最後のQC7つ道具である管理図の
その統計的な意味合いと種類について
説明を重ねてまいりました
なかなか強烈なツールであることは
ご理解いただけているとは思いますが
いよいよ今回はその作り方について
解説を進めていきます
今までの説明からすると
結構難しく感じているかもしれません
しかし実際にやってみると
意外とそう難しくはありませんので
試してみてくださいませ
x̄-R管理図の構成について
今回はよく活用されるx̄-R管理図を
実際に作ってみる解説をします
x̄-R管理図とはx̄管理図とR管理図とを
組み合せた管理図だと前回伝えました
もちろんこの管理図を描く場合は
x̄管理図を作図してその下に
R管理図を描き加えます
つまりそれぞれ作図する必要が
あるという構成です
ではこれをどのように描いていくのか
説明していきましょう
x̄-R管理図のパーツ名称について
x̄-R管理図の作り方が説明しやすい
ように管理図を構成するパーツの
名称についてまずは説明します
【x̄-R管理図のパーツ名称】 ①中心線(CL) ②上方管理限界線(UCL) ③下方管理限界線(LCL) ④管理線 ⑤群 |
では判別できるように
もう少し詳しく説明をします
①中心線
x̄管理図やR管理図のデータの
中心を示す直線で
実線で表します
この場合、データが5個集まった
群の平均を平均したもの
あるいはその群の範囲を平均
したものを指します
②上方管理限界線
中心線の上に並行に引かれた
上側の管理限界線で
破線、または一点鎖線で表します
英語ではUpper Control Limitで
頭文字からUCLと略されます
また上側管理限界線とも言います
③下方管理限界線
中心線の下に並行に引かれた
下側の管理限界線で
破線、または一点鎖線で表します
英語ではLower Control Limitで
頭文字からLCLと略されます
また下側管理限界線とも言います
④管理線
中心線と管理限界線を総称して
管理線と呼びます
⑤群
データを1日あるいは1Lotのように
小さなグループに分けることを
『群分け』と呼び
分けたデータのまとまりを
『群』と言います
また群を構成しているデータの数を
『群の大きさ』と言い
記号:nで表します
今回の場合1日5個のデータなので
群の大きさは5でありn=5と示す
x̄-R管理図の作り方
それではx̄-R管理図の作り方は以下の
7つの手順で作図していきます
【x̄-R管理図の作り方の7手順】 手順1:データをまとめる 手順2:群ごとに平均値と範囲を算定 手順3:それぞれの平均値を計算する 手順4:それぞれの管理線を計算する 手順5:x̄-R管理図作成の準備をする 手順6:データと管理線を記入する 手順7:その他の必要事項を記入する |
それではこの手順について
一つずつ押さえていきましょう
手順1:データをまとめる
まずは日付、曜日、群番号などを記載
獲得したデータを表にまとめます
実際にはエクセル等の表計算ソフトで
まとめることが多いと思いますので
そのソフト上にまとめていただければ
この後の計算も早いと思います
手順2:群ごとに平均値と範囲を算定
そして群ごとに合計、平均値、範囲を
算定します
範囲は群の5つのデータのうち
最大値から最小値を引いた値
つまりバラツキの幅を示します
後にこの平均値がx̄管理図の打点
範囲がR管理図の打点となります
手順3:それぞれの平均値を計算する
そして群毎に出した平均値の平均値を
また群毎の範囲の平均値を計算します
群毎の平均値の平均値=50.913
群毎の範囲の平均値=7.464
そして後に
この平均値の平均値がx̄管理図の
そして範囲の平均値がR管理図の
中心線の値となります
手順4:それぞれの管理線を計算する
まずはx̄管理図の管理線の値を求めます
この計算に出てくるA2、D4、D3は
後ほど詳しく説明します
中心線(CL)=群毎の平均値の平均値
=50.913
上方管理限界線(UCL)
=中心線+A2×範囲
=50.913+0.577×7.464
=55.220
下方管理限界線(LCL)
=中心線-A2×範囲
=50.913-0.577×7.464
=46.606
そしてR管理図の管理線の値を求めます
中心線(CL)=範囲の平均値
=7.464
上方管理限界線(UCL)
=D4×範囲の平均値
=2.114 × 7.464
=15.779
下方管理限界線(LCL)
=D3×範囲の平均値
=0.000 × 7.464
=0.000
上記の計算に出てきたA2、D4、D3は
群の大きさにより定義されていて
以下の表から係数をひらってきます
n | A2 | D4 | D3 |
2 | 1.880 | 3.267 | 0.000 |
3 | 10.23 | 2.574 | 0.000 |
4 | 0.729 | 2.282 | 0.000 |
5 | 0.577 | 2.114 | 0.000 |
6 | 0.483 | 2.004 | 0.000 |
7 | 0.419 | 1.924 | 0.076 |
※ 上記は管理限界線を計算するための係数表である(JIS Z 9021:1998より)
※ nは群の大きさを示す
※ ただしn=6以下の場合はD3は示されない
手順5:x̄-R管理図作成の準備をする
グラフ用紙や方眼紙などを準備して
縦軸にはx̄管理図とR管理図の
それぞれの値が入るように目盛ります
手順6:データと管理線を記入する
まずは群毎の平均値をx̄管理図に
群毎の範囲をR管理図に
それぞれ打点していきます
JISなどでは打点は記号『●』で
定義されていますが見やすくするため
変更することは大丈夫です
またx̄管理図とR管理図の
管理限界線を引きます
中心線は実線で、管理限界線は破線
あるいは一点鎖線とします
手順7:その他の必要事項を記入する
その他の補足情報などがあれば
その管理図に追記して完成です
管理図の作り方(エクセルは次回)まとめ
実際に手作業で作図する手順は
計算さえ慣れてしまえば大丈夫です
一方でやはり発表資料を作成する
効率性と見やすさを考えた場合は
エクセルで作図したいところですよね
と、いうことで次回のこのシリーズは
エクセルでのx̄-R管理図の作り方を
解説したいと思いますので
楽しみにお待ちくださいませ
それでは今日はここまでです
今後ともよろしくお付き合いくださいませ☆
長文・乱文を最後まで読んでくださり
いつもありがとうございます♪
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