日報で会社が変わる!見える化経営に欠かせない日報のIT化とコラボレーションの実状

日報で会社が変わる!見える化経営に欠かせない日報のIT化とコラボレーションの実状

 「見える化経営」は、現場の情報を可視化し、経営者や管理者が正しい判断を早く行えるようにすることを目的とした経営手法です。この手法を実践するためには、日報というツールが欠かせません。この日報は報告書や連絡書だけでなく、計画書や情報共有ツールとしても活用が可能なのですがまだまだ実践できている職場が少ないと感じています。

 そこで今回は、日報が見える化経営にどのように貢献するか、そして日報をIT化することでどのようなメリットが得られるかについてご紹介します。

 ぜひ今回も読み終えるまでのお時間、しばらくお付き合いくださいませ。

目次

見える化経営のメリットとポイント

 現代の製造業は環境変化が激しく、企業には常に新しい課題やチャンスが発生しています。また、その環境に追従するためには見える化経営の導入が必須をも言われています。でも、その環境変化や見える化経営の導入に対応するためには、どのようなことが必要なのでしょうか?それぞれについてまずは解説していきましょう。

環境変化に対応するためには

 現代の製造業は環境変化が激しく、企業には常に新しい課題やチャンスが発生しています。しかし、その変化に気付き、対応できるかどうかは、現場の情報がどれだけ正確に伝わっているかにかかっています。

事件は現場で起こっている

 現場では常に想定外の出来事や顧客ニーズが発生していますが、それらが本社のスタッフルームや社長室では起きないのです。もちろん、現場で大事件が起きれば、すぐに本社や社長室にもその情報が知らされるでしょう。しかしほんの些細な、ちょっとした事件の多くは見過ごされがちです。

「まぁ、たいしたことではないな」
「たまたまだろう」
「わざわざ上に報告するまでのことでもない」
と判断されてしまうからです。

 しかし、これらの小さな変化が積み重なって大きな変化につながり、企業の存亡を左右することもあります。過去の経験を踏まえて想定した未来が本当に実現するのかどうかを検証するためには、想定していることだけでなく、想定していない変化も見つけて把握し、次の想定へ盛り込まなければなりません。

 そこで、手順が決まっていなくても、報告ルートがなくても、承認経路が設定されていなくても、現場で何か違和感があったり、予期せぬ出来事が起こった場合には、それが可視化され、全社に伝わる仕組みが必要なのです。

「日報」というツールを使う意味

 その役割を果たすのが「日報」です。呼び方は「レポート」でも「日記」でも「報告書」でも「気付きメモ」でも何でもいいのですが、その日現場で何が起こって、それに対してどう対応し、それを自分がどう感じ、どう考えたのかを明らかにして、公開、伝達する仕組みが必要なのです。

 これが週単位では間延びしてしまいますし、時間単位では、そればっかり書いていることになってしまいますから、日単位が一番現実的でしょう。

 そしてせっかく日々、社員のいろいろな気付きが吸い上がってくる仕組みをつくるのであれば、その日どういう業務を行って、それがうまくいったのか、失敗したのか、どこまで進んだのかといったことも知りたくなります。そう考えると、やはり社内に張り巡らす神経網のベースは日報のスタイルになってくるわけです。

 「日報なんか必要ない」と豪語するコンサルタントがまれにいますが、経営のことがわかっていない、時代の変化に気付いていない証拠でしょう。名称はどうであれ、現場の変化を伝えるための社内の神経網は必須です。

見える化経営を実現するためには

 見える化経営とは、現場の情報を可視化し、経営者や管理者が正しい判断を早く行えるようにすることです。しかし、現場の情報だけでは不十分です。戦略や計画も可視化しなければなりません。そして、戦略や計画が現場まで徹底されているかどうかも可視化しなければなりません。

 つまり、見える化経営を実現するためには、以下の図のように3層構造を構築することがポイントです。

  • 戦略の可視化:企業ビジョンや中長期計画を明確にし、全社員に共有すること。目標や方向性を示すことで、社員の意識や行動を統一すること。
  • マネジメントの可視化:戦略や計画に基づいて部門や個人の目標や予算を設定し、進捗や成果を評価すること。目標達成に向けて必要な支援や指導を行うこと。
  • 現場の可視化:現場で起きている出来事や問題、顧客ニーズや競合動向などを日報などで収集し、分析し、共有すること。現場からフィードバックされた情報をもとに戦略や計画を修正すること。

 この3層構造ができあがれば、企業経営は見える化されます。見える化された企業経営は、環境変化に対応できる柔軟性とスピードを持ちます。また、社員は自分の仕事が会社全体にどう貢献しているかを理解し、モチベーションや能力が高まります。

メリット1:日報のIT化で達成できる効果

 日報を紙で作成する場合、口頭での情報伝達と比較して、伝達性や再利用性に劣り、時間やコストがかかることがあります。しかし、日報をIT化することで、情報のスピードや共有が向上し、コラボレーションや価値創造が促進されることが期待されます。具体的には、以下のようなメリットがあります。

  • 口頭や紙での情報伝達よりも、情報のスピードや共有が向上する。
  • コラボレーションや価値創造が促進される。
  • 情報の再利用性が高まる。
  • 情報の保管・検索が容易になる。
  • 記入漏れ・記入ミスが防止される。
  • コミュニケーションの活性化が図られる。
  • 業務効率の向上が期待できる。

メリット2:日報導入で企業経営の見える化を促進する効果

 日報を読むことで、会社の実体や風土、企業文化が見えてくることを日報から読み取れる内容やコメントで示すことができます。また、日報を活用することで、組織や個人の意識や行動が変わり、経営改革が進むことが期待されます。具体的には、以下のようなメリットがあります。

  • 現場の情報が可視化され、経営者や管理者が正しい判断を早く行えるようになる。
  • 組織や個人の意識や行動が変わり、経営改革が進む。
  • 会社の実体や風土、企業文化が見えてくる。1
  • 組織内のコミュニケーションが活性化する。
  • 社員のモチベーションや能力が高まる。

 ではこれら効果をどのように生かしていくのか?日報で見える化経営を実践する方法について説明していきましょう。

日報で見える化経営を実践する方法

 日報は、報告書、連絡書、計画書、情報共有ツールとして4段階に成長させることができます。それぞれの段階における日報の特徴や効果を表にまとめました。

種類説明特徴
報告書日報の最初の段階で、部下がその日の活動や結果を上司に報告するものです。行動管理や事後評価に役立ちますが、情報の再利用性やコラボレーション性は低いです。
連絡書日報の第2段階で、部下と上司が双方向に日報をやり取りするものです。指導育成やコミュニケーションに役立ちますが、情報のスピードや共有性はまだ不十分です。
計画書日報の第3段階で、部下がその日の活動や結果だけでなく、次回の予定や計画も書くものです。顧客創造や価値創造に役立ちますが、情報の可視化や分析性はまだ改善できます。
情報共有ツール日報の第4段階で、部下が現場で起きた出来事や問題、顧客ニーズや競合動向などを書き、全社に共有するものです。見える化経営やコラボレーションに役立ちますが、情報の質や量は常に高める必要があります。

 日報のレベルを上げることで、現場の活動や成果が可視化され、顧客創造や価値創造につながることを事例や声で紹介します。

  • ある製造業の会社では、営業担当者が日報に顧客から受けた要望やクレームを記入し、製造部門と開発部門に共有するようにしました。これにより、製造部門は品質改善に取り組み、開発部門は新製品開発に取り組むことができました。その結果、顧客満足度が向上し、売上も増加しました。
  • あるサービス業の会社では、現場スタッフが日報に自分の気づきや提案を記入し、管理者にフィードバックを求めるようにしました。これにより、管理者は現場スタッフの意識や能力を高めることができました。その結果、サービス品質が向上し、リピート率も高まりました。
  • ある商社の会社では、海外担当者が日報に現地市場の動向や競合情報を記入し、本社と他拠点に共有するようにしました。これにより、本社は戦略的な判断を早く行うことができました。その結果、海外市場でのシェア拡大や新規参入に成功しました。

日報を活用したモニタリングシステムの構築方法

 進化した日報を活用して、現場の情報を吸い上げ、経営者や管理者が正しい判断を早く行えるようにする仕組みを図で示します。

種類説明
日報の入力現場の担当者が日報にその日の活動や結果、次回の予定や計画、現場で起きた出来事や問題、顧客ニーズや競合動向などを記入します。日報はIT化されており、スマートフォンやタブレットなどからも入力できます。
日報の分析日報に入力された情報は、データベースに蓄積され、分析ツールによって集計や分類、グラフ化や可視化されます。分析ツールは、日報の内容に応じて自動的に適切な分析方法を選択します。
日報の共有日報に入力された情報と分析結果は、経営者や管理者、関係部門や拠点に共有されます。共有方法は、ダッシュボードやレポート、アラートなどがあります。共有対象は、日報の内容に応じて自動的に適切な範囲を選択します。
日報のフィードバック日報に入力された情報と分析結果をもとに、経営者や管理者が正しい判断を早く行い、現場の担当者にフィードバックします。フィードバック方法は、コメントや指示、アドバイスなどがあります。フィードバック内容は、日報の内容に応じて自動的に適切なレベルを選択します。

 モニタリングシステムが機能することで、戦略や計画が現場まで徹底され、顧客ニーズに応えられるようになることをフィードバックループや成功事例で示します。

  • フィードバックループ:日報を活用したモニタリングシステムは、現場から上へ、上から現場へと情報が循環するフィードバックループを作ります。これにより、現場の活動が戦略や計画に沿って行われるかどうかを常に確認し、必要な修正や改善を行うことができます。また、現場から上がってくる情報をもとに戦略や計画も見直すことができます。
  • 成功事例:日報を活用したモニタリングシステムは、多くの成功事例を生み出しています。以下はその一例です。
    • ある飲食店チェーンでは、店舗スタッフが日報に売上や客数、メニュー別の売れ行き、顧客からの要望やクレームなどを記入しました。これらの情報は本部に送られ、分析ツールで集計や比較されました。本部はダッシュボードで各店舗の状況を把握し、売上目標や販促施策などのフィードバックを送りました。また、顧客からの要望やクレームは開発部門に共有され、新メニューやサービス改善の参考とされました。この仕組みにより、店舗スタッフは自分たちの業績や問題点を可視化し、改善意欲が高まりました。

副次的な結果=コンプライアンスの徹底効果

 日報をIT化して見える化経営を実践することで、経営者や管理者が正しい判断を早く行えるようになるだけでなく、副次的にコンプライアンスの徹底効果も得られます。具体的には、以下のようなメリットがあります。

  • 現場の活動がガラス張りになり、異常値や不正なアクションについてすぐに対処できるようになることを問題発生前後の比較や改善策で示す
    • 日報には、現場で起きた出来事や問題、顧客ニーズや競合動向などを記入します。これらの情報は、分析ツールで集計や分類、グラフ化や可視化されます。また、日報に入力された情報と分析結果は、経営者や管理者、関係部門や拠点に共有されます。
    • この仕組みにより、現場の活動がガラス張りになります。異常値や不正なアクションがあれば、すぐに検知し、原因究明や対策立案を行うことができます。例えば、ある会社では、日報から売上と実績の乖離が発覚し、架空取引が行われていたことが判明しました。その後、日報の内容を詳細に分析し、関係者を特定し、処分するとともに再発防止策を講じました。
  • 定量情報と定性情報を重ね合わせることで、架空取引や品質表示の改ざんなどの問題も防ぐことができることをデータ分析や事例で示す
    • 日報には、定量情報だけでなく定性情報も記入します。定量情報とは、売上や客数、メニュー別の売れ行きなどの数字です。定性情報とは、顧客から受けた要望やクレーム、自分の気づきや提案などの文章です。
    • この仕組みにより、定量情報と定性情報を重ね合わせることができます。定量情報だけでは見えない現場の実態や顧客の声を補完することができます。例えば、ある会社では、日報から品質表示の改ざんが発覚しました。その後、日報の内容を詳細に分析し、関係者を特定し、処分するとともに再発防止策を講じました。

まとめ:見える化経営に欠かせない日報のIT化

 今回は、日報のIT化で見える化経営にどのように貢献できるか?を説明しました。日報は現場の変化を日々吸い上げる神経網であり、4段階に成長させることができます。進化した日報を活用してモニタリングシステムを構築することで、戦略や計画が現場まで徹底され、顧客ニーズに応えられるようになります。また、副次的にコンプライアンスの徹底効果も得られる優れモノです。

 つまり日報のIT化は、見える化経営に欠かせない要素だということ。日報をIT化することで、情報のスピードや共有が向上し、コラボレーションや価値創造が促進されます。また一方で、日報を書くことは、自分の仕事を振り返り、改善することです。日報を読むことは、他の人の仕事を理解し、支援することにつながります。ようするに日報を活用することは、会社の経営を見える化し、改革することなのです。

 さていかがだったでしょうか?今回は日報はただの書類ではなく、会社を変えるポテンシャルを持っている、というお話でした。ぜひ、日報のIT化に取り組んでみてください。

 もし、確認したいことがあれば以下まで気軽にZOOMでの無料相談をお申込みいただければと思います
 滋賀県よろず支援拠点> https://www.shigaplaza.or.jp/yorozu/contact

※ 西本を指名すれば、全国どこからでも申込み可能です。

 それでは今日はここまでです。今後とも宜しくお付き合い下さい☆
 長文乱文を最後まで読んでくださりいつもありがとうございます♪
 すべては御社の発展のために、すべてはあなたの笑顔のために

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この記事を書いた人

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。10年間で600社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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