製造業における「Microsoft 365 Copilot」の衝撃!~ChatGPT(GPT-4)を製造業でどう使うのか~

製造業における「Microsoft 365 Copilot」の衝撃!~Chat-GPT(GPT-4)を製造業でどう使うのか~

 製造業において、業務効率化は常に重要な課題となっています。このため、最新のテクノロジーを活用することで、効果的な業務効率化が可能となります。その中でも、近年注目を集めているChatGPTというAI技術があります。そのChatGPTGPT-4を搭載した衝撃的なサービス:Microsoft 365 Copilotが発表されました。

 そこで今回はデジタル界のゲームチェンジャーと言われるChatGPTGPT-4とはなにか?Microsoft 365 Copilotとはどんなサービスか?さらにそれを製造業でどう生かすべきか?について解説していきましょう。

目次

そもそもChatGPTのGPT-4とは?~言語モデルの進化の歴史~

 ChatGPTとは、人工知能が自然な文章を生成する技術です。別にChatGPTでなくとも、自然言語処理の技術は他も種類はいくつかあります。そしてGPT-4とはOpen AIという会社が開発したGPTシリーズの最新バージョンの言語モデルだと言うわけです。って、この説明ですとわからないですよね。まずはおわかりになるよう、言語モデルについて説明します。

言語モデルとはなにか?

 そもそも言語モデルとは、ある文章を起点に次の単語を予測する機能だと思って下さい。たとえば、「今日の天気は」という言葉があったとしたら、その次に来る言葉は何になるのかをあらゆる情報を元に予測してどんどん文章をつくっていくのが言語モデルです。

 例)「今日の天気は」→「くもりです」

2015年:GPTシリーズを生んだOpenAI社が創業

 まずディープラーニング(機械学習)技術が2006年くらいに出てきました。その学習を蓄積することによって近年のAI技術がとんでもなく進化してきている、というわけです。そしてこれらをさらに加速させるべく2015年にイーロン・マスクとサム・アルトマンの手によってOpenAI社が創業されました。

2017年:深層学習モデル:Transformerが発表

 そしてその2年後の2017年に、GoogleからTransformerと呼ばれる画期的な深層学習モデルが発表されました。これが近年の言語モデルの進化ベースになっています。ChatGPTのT、Google社製のAI=BERTのTはこのTransformerの頭文字なんです。あまり知らないですよね、苦笑。

2018年:初代GPTの登場

 その1年後の2018年に初代GPTが発表されました。実はその直後にBERTも発表されました。そして翌年2019年、GoogleはこのBERTを、SEOに関係が深い検索アルゴリズムに組み込んだそうです。私達が知らない間にMicrosoftGoogleのAI技術の闘いが始まっていたんですねー。

2019年:GPT-2として性能が15倍も進化

 そして同じく2019年に初代GPTの進化版:GPT-2が発表されます。初代GPTとの違いは取り扱う変数の量です。初代GPTの変数は1億個だったのが、GPT-2は15憶個と15倍です。この時点でフィクションの文章を書かせると、AIが書いた文章と人間が書いた文章と見分けがつかないレベルだったとのこと。当時は悪用されると心配なためリリースが見送られたほど、苦笑。

2022年:GPT-3を搭載したChatGPTがリリース

 その翌年2020年にGPT-3が発表され、変数が1,750億個まで激増し100倍越えです、苦笑。そしてこのGPT-3を応用して作られたのがChatGPTで、2022年の終わりにリリースされて話題になっているというわけです。

2023年:GPT-4:最先端言語モデルの登場!

 そして今年、2023年の3月にGPT-4がリリースされるとの発表後に、いよいよこのGPT-4が搭載されたMicrosoft 365 copilotが3月16日に発表されたというので、衝撃的なんです!

Microsoft 365 Copilotとはなにか?読み方や意味も

 Microsoftは3月16日(日本時間3月17日)、オフィスアプリ「Microsoft 365」の新サービスとして「Microsoft 365 Copilot」をリリースすることを発表しました。「ChatGPT」のようにチャットで指示することで、「Word」や「Excel」などの作業をサポートしてくれる機能を持ち、今後数カ月以内に導入を予定しているとのことです(価格やライセンスは近日中に発表予定)。楽しみですね!

Microsoft 365 Copilotの構成要素

 Microsoft 365 Copilotは「Word」「Excel」「PowerPoint」「Outlook」「Teams」などのお馴染みの主要オフィスアプリで、言葉で作業の指示を出せるとのこと。なんと言ってもChat-GPTより精度の高い最新の言語モデル「GPT-4」が搭載される予定。これは役立ちそうです。

Copilotの読み方と意味

 Copilotの読み方は「コ・パイロット」で、まさに副操縦士のようにユーザーをサポートする意味合いを持っている、粋なネーミングですね、笑。

GPT-4が搭載されたCopilotのAI機能イメージ

 リリースされるのはわかったけれど、どんなイメージなのかまだピンと来ないですよね。そこでそれぞれお馴染みのアプリがどんな感じなるのか、発表された内容を紹介していきます。

WordのAI機能

 Wordでは、GPT-4の機能を使って書類作成の際に様々な機能が利用できます。たとえば、文章を書き始める前にドラフトを提案してもらったり、要約や書き直しも手軽に依頼できます。また、書類を完成させるためのフィードバックを求めることもできます。このように、GPT-4が搭載されたWordを使うことで効率的に文章作成を進めることができます。

ExcelのAI機能

 Excelはビジネスにおいて一般的に多く使われているアプリケーションの1つです。Excelを使用すると、膨大な量のデータを分析することができ、ビジュアルデータを作成することができます。そのためGPT-4が搭載されたExcelでは、こういった高品質のビジュアルデータを数秒で作成することができます。またVBAマクロなど適切な問合せができれば簡単に実装可能です。

PowerPointのAI機能

 PowerPointは、事前に準備したテキストデータからコンテンツをプレゼンテーションを自動作成したり、要望にそったイメージにに内容を書き換えたりすることもできます。なので、これまでプレゼン用に作成していた資料づくりに費やしていた作業が半自動化できます。

OutlookのAI機能

 Outlookでは、メールを受信したり送信したりするだけでなく、受信したメールの要約から自動的に返信文面の提案ができます。

TeamsのAI機能

 Teamsを使用すると、ビデオ会議で話し合われた内容を要約して議事録を作成することができます。高度化したGTP-4がその文書化をサポートするので、これまでとは違い、高精度な議事録が取れるでしょう。

Power PlatformのAI機能

 Power Platformを利用すると、反復的なタスクをGPT-4のサポートにより、これまでとは違って簡単に自動化することができます。また、アイデアを元に数分でアプリを作成することもできます。

Microsoft 365 Copilotでできること

 そしてそれらAI機能を活用すれば、Microsoft 365 Copilotは生産性を向上させるための強力なツールとなり得ます。例えば、以下のようなことができると考えられますので、ご参考のうえ可能性を考えてみてください。

Excel関数やVBA機能のフル活用

 これまで関数やVBAなど、Excelが持つ強力な便利機能をどれだけの人が使いこなせているでしょうか。ところが適切なAIへの依頼ができれば、関数やVBAの知識がない人でも、フル活用できる余地があります。実現できれば生産性は飛躍的に向上させることが可能です。

生産データなどの高度な分析

 統計知識が必要とされる品質に関するデータ管理が、小さな町工場でも行えるようになります。必要最小限のデータ入力さえできれば、工程能力の計算も品質のバラツキもAIに仕組み構築を相談することで必要な知識をExcel上に具現化することが可能になるかと思います。

会議資料作成時間の短縮と議事録の自動作成

 会議資料に膨大な時間を割いている企業なら、大幅な時間短縮が図れます。さらにその会議の議事録を自動作成して要約までしてくれるので、会議後の時間もそうとう短縮してくれます。

文章作成の時間短縮や自動化

 日報や報告書の類、あるいは依頼文章の下書きを作成してくれたりと、文章作成の時間短縮効果は高そうです。また、標準的なメールのやりとりであれば、送信の文章作成や送信を自動化したり、返信が必要なメールを判断して事前確認する、などの便利機能が期待できます。

製造業でどんな効果が狙えるのか?

 では、これらの機能を使って製造業はどのような恩恵を受けることができるのか?まだ想像上ではありますが考えてみましょう。

品質管理体制の強化

 これまで整えてきた品質管理体制を大企業並みにまで強化することができるようになります。統計知識の学習には一般的に時間がかかります。しかしGPT-4に適切な質問を投げかけることにより、統計知識に詳しくなくても適切な関数機能を知ることで、体制強化は十分可能です。

Excelによる生産計画の高度化

 Excelを使って生産管理をしている製造業はまだまだ多いです。でも、GPT-4との連携機能をうまく使いこなすことによって、そのExcelの生産計画の高度化は十分狙えると考えます。

原価管理の厳格化(見積精度の向上)

 また原価管理も厳格化することができます。GPT-4とのやりとりによって、これまでの見積もり精度を高めることで、これまで以上に適切な収益体制を維持することが可能となります。収益獲得が組織継続のための必要条件ですからこの体制強化はとても重要です。

会議関連時間の短縮短縮

 さらに会議の準備にかける時間が膨大になっていることが企業には有効です。Wordによるドキュメント作成、PowerPointによるプレゼン資料作成、その後の議事録作成などの時間に忙殺されている優秀なスタッフがいます。その能力と時間を開放できる期待が高まります。

製造業で「Microsoft 365 Copilot」を導入する時の留意点

 GPT-4という言語モデルを使えるオフィスアプリは、すごい機能であることは確かなんですが、すべての製造業で有効だということではありません。「Microsoft 365 Copilot」を使いこなすには、以下の留意点を守っていただければ、導入を進めやすく効果が出やすくなりますので参考にしてください。

留意点1:工場のゴールと課題を共有しておく

 とりあえず便利だから使うっていうのも面白いですが、やはり成果を出す理由がないので中途半端になります。うちの工場はどうなるべきか?ゴール設定することで、集中した取り組みができます。そのゴール達成のためのやるべきこと=課題を抽出・整理して共有しておくことは、AI活用でなくても必須ですよね。

留意点2:デジタルデータの記録を進めておく

 AIは分析が得意です。人では思いもつかない要因を見つけることもあります。でもその分析元=デジタルデータがなければ何も見つけられません。そのため、できれば早いうちから自社における重要なデータをIoTや簡単アプリ等によってデジタル記録を進めておくことが大切です。

留意点3:改善活動ができる組織づくりを進める

 やるべきことがわかってたうえで、デジタル手段が手に入ったり高度な分析ができたとしても、チーム=組織として改善できる空気がないと、結局個人の判断にまかせる対応となってしまい、継続が難しくなります。そのため、5S活動やQC活動などを通じて、組織ぐるみで現場を良くしていく習慣をつくることはとても重要です。

留意点4:勉強会を開催する

 この便利機能を活用するのも、一定のリテラシーが必要となります。AIに何をどんな風に質問すれば、欲しい結果が得られるのか?従業員にまずは体験させてみる必要があります。ヒトは1度やれるようになると、求められれば再現しようとします。そのため勉強会は必須です。

まとめ

 テクノロジーの発展によって、かつての固定電話や携帯電話、パソコンがビジネスのスタイルを変えたように、近い将来にて人工知能が産業界のゲームチェンジャーとなるのは間違いないと思います。あとはあなたがこれをどう使うのか?ぜひ今から準備を進めておいていただきたいと思います。

 それでは今日はここまでです。今後とも宜しくお付き合い下さい☆
 長文乱文を最後まで読んでくださりいつもありがとうございます♪

 すべては御社の発展のために、すべてはあなたの笑顔のために

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この記事を書いた人

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。10年間で600社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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