今年に入ってからAI=人工知能に関するリリースのニュースが後をたちません。でもそのニュースを読んだり聞いたりすることだけでは、何が変わるか?ってことはわかりませんよね。そこで今回はAI=人工知能で何ができるようになっていて、我々製造業の仕事にどんな影響がでるのか?についてお話しを進めていきたいと思います。
今回も読み終えるまでのお時間、しばらくお付き合いください。
AI=人工知能の進化~いま起こっていること~
昨年末にChat GPTが発表されてからChat GPT plusやGPT4、copilotにGoogle bardなどなど、AI=人工知能に関する発表が多いですよね。これって実は「言語モデル」というAI機能の一部の応用が進んだ、というニュースなんです。それはいったいどういうことなのか?そもそも言語モデルとはどのような機能を指すのか?少し解説してみましょう。
言語モデルとはなにか?
言語モデルとは、どのような言語表現をすべきか?をテーマに機械学習を積み重ねたモデルのことを言います。シンプルに例えるなら「今日の天気は」の次に来る言葉は「晴れです」と表現すべきか、「くもりです」と表現すべきか、あらゆる周囲のパラメーターで判断しながら文章を作り上げていくモデルだということ。具体的には、Chat-GPTに搭載されているGTP-3.5やGPT-4、あるいはGoogle bardに搭載されているLaMD2などを指します。これらが実用的になるまで技術革新が進んだため、応用サービスがどんどんリリースされている、という状況なんですよね。これらが進化することによって、いったいどんな恩恵が受けられるのか?おおむね以下の2つと言えるでしょう。
出力手段の進化:機械が自然な言語表現をするようになった
1つ目は、機械が自然な言語表現をするようになったことです。ひとたび質問をしてみると、まるで人間と会話しているような感覚になるほどです。これまでWEB上に人間が記録したビッグデータから学習したのですからそりゃそうなんですが、よくぞここまで!とのクオリティです。つまり、あらゆるデータから分析した結果を適切にグラフ化すると当時に、それらに自然な言語表現を加えてくれるわけですからすごいことです。
入力手段の進化:機械が多くのことを理解できるようになった
2つ目は、機械が多くのことを理解できるようになったことです。これまでは、人間が機械がわかるようにプログラムしたり、データを整理して与えたり、機械と対話するのはある程度の技術が必要でした。ところが言語モデルが進化したことにより、画像や動画などの抽象的なデータから人間の言語ロジックを予想することで一定の意図を読み取れるようになりました。これがすごく大きいんですよね。大きな手間が削減できることになりました
言語モデルの進化で得られるメリット
出力手段が進化し、入力手段が進化した、ということは、機械とのコミュニケーションが進化したと言えます。これまではいちいち人間が機械言語(プログラミング)を学んでから、判断基準を教えてその判断ができるデータを与えてはじめて、加工された情報を人間が読み取ってきました。しかしこれからは、質問力さえ鍛えれば機械が多くの壁をあっちから乗り越えてくれる時代だと言えそうです。ではこの状況が製造業にどんなインパクトを与えるのでしょうか?
AI=人工知能の進化による製造業への影響
近年のAI=人工知能の進化は、機械とのコミュニケーションの進化だと言えます。では、具体的に出力手段と入力手段の進化が、いったい我々中小製造業の仕事にどのような影響をもたらすのか、少し予想してみたいと思います。
品質管理への影響
品質管理は、さまざまな生産環境の変動により、どうしてもバラついてしまう製造品質をどれだけ極小化できるか?がテーマです。そのためには、製造された製品のバラツキを計測し、そのバラツキに影響を与える主要因を見つけ出し、安定化させるための組織的な取り組みが必要です。これを現在では多くのプロセスをヒトの考えと行動で行っているわけです。
しかし機械とのコミュニケーションの進化から、人間ではできないですが、機械ならできる手段を選ぶことができます。たとえば、製品のバラツキのデータと、あらゆる主要因候補のデータに相関があるかどうか、総当たりで調査するのは人間ではできません。でも機械ならあらゆるすべての情報と比較して、関係のある主要因を見つけ出して、言葉で教えてくれるようになるはずです。
このように中小製造業での品質管理は、データ取得とその優先順位付けの判断が中心となるでしょう。そしてAIならその有効な解決手段の候補も提案してくれるため、品質管理の効率性は飛躍的に高まるはずです。
原価管理への影響
原価管理は、あらゆる経費をどう合理的に最少化していくか?がテーマです。そのためには、原価低減目標を明確にし、達成のための計画を作成して、その計画を統制していきます。具体的には材料費、労務費、外注加工費など、当社独自の主要なコストドライバーを設定し、集中的な標準ー実績の分析によって、改善すべき項目を決めて対策を打っていきます。
ただし残念なことに製品ごとに管理できている中小製造業は少なく、おおよそ見積り時に同様な計算をしている程度で、実際の原価さえ見える化できていない現場が多いです。その理由は、自社に合致した原価管理モデルが分からず、どのような体制をどう整備すればよいか決めきれていないからです。そこで機械とのコミュニケーションの進化が大きく影響を与えます。
例えば当社の業種や状況、あるいは方針や特徴を言葉で機械に伝えて、その選択肢を並べてもらいます。そしてそれらを人間が選択し、さらに当社独自の条件を加えて、どんな原価管理体制が最適か?のディスカッションを関係者が集まる会議の席上で展開してみてください。そして最後に、管理すべきフォーマットをAIに具体的に示してもらえば、当社独自の状況に合わせた原価管理モデルの素案が関係者の合意の上で完成します。あとは試験的に実施してみて改善を積み重ねることで、さらにしっくりくる仕組みとして進化することができます。
納期管理への影響
納期管理は、顧客が希望する納期までに間に合わせるために、どのようにムダのないものづくりを実現させることができるか?がテーマです。そのために設備能力・作業能力・良品率などを事前に把握しておいて、それらを加味して合理的な計画を策定し、実際にそのとおりできたかどうか評価して、改善点を見出していきます。
しかし多くの工場では計画は立てるものの、納期が間に合わなくならない限りは、実績の検証ができておらず、その計画が最適であるかどうかまでは評価できていません。そのため、余裕があるのか、ギリギリなのか、ムダが出ているのか?わかっていないことが多いです。
そこでヒトと機械のコミュニケーションの進化を活用して、実績を正確にデータ化することが容易となります。つまり「Hey Siri」や「OK Google!」のように声でデータが入力できるようになれば、実績系のデータ入力の手間が最小になり、正確な実績データが蓄積可能です。そしてそれらを自動的に分析して、課題抽出や優先順位付けに加え、対策まで教えてもらえるなら、納期管理体制もどんどん進化が期待できるはずですよね。
AIの製造業への影響まとめ
さて、いかがだったでしょうか?AIが進化することで、少しずつ製造業の仕事も変わってくるはずです。いえ、積極的にすぐに変えるべきです。
なぜなら自社が変わらなければ、知らない間に他社に差を付けられてしまうということです。それってダイレクトに働く仲間の報酬=生活に与える影響は大きく歓迎できないはずですよね。
基本的にこういったAI導入を決めても当社独自の仕組みとして有効に使えるようになるには、少し時間と労力がかかります。その間にもこれらAIの進化は今のままでは終わらない公算が大きい。だからこそ一瞬のタイムラグが致命的なものとならないよう、ぜひ今すぐアクションを起こすことを考えてくださいませ。
それでは今日はここまでです。今後とも宜しくお付き合い下さい☆
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