決める=POSITION
といった流れを
パターンを繰り返す動作の並び=シーケンス
として捉えます
このシーケンスについて
いくつかの『モデル』を作ったうえで
分析を進めるやり方が
MOST法の特徴と言えそうです
まだよくわからないですよね
ではこのシーケンスモデルというものが
どんなものか、説明を進めてみます
MOST法の3つのシーケンスモデル
(2)制限移動シーケンス
(3)工具使用シーケンス
主なシーケンスモデルは3種類です
(1)はある対象物を移動するもの
(2)は制限的に移動するもの
(3)工具を使って動作を行うもの
今回は(1)についてのみ説明して
その特徴を理解いただきます
普通移動シーケンスについて
これはある対象物を移動するときに適用します
(2)制限移動シーケンスがありますので
制限されない移動、つまり空間の制限なく
移動するときのお話だと捉えてください
学術的表現だと分かりづらいので
以下のある作業を例としてあげながら
少し噛み砕きながらお話していきます
②そのモノを持ってきて置く
③自分は戻る
この一連の流れを
普通移動シーケンスと言い
これと時間設定の単位にして
取り扱う、ということです
まだピンとこないでしょうね、苦笑
その普通移動シーケンスを
サブアクティビティの組合せとして
アルファベットでモデルを作ります
普通移動シーケンスモデルとは
上記のように記すことで
普通移動シーケンスモデルを表します
つまりアルファベットの
ABGABPAという組合せが
動作のすべてを表現するわけです
これってどういう意味でしょうか?
お話していきましょう
取る:ABG
このAとういのがアクション距離です
どれくらいの距離を移動するのか?を
このAというパラメーターで表現します
そして身体の動きが伴えばBody motion
Bで表します
さらにGはGainとして
その動きの難易度を意味します
つまり、モノを取りに行く時に
どれくらい歩くか?:A
身体を動かすか?:B
その難易度はどれくらいか?:G
このABGで、あるモノを取るという
動作を示します
置く:ABP
次は置くという動作です
Aはアクション距離
Bは身体の動き は同じ
次はP:位置決めが入ります
このPは位置決めに関する難易度です
このABPの組合せで置くを示します
戻る:A
戻るはもうおわかりですね
戻るアクション距離:Aで表現します
こういった一連の動作
あるモノを取りに行って
あるモノを目的の場所に置いて
戻るという動作が全て表現されます
では具体的にどんな動作を
どのように表して
どのように分析をするのでしょうか?
少し見てみましょう
普通移動シーケンスモデルの使い方事例
部品倉庫で、3歩あるいて棚の下段から
軽い部品を1個取り、作業台の上に置く
この動作の標準時間は何秒が適切ですか?
これをMOST法だと素早く計算できるんです
部品倉庫で3歩あるく、というと
移動距離が3~4歩であるという条件で
アクション距離:Aというパラメーターに
6というインデックスが付く
というのが自動的に決まるわけです
これは何で決まるかっていうと
『普通移動シーケンスのデータカード』
こういったテーブルがあるわけです
アクション距離が2inchとか5cm以内なら
インデックスは0です
そして手を伸ばせば届く範囲の時は
Aのインデックスを1にしてください
1~2歩あるく場合は3
3~4歩あるくなら6 というように
アクション距離によってインデックスを
当てはめていただくわけです
もちろん、BもGもPもこのテーブルを
使ってインデックスを決めて行きます
17✕10=170TMU
=6.12秒
※1TMU=0.036秒
そしてこの事例の場合
このインデックスを合計すると17です
この17を10倍にして
TMUという単位に揃えます
そうすると170TMUとなります
このTMUという単位は
Time Measurement Unitsと呼ばれ
1TMUあたり0.036秒という
ルールになっています
そのため秒に換算すると6.12秒となり
この事例の一連の動作の標準時間が決まる
こういう手法がMOST手法です
ご理解いただけましたでしょうか?
IE手法7つ道具④動作分析(作業分析)MOST法編まとめ
今回の動作単体だけならもしかすると
高い精度はでないかもしれません
インデックスで全てを決めていくためです
しかしこの手法で多くの動作を組合せれば
高い精度を出せることが
統計的に証明されているとのこと
ま、いずれにせよこのシンプルさや
簡便性を考慮すれば
試すだけの価値はあると考えます
それでは今回はここまでとなります
今後とも宜しくお付き合いください☆
長文・乱文を最後まで読んでくださり
いつもありがとうございます♪
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