IE手法の7つ道具②稼働分析2ワークサンプリング法編

IE手法の7つ道具②稼働分析2ワークサンプリング法編

前回はIE手法の7つ道具の2つ目
稼働分析の概論についてお伝えしました

稼働分析とはなにか?
少し姿が見えてきたイメーででしょうか

【前回記事】>IE手法の7つ道具②稼働分析1概論編

では、いよいよ稼働分析の代表的な手法
ワークサンプリング法について
詳しく説明していきたいと思います

しばらくお付き合いくださいませ

ワークサンプリング法とは


まずは日本能率協会の定義から
確認してみましょう

人や機械の稼動状態および仕事の種類などを瞬間的に観測し、それらの積み重ねによって、各観測項目の時間構成や、その推移状況などを統計的に推測する手法である。

ようするにストップウォッチなどで
計測するわけでなく瞬間観測情報の蓄積で
分析していく手法ということです

さて、どんな方法なんでしょうか?

では少し、しくみを説明してみましょう!

目次

ワークサンプリング法の原理


IE手法の7つ道具②稼働分析2ワークサンプリング法編

ある現場の2人の作業者が
9時~10時まで上図のような時間経過で
作業を行っていたとします

作業者AとBは
この緑色の間加工をして
それ以外は段取をしたとします

その時に適当なタイミングで10回
瞬間的な作業観測(ワークサンプリング)
を行ったとします

サンプル数は10回×2名
緑が加工で、それ以外が段取です

そうすると実際に計測した数値と
ワークサンプリングの数値と
その稼働率は同等であると評価できます

つまり。。。

1日中、ストップウォッチを持って
張り付いて計測した稼働率と
瞬間的に観測して算定した稼働率は
大きくは変わらないということ

つまり少ない労力で
ある程度の稼働率が得られるということ

ワークサンプリング法のメリットとデメリット


この特徴によって採用実施する
メリットとデメリットを明らかにします

【メリット】
①少ない工数で
・広い対象
・時間のかかる作業
・発生タイミングがわからない作業
などの定量化を比較的簡単に行える
②分析対象者に精神的な負担をかけない
【デメリット】
瞬間観測のため質的な内容は把握し辛い
つまり
・作業ペースは評価しにくい
・作業の順序を把握できない
・無効な作業の見分けがしにくい
・作業の目的が把握しにくい

部屋の端っこで全体が見渡せる場所
そこにさえいれば観測が可能な
使い勝手のよい手法です

ただしデメリットを考えれば
いろいろと工夫が必要です

つまり目的が把握しにくい作業が多いなら
作業者に質問することで状況を把握するなど
事前に対応を検討しておくことが必要です

ワークサンプリング法の実施手順


ワークサンプリング法の実施手順は
以下を参考にしてみてください

【ワークサンプリング法の実施手順】
1.調査目的を明確にする
2.調査項目を分類し、定義する
3.観測期間、回数、時刻、巡回経路を決める
4.観測を実施する
5.結果をまとめる

もう少し詳しく説明しますね

1.調査目的を明確にする


まずは調査の目的を明確にします

例えば、作業の運搬、設備のチョコ停を
定量化する場合ではれば
運搬作業とは何なのか?
これは運搬なのか、歩行なのか、を
決める必要があるということ

また、設備のチョコ停であれば
チョコ停と完全停止と何が違うのか?
ということを決める、ということです

さらには調査目的に対し
そもそもワークサンプリング法が
ふさわしいかどうか
再度確認しておきましょう

2.調査項目を分類し、定義する


目的に合致した観測の対象
つまり職場、設備、ヒト、時間帯などを
しっかり決めておきましょう

ワークサンプリングは瞬間観測で
作業を把握しなければならないため
あらかじめその内容を頭にいれておく

そんな事前準備が必要です

つまり瞬間的に何の作業なのか
判断をつけることが求められます

特に、改善のターゲットは
モノをつくっていない作業(状態)
をすべてロスと置くことが前提です

3.観測期間、回数、時刻、巡回経路を決める


観測期間は
対象の状態の変動のサイクルや
分析の目的によって決まります

観測回数は増やせば増やすほど
精度は高くなりますが
ある程度誤差が出ることを前提での
回数設定が望まれます

求める式は以下を参考ください

N=(1-P)×4 ÷ (Sの2乗 × P)

N=観測数
S=希望する精度(相対誤差)
P=推定発生比率

【参考情報】
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さらに観測する時刻も
ランダム時刻表を活用して
あらかじめ設定しておきます

【参考情報】
[getpost id=”1740″]

また、普通対象を1人で数十点担当するため
巡回経路をあらかじめ決めておきます

その時、巡回経路は何種類か用意して
ランダムに選んで観測を行い
データに偏りが減るよう工夫します

4.観測を実施する


あらかじめ現場の了解を取ります
棚卸し日や大掃除の日などは避けましょう

観測用紙を準備して
後でデータの整理をしやすくして
実際の観測を実施します

5.結果をまとめる


結果は全体および工程、設備、職場毎の他
場合によって時間帯別や作業者別に整理し
円グラフや棒グラフを駆使して
問題点を検討しやすいようまとめましょう

また、その結果を
作業比率をパレート図で表すことも
ワークサンプル法では定番です

IE手法の7つ道具②稼働分析2ワークサンプリング法編まとめ


稼働分析を進めることで
今までとは違った目で現場を見ます

その結果、有益な副作用が生まれます

改善の仮説の確認ができたり
今まで気が付かなかったロスが見えたり
観測者間で問題意識が共有できたりします

また、稼働分析による事実の定量化により
関係者で改善意識のベクトルが合って
改善が進みやすくなります

ぜひこのパワフルな手法を
ご活用いただければ幸いです

さて、次回はIE手法7つ道具の3つめ
工程分析について解説を進めてまいります

こちらも工程全体を俯瞰できる
すばらしいノウハウです

ぜひ続編をお楽しみにお待ちください!

 

それでは今日はここまでです
今後ともよろしくお付き合いくださいませ☆

長文・乱文を最後まで読んでくださり
いつもありがとうございます♪

すべては御社の発展のために
すべてはあなたの笑顔のために

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この記事を書いた人

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。10年間で600社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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