皆さんは「見える化」と「可視化」の違いについてご存じでしょうか?実は「見える化」と「可視化」の意味合いには大きな違いがあり、これを混同していると結構もったいない状況が生まれてしまいます。なぜなら、「見える化」と「可視化」とを組み合わせると大きな効力を生み出しはじめるからです。
そこで今回は、「見える化」とはなにで、「可視化」とはどんなことで、その違いや組み合わせでなにができるのか?実際の改善事例を交えながらお伝えしていくことにします。
ぜひ今回も読み終えるまでの時間、しばらくお付き合いくださいませ。
「見える化」と「可視化」の違いを理解する
製造業の世界では、情報がどのように表示されるかが、作業の効率や品質に直結します。ここで大切なのが、「見える化」と「可視化」です。これら二つの概念は表面上似ていますが、実は大きく意味合い違っています。それでは、それぞれがどういうものか、そしてどのように連携して働くのかを見ていきましょう。
「見える化」とは何か
「見える化」とは、文字通り、通常では見えにくい業務プロセスや作業工程などの問題点を、誰もが見えて、状況を理解できるように形にすることです。例えば、5S活動における整頓の一貫として工場の床にラインを引いて作業領域を明示するのも「見える化」です。これにより、安全性が高まり、作業効率も向上します。また、掲示板にスケジュールや目標を掲載するのも一種の「見える化」で、チーム全体の目標意識を高めたり、現状を正しく知らせたりする効果があります。
「可視化」とは何か
一方で「可視化」とは、主にデータや情報を目で見てわかりやすい形、たとえばグラフやチャート、図表にすることです。例えば、売上の推移をグラフで示すことで、どの期間にどの製品がよく売れたかが一目でわかります。また、機械の稼働状況をダッシュボードで表示することも「可視化」で、効率的な設備管理に役立ちます。
両者の違いと相互関係
「見える化」と「可視化」の主な違いは、対象とする情報の種類にあります。「見える化」は物理的な環境や業務プロセスに関連し、直感的に理解しやすいものを目指します。一方で「可視化」は、データや抽象的な情報を扱い、より分析的な理解を促進します。しかし、これらは相互に補完し合う関係にあります。たとえば、「見える化」によって明らかになった問題点を「可視化」することで、より深い分析や改善策の検討が可能になります。また、データを「可視化」することで、実際の作業現場での「見える化」の改善点が見えてきたりします。この2つの組み合わせは本当にパワフルなので、これを活用しない手はないですよね、笑。
中小製造業における「見える化」の具体例
では単体でも効果を生み出せる「見える化」ですが、いったいどのように実際の製造現場で実践され、成功につながっているのでしょうか?「可視化」との違いの理解を深めるためにも、いくつかの具体例を見ていきましょう。
見える化の成功事例
- 安全管理の強化
- ある中小製造企業では、工場内の安全性向上のために「見える化」を導入しました。床に色分けされた安全ラインを設け、危険エリアと安全エリアを明確にしました。これにより、作業者は安全に注意を払いながら作業を進めることができるようになり、事故につながるようなヒヤリハット案件が大幅に減少しました。
- 生産プロセスの透明化
- 別の企業では、生産ラインの各ステージを見える化しました。工程表を掲示し、各ステップの進捗をリアルタイムで表示することで、作業者は常に現在の状況を把握できるようになりました。これにより、作業の効率化だけでなく、問題が発生した際の迅速な対応が可能になりました。
「見える化」による問題の抽出
「見える化」は、単にプロセスを表示するだけでなく、潜在的な問題を明らかにするのにも役立ちます。例えば、製造ラインの遅延が頻発している場合、その原因を探るために「見える化」を活用します。工程の各段階での時間消費を可視化し、遅延の原因がどこにあるかを特定することができます。これにより、具体的な改善策を策定して進めれば、全体の生産効率を向上させることができます。
中小製造業における「可視化」の具体例
やはり製造現場ではデータを効果的に活用することが管理体制を進化させるのに不可欠です。「可視化」は、データを理解しやすい形に変換し、より適正な意思決定をサポートします。ここでは、「可視化」がどのように実践され、中小製造業の成功に貢献しているか、いくつかの事例を紹介していきます。
可視化の成功事例
- 在庫管理の最適化
- 一つの中小製造企業では、在庫データを「可視化」することで在庫管理を効率化しました。バーコードシステムとデータベースを連携させ、在庫レベルや製品の動きをリアルタイムで可視化。これにより、過剰在庫や不足を防ぎ、コスト削減とサプライチェーンの効率化を実現しました。
- 生産性の向上
- 別の企業では、生産ラインのデータを「可視化」して生産性を向上させました。機械の稼働データや生産数をリアルタイムで追跡し、可視化することで、生産プロセスのボトルネックを迅速に特定し、改善策を講じることができました。
「可視化」によるデータ活用の重要性
データの「可視化」は、製造現場が直面する問題に対して、具体的で実践的な状態を把握できるようになります。また、「可視化」されたデータは、従業員が共通の理解を持ちやすく、チーム全体の意思決定プロセスを支援します。
「見える化」と「可視化」の組み合わせの利点
「見える化」と「可視化」は、それぞれ単独で使用するよりも、組み合わせることでその真価を発揮できます。中小製造業において、これらを上手く組み合わせることは、効率化と品質向上への大きな機会を生み出します。それでは、どのような相乗効果が期待できるのでしょうか?
「見える化」と「可視化」の相乗効果
説明したとおり「見える化」と「可視化」は、一見似ているようで実際には異なるアプローチです。「見える化」は、業務プロセスや物理的な環境の改善を直感的に理解しやすくするのに対し、「可視化」はデータや情報を分析しやすい形に変換します。この二つを組み合わせることで、実際の作業現場の改善点を明らかにし、それをデータを中心とした正確に状況判断できる仕組みをつくれるようになります。例えば、作業効率の低下を「見える化」で特定し、その原因を「可視化」したデータで分析することで、より具体的かつ効果的な改善策を講じることが可能になります。
組み合わせによる効率化と品質向上の事例
- 生産プロセスの最適化
- ある中小製造企業では、「見える化」と「可視化」を組み合わせて生産プロセスを最適化しました。具体的には、工場の作業フローをモノと情報の流れ図を使って「見える化」して問題点を特定し、生産データを「可視化」してボトルネックの原因を分析。その結果、情報の伝達手順の改善と資材の流れを効率化することで、生産性を大幅に向上させることができました。
- 品質管理の強化
- 別の中小製造業者では、製品の品質管理プロセスを改善するためにこの組み合わせを採用しました。パレート図を使った「見える化」により製品の不良率の分布を視覚化し、そのデータを「可視化」して不良の原因を詳細に分析。これにより、特定の工程での品質向上策を実施し、全体の製品品質を向上させることができました。
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実践ガイド:中小製造業での「見える化」と「可視化」の組み合わせ方
中小製造業で「見える化」と「可視化」を組み合わせることは、非常に効果的ですが、どのように始め、適切に実施するかが重要です。ここでは、ステップバイステップのプロセスと実践における注意点を説明します。
ステップバイステップのプロセス
- 現状分析と目標の設定
- 最初のステップは、現在の業務プロセスやデータ管理システムを評価して、それを今回の取り組みでどこまで改善したいのか目標を設定します。例えば、生産効率の向上、品質管理の強化、コスト削減などが考えられ、それをどこまで改善することが理想なのか?を検討して設定します。
- 「見える化」の戦略策定
- 物理的な作業フローや安全性の向上など、直感的に理解しやすい問題点を「見える化」します。これには、作業場のレイアウト変更やプロセスの視覚的な表現が含まれます。
- 「可視化」のツール選定と導入
- データを分析しやすくするためのツールを選定し、導入します。これには、ダッシュボードやデータ分析ソフトウェアが含まれます。
- 組み合わせの実施と評価
- 「見える化」と「可視化」を組み合わせて実施し、その効果を定期的に評価します。改善の余地があれば、プロセスを調整します。
実践における注意点
これら「見える化」と「可視化」を組み合わせて改善進めるには、いくつか気を付けるべき注意点が存在します。その代表的な4つを説明しますのでぜひ参考にしてください。
- 従業員をしっかり巻き込むこと
- この改善を成功させるためには、従業員の理解と協力が必要です。彼らをこの改善を他人事だと認識しないようしっかり改善過程に巻き込み、どう捉えたか、新たなアイデアはないか、彼らから活動に対する評価を求めることが重要です。
- 細かく段階的な実施を心がけること
- 全てを一度に変更しようとすると混乱を招くことがあります。小さな変更から始め、徐々に範囲を広げていくことが効果的です。
- データの品質と整合性を確保すること
- 「可視化」においては、データの品質と整合性が非常に重要です。不正確または古いデータに基づいて決定を下すと、誤った方向に進む可能性があります。
- 継続的な改善を前提とすること
- 「見える化」と「可視化」は一度きりの活動ではなく、継続的なプロセスです。定期的なレビューと改善が必要です。
まとめ:「見える化」と「可視化」の長期的な価値
今回は、中小製造業における「見える化」と「可視化」の重要性と、それらを組み合わせることの利点をお伝えしました。これらの概念は単なるツールではなく、事業の成長と競争力を高めるための強力な戦略と成り得ます。しかし、一度にすべてを変えることは不可能ですよね。
だからこそ、自社の目指す姿はどんな会社で、その実現のためにどのような「見える化」を進め、「可視化」の仕組みを設置すればよいのか?まず、具体的なゴール設定がないとはじまりません。
損得勘定で手段を選択するのではなく、しっかり自社の「あるべき姿」を設定してはじめて、この「見える化」と「可視化」も自信を持って前に進めることができると思います。
ぜひこれを読んでいるあなたから、アクションを起こしてみてくださいませ。
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それでは今日はここまでです。今後とも宜しくお付き合い下さい☆
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