【実践レポート】「5S改善報告書」を半自動で作成してくれるWEBアプリをつくってみた件について(プレゼント付き)

【実践レポート】Google AI Studioで「5S改善報告書」を半自動作成できるプログラムをつくってみた

工具棚を整理したり、作業の動線を見直したり…。自分たちの手で、昨日より今日、今日より明日と、職場がどんどん良くなっていくのは、本当に気持ちがいいものですよね。

しかし、その素晴らしい改善の後には、少しだけ気の重い仕事が待っています。そう、オフィスのパソコンに向かって作る、「改善報告書」の作成です。

現場でのひらめきや試行錯誤を、どうすればうまく言葉にできるのか。「あの困っていた問題を解決した改善を、どう表現すればいいんだ…」と、キーボードの前で頭を抱えてしまう方も、少なくないのではないでしょうか。我々はそんな報告書をつくる作業をするために入社したんじゃない!と言いたくなるくらい、苦手意識がある方も多いのは事実ですよね、苦笑。

もし、その面倒な報告書が、改善前と改善後の「写真2枚」をアップするだけで、ほとんど自動で出来上がるとしたら…?

まるで夢のような話ですが、最近のAI技術は、そんな未来を私たちの手の届くところに引き寄せてくれています。そこで今回は、無料で使えるGoogleのAI開発ツール「Google AI Studio」を使って、『写真2枚から5S改善報告書を半自動で作成する』という、ちょっと未来的なプログラムづくりに挑戦した、実践レポートをお届けします。

果たして、AIは現場の報告書づくりの救世主となり得るのか。その一部始終を、ぜひご覧ください。

では今回も読み終えるまでのお時間、しばらくお付き合いくださいませ。

目次

現場の「報告書づくり」が、ツラいあなたへ

さきほどお話ししたように、素晴らしい改善活動の後に、少しだけ気の重い「報告書作成」という仕事が待っています。

「改善は好きだけど、パソコンで文章を打つのは苦手…」

これは、多くの現場で聞かれる、切実な声です。

それもそのはず。工具を巧みに操り、0.1秒のムダを削り取る手先の器用さと、その改善効果をパソコンに向かって論理的な文章で説明する能力は、全く別のスキルだからです。

「改善前の状況」「改善後の状況」「改善効果」…。

報告書のフォーマットに沿って、あの現場でのひらめきや試行錯誤の熱量を、言葉に”翻訳”していく作業。この「翻訳」がうまくいかず、せっかくの素晴らしい改善が、うまく伝わらない。そして、報告すること自体が億劫になり、改善のサイクルが止まってしまう…。

これでは、あまりにも、もったいない。

現場で汗を流す改善のプロフェッショナルたちが、その本来の力を最大限に発揮できるように、この「翻訳」作業を、誰かが手伝ってくれないだろうか。

その「翻訳家」の役割を、AIに任せられないか?

今回の挑戦は、そんな想いから始まりました。

「写真2枚」から報告書を自動作成?今回の挑戦の全貌

前の章で、現場の改善活動における「報告書作成」という、根深い課題についてお話ししました。

「改善は好きだが、文章は苦手…」。このジレンマを解決する翻訳家として、AIは機能しないだろうか。

その想いを形にするために、今回私が挑戦したプログラムのコンセプトは、この上なくシンプルです。

「改善前と改善後の写真2枚をアップロードするだけで、AIが報告書の面倒な部分をすべて代行してくれる」

というものです。

あなたが現場で行った素晴らしい5S改善。そのビフォー・アフターの写真をスマホで撮り、AIに渡す。すると、AIが2枚の画像を比較・分析し、「どんな状況が、どう改善され、どんな効果があったのか」という報告書の骨子を、自動で文章にしてくれるのです。

私たちがやるべきことは、AIが作ってくれた下書きを元に、少しだけ自分の言葉で修正するだけ。ゼロから文章を考える苦しみから、完全に解放される。そんな未来を目指した挑戦です。

そして、この仕組みを形にするために今回活用したのが、Googleが提供している「Google AI Studio」という、無料で使えるAI開発ツールです。

「開発ツール」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、ご安心ください。Google AI Studioは、プログラミングの専門家でなくても、直感的な操作でAIのプロトタイプ(試作品)を素早く作ることができる、まさに私たちのような現場の人間にとっての強い味方なのです。

Googleの最新AIである「Gemini」の力を無料で、しかも簡単に試せるこのツール。その画像認識能力(マルチモーダル機能)を使えば、私たちの挑戦も、夢物語ではなくなると考えたのです。

実際にプログラムを動かしてみた【3ステップで報告書が完成】

さて、お待たせしました。いよいよ、今回開発した「写真2枚から5S改善報告書を半自動作成するプログラム」を、実際に動かしてみましょう。

コンセプト通り、本当に3ステップで、あの面倒な報告書が完成するのか。題材として、多くの製造現場で見られる「測定工具棚の整頓」の改善事例を使ってみます。

ステップ1:改善前後の画像をアップロード

まずは、開発したプログラムのシンプルな操作画面を開きます。

見ての通り、やることはたった二つ。「改善前の画像(Before)」の(ファイルを選択)ボタンを押して改善前の写真をアップし、「改善後の画像(After)」の(ファイルを選択)ボタンを押して改善後の写真をアップするだけです。

今回は、事前に用意しておいた「ゴチャゴチャの工具棚(改善前)」と、「整頓された工具棚(改善後)」の写真を、それぞれクリックしてアップロードしました。

ステップ2:AIが生成した「報告書ドラフト」を確認・修正

2枚の画像をアップロードした後、「AIで詳細を生成し入力が名へ進む」ボタンを押すと、GoogleのAI「Gemini」が画像の分析を始めます。AIは、2枚の写真の違いを比較し、「工具棚が整理され、定位置化された」という変化を読み取ります。

そして、ものの数秒で、以下のような「報告書ドラフト」を自動で生成してくれました。


▼AIが生成した下書き(ドラフト)▼

  • 改善の種類:整頓(置き方標準化)
  • 改善の件名:測定工具の定位置管理と見える化
  • 改善前の状況(なにを):棚にさまざまな測定工具が種類や大きさを問わず雑然と置かれており、必要な工具を探すのに時間がかかり、また紛失や破損の懸念がありました。
  • 改善後の状況(どうした):棚に置く工具の種類を決め、サイズや形に合わせてくり抜いたトレーを導入しました。これにより、どこに何があるかが一目でわかるようになり、定位置管理が徹底されました。
  • 工具の探索時間が大幅に短縮され、必要な時にすぐに取り出せるようになりました。また、工具の紛失や落下による破損リスクが低減し、工具の適切な管理が可能になりました。

どうでしょうか?完璧ではないものの、報告書の骨子としては、ほぼ要点を捉えていますよね。

私たちは、このAIが作ってくれた下書きを元に、より具体的な言葉や、現場ならではの表現に修正していくだけでいいのです。ゼロから文章を考える苦労は、もうありません。

ステップ3:PDF形式で「5S改善報告書」をダウンロード

AIのドラフトを元に、文章の修正が終わったら、最後は「PDFプレビューへ進む」ボタンを押したうえで内容を確認し「PDFでダウンロード」ボタンをクリック。

すると、アップロードした2枚の画像と、修正した文章が、自動で体裁の整った報告書フォーマットに組み込まれ、ダウンロードが完了します。

このように、たった3つのステップで、あの手間に感じていた5S改善報告書が、驚くほど簡単かつスピーディーに完成しました。

このプログラムがもたらす3つの価値

実際に3ステップで改善報告書が完成する様子をご覧いただきました。

「なんだか、すごく簡単そうだな」と感じていただけたのではないでしょうか。

このプログラムは、単に「便利」というだけではありません。このシンプルな仕組みが、私たち中小製造業の現場に、大きく分けて3つの、非常に重要な価値をもたらしてくれると、私は考えています。

価値1:圧倒的な時間短縮と負担軽減

まず、最も直接的な価値が、報告書作成にかかる時間と、精神的な負担からの解放です。

これまで、改善活動そのものは数分で終わるのに、その報告書作りに30分、1時間とかけていたことはありませんか?パソコンを立ち上げ、フォーマットを開き、言葉を選び、写真を貼り付け、体裁を整える…。このプログラムは、その一連の作業の9割を削減すること(目標)を可能にします。

あなたがやるべきことは、改善の前後を写真に撮り、AIが作った下書きを数分間だけ見直すこと。それだけです。これまで報告書作成に使っていた時間を、本来あなたがやるべき、さらなる改善活動や、部下とのコミュニケーション、新しい技術の習得といった、より価値の高い仕事に使うことができるのです。

価値2:文章作成の「苦手意識」を克服

「改善は好きだけど、文章は苦手…」。この根深い「苦手意識」こそが、改善報告の最大の壁でした。

真っ白な画面を前に、何から書けばいいのか分からずに固まってしまう。そんな経験は、誰にでもあるはずです。

しかし、このプログラムを使えば、その状況は一変します。

なぜなら、AIが「下書き」を作ってくれるからです。あなたはもう、ゼロから文章を生み出す必要はありません。AIが作った骨子を元に、「ここは、もっとこういう表現にしよう」「現場の言葉を付け加えよう」と、修正・編集するだけでいいのです。

「書けない」が「直すだけ」に変わる。

この変化は、文章作成への心理的なハードルを劇的に下げ、これまで報告書作りが億劫だった人でも、前向きに取り組めるようになる、大きな一歩です。

価値3:改善活動の「もっと先へ」

そして、これが最も重要な価値かもしれません。

報告書作成のハードルが下がることで、現場の改善活動そのものが、もっと活発になります。

「こんな小さな改善、わざわざ報告書にするほどでもないか…」

そう思って、これまで共有されずに埋もれてしまっていた、現場のたくさんの「小さな工夫」や「日々の気づき」。それらが、このプログラムによって、気軽に報告・共有されるようになります。

一人の素晴らしい改善が、報告書を通じて全社に共有され、横展開されていく。他の人の改善を見て、「自分もやってみよう!」と、新たな改善者が生まれる。報告が手軽になることで、「改善の輪」が勢いよく回り始め、会社全体の改善文化が、より一層活性化していくのです。

このプログラムは、単なる業務効率化ツールではありません。会社の成長の原動力である「カイゼン文化」を、根っこから強くするための、強力な起爆剤なのです。

【お願い】このプログラム、あなたも使ってみたいですか?

ここまでご覧いただいたプログラムは、あくまで私がGoogle AI Studioを使って作成した、実験段階のプロトタイプです。

しかし、私自身はこのシンプルなコンセプトが、多くの製造現場が抱える、あの根深い「報告書問題」を解決できる、大きな可能性を秘めていると信じています。

ですが、それはもしかしたら、私一人の思い込みかもしれません。

もし、この記事を読んでくださった皆さんから、「これ、うちの会社でも使ってみたい!」「こんな機能があったらもっと便利になる!」といった声を、本当に多くいただけるようであれば、この挑戦を次の一歩へと進め、誰もが簡単に使える正式なサービスとして、開発を本格的に検討したいと考えています。

そこで、現場の最前線で戦う、あなたの正直なご意見を、ぜひお聞かせいただけないでしょうか。

正式サービス化に向けたアンケートにご協力ください

下記の簡単なアンケートフォームより、プロトタイプのURLを受け取ることができます。そして使ってみて、あなたの声をお寄せいただけますと幸いです。申込みもアンケートも数分で終わる簡単な内容ですので、ぜひご協力をお願いいたします。

こちらに入力いただいたメールアドレスに、漏れなく今回のプロトタイプが何度でも試せるURLをお送りします。ただし、無限に使えますが有効期限は1ヵ月間のみとなります。しかも現在、まだスマートフォンではうまくデータが飛ばせず、パソコンだけで使用可能となっています。あらかじめご了承ください。

まとめ:AIで「改善の輪」を、もっと手軽に、もっと楽しく

AIと聞くと、まだどこか遠い世界の、一部の専門家だけが使う難しい技術だと感じてしまうかもしれません。

しかし、今回の挑戦で活用した「Google AI Studio」のように、今やAIは、プログラミングの知識がなくても、誰もが無料で、そして直感的に使える道具になりつつあります 1。大切なのは、AIという道具を使って「何をするか」という、私たち自身のアイデアです。AIは、専門家だけのものではありません。現場で働く私たち自身が、自分たちの仕事を楽にするための最高の道具として、使いこなせる時代が来たのです。

今回の「写真2枚から報告書を半自動作成する」という挑戦は、そんな大きな可能性の、ほんの小さな一例にすぎません。

この記事でお伝えしたかったのは、単なるプログラムの紹介ではなく、「AIという新しい仲間がいれば、現場の長年の悩みも、こんなに楽しく解決できるかもしれない」という、未来へのワクワク感です。

この小さな挑戦が、多くの現場が抱える「報告書問題」を解決し、あなたの会社の「改善の輪」が、もっと手軽に、もっと楽しく回り出す、一つのきっかけになることを、心から願っています。

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この記事を書いた人

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。10年間で600社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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