工程能力指数にはCpとCpkの
2種類が存在しています
しかしそれらの違いを説明できない
あるいは計算できない管理者が
最近は増えているとお聴きします
そこで今回は工程能力指数の
基礎知識について解説すると共に
Cpとはなにか?Cpkとはなにか?
それぞれの計算方法をお話しします
ぜひこれを読み進めることで
本質的な理解に結び付けて
いただければと思います
工程能力の計算に必要な統計知識
工程能力のCpやCpkを理解するには
最低限の統計知識が必要になります
でもここで知って欲しいのは2つ
「標準偏差:σ」と「正規分布」です
標準偏差:σとは
品質に関わる管理者であるなら
これは絶対に押させておくべき
最低限の統計知識のひとつが
「標準偏差:σ」です
標準偏差とはデータの
バラツキ具合を数値で表したもの
「σ」はシグマと呼ばれ
標準偏差を表す代名詞です
計算式は以下のとおり
標準偏差 = √ 分散
※ √ = ルート(平方根)
こういった数式って計算してみると
だいたいのニュアンスが分かります
たとえば製品5個の外径の測定値が
10、9、10、11、10
だったとします
このデータの平均値は10.0
この分散を計算してみましょう
① (測定値10-平均値10)2乗÷5=0
② (測定値 9-平均値10)2乗÷5=0.2
③ (測定値10-平均値10)2乗÷5=0
④ (測定値11-平均値10)2乗÷5=0.2
⑤ (測定値10-平均値10)2乗÷5=0
これらデータの総和=分散は0.4
標準偏差は分散のルート(平方根)
なので標準偏差は0.63
つまりこのデータのバラツキは
0.63という標準偏差で表される
というわけなんです
では同様に次の日の外径が
10、8、10、12、10
だったとします
先程の例と比べて2番目と4番目が
1つずつバラついているデータです
このデータの平均値も10.0
この分散を計算してみましょう
① (測定値10-平均値10)2乗÷5=0
② (測定値 8-平均値10)2乗÷5=0.8
③ (測定値10-平均値10)2乗÷5=0
④ (測定値12-平均値10)2乗÷5=0.8
⑤ (測定値10-平均値10)2乗÷5=0
これらデータの総和=分散は1.6
標準偏差は分散のルート(平方根)
なので標準偏差は1.26
つまりこのデータのバラツキは
標準偏差:1.26ということ
10、9、10、11、10の
バラツキは標準偏差=0.63
10、8、10、12、10の
バラツキは標準偏差=1.26
つまりちょうど2倍だということ
どうでしょうか?
標準偏差のニュアンスについて
少しご理解が進んだでしょうか?
さて、つぎは正規分布について
お話を進めてまいります
正規分布とは
QC7つ道具のヒストグラムでも
管理図でも活用されている
品質管理に必要な統計学の基礎
「正規分布」について説明します
正規分布とは
英語で Normal distribution
distribution : 分布
つまり『一般的な分布』であり
さまざまな社会現象や自然現象に
通常当てはまると言われる分布です
と言われてもピンときませんよね
ちょっと下の図を見て下さい
正規分布のグラフ
正規分布とは上図のように
平均を中心とした左右対称の
山型のグラフで表される分布のこと
自然の法則に従っていれば
ほぼこの分布になるということが
統計学上、証明されているわけです
つまりバラツキ具体をσとおいた時
±1σから外れる確率は31.7%以下
±2σから外れる確率は4.6%以下
±3σから外れる確率は0.3%以下
だと、統計学上分かっているのです
つまり正規分布の統計学的な事実
特にこの±3σの意味合いはよく
品質管理で活用されているので
ぜひ押さえておいてください
工程能力指数について
工程能力指数とは
ある一定の品質を確保できる
工程能力を表す指標として
一般的に広く使われています
例えば品質管理に長けた企業から
新たな引き合いが来た時には
必ずと言っていいほど
『御社の工程能力はいくら?』と
聴かれることになるでしょう
これに即座に答えられなかったり
『工程能力とは何ですか?』なんて
質問したりしたとすれば相手から
『ここは品質管理が弱い会社』だと
そう評価されることになります
逆に言えば
『〇〇あたりを前後してます』など
即答できたならば、ある程度の
品質管理能力を持った会社として
評価されるようになるので
これはぜひとも知っておいて
欲しいですね
工程能力:Cpの計算方法とその意味合い
工程能力:Cpは以下にて計算します
Cp : 工程能力指数
Su : 上限規格
Sl : 下限規格
σ : 標準偏差
この計算式の意味合いを理解するには
以下の表をちょっと見てください
この表を持つ意味合いについて
もう少し解説を加えていきます
工程能力:Cpの計算式の分母
工程能力:Cpの計算式の分母は
6σと表現されています
これってさきほどの正規分布
±3σ=99.7%を意味します
±3σとは+3σと-3σ、合わせて6σ
つまり1000個作って
不良が3個発生する分布幅
それが分母6σの意味です
工程能力:Cpの計算式の分子
製品には規格があると思います
その規格の上限を上限規格=Su
下限を下限規格=Slと置くと
( Su – Sl )は規格幅になりますね
それを前提に以下の表を見て下さい
工程能力:Cpの意味合い
整理すると工程能力:Cpの計算式は
分母が6σ=1000個作って
不良が3個発生する分布幅
分子が規格幅
つまり、分母と分子が同じ値なら
1となる意味合いになることから
1000個作って不良3個の能力を
どの程度満足させているか?を
表した指標であると言えます
おわかりになりますでしょうか?
ではさらに理解を深めるために
Cp値のケース別に見ていきましょう
工程能力:Cp値のケース別の意味合い
まずはこのCp値が
【ケース2】Cpが1.0以上だった場合
【ケース3】Cpが1.33以上だった場合
を比較して見ていくことにします
【ケース1】Cpが1.0以下だった場合
Cpが1より小さいということは
バラツキ幅(6σ)より規格幅の方が
狭いことを意味します
つまり1000個作って3個不良の
バラツキ幅よりも規格幅が狭い
ようするに3個以上の不良が出る
工程能力だということが分かります
6σは一般的な標準指標と言れるため
まずは1以上を目指して対策すべき
だということが言えます
どうでしょう?工程能力Cpについて
わかってきましたでしょうか?
それでは次のケースを確認します
【ケース2】Cpが1.0以上だった場合
Cpが1より大きいということは
バラツキ幅(6σ)より規格幅の方が
広いことを意味します
つまり1000個作って3個不良の
バラツキ幅よりも規格幅が広い
ようするに不良は3個以下となる
工程能力だということが分かります
これは標準指標よりも安心できる
工程能力を持っていると言えますね
では次はもっとPc値が大きい場合を
見ていきたいと思います
【ケース3】Cpが1.33以上だった場合
Cpが1.33より大きいということは
バラツキ幅(6σ)より規格幅の方が
広いことを意味するばかりか
両側にσづつの余裕が出来る状態
つまり6σどころか8σレベル
10万個作って7個の不良レベルです
このレベルになれば十分に
工程能力を持っていると言え
今ですと品質に厳しいと言われる
自動車メーカーに納められるほど
なので、一般的には
『目指せPc=1.33!』と
言われています
工程能力:Cpkの計算方法とその意味合い
さてこれまで工程能力:Cpについて
解説を進めてきましたがCpkとは
いったいどういった指標でしょうか
まずその計算式をみていきましょう
or
Cpk = ( 平均値 – Sl ) ÷ 3σ
Cpk : 上記のいずれか小さい方
Su : 上限規格
Sl : 下限規格
σ : 標準偏差
Cpkは、Cpでは判断できない
中心値の偏りを考慮した指数です
平均値の偏りを含めた工程を
評価する場合はCpkを用います
この計算式の意味合いを理解するため
以下の表を見てみてください
ケースA
ケースAの場合は平均値が
上限値と下限値の真ん中に位置し
収まりがよい状態となっています
この場合は工程能力としてCpで
十分こと足りるかと思いますが
問題は次のケースです
ケースB
ケースBの場合は計測値が偏って
上限値をはみ出しています
こういった場合はCpだけでは
工程能力を計測できないですよね
そのためこのCpkという
上限規格と平均値、あるいは
下限規格と平均値の片側幅を分子
3σを分母として評価するのが
Cpkという工程能力指数です
もうおわかりですよね
工程能力のCpとCpkの違いのまとめ
工程能力指数としては
まずCpにてバラツキ幅全体を
そしてCpkでバラツキの偏りを
評価する目的の違いがある
今回はそういったお話でした
まずはCpは1以上、1.33狙い
そしてCpkも1以上が望ましく
品質を重視するならこの指標は
しっかり即答できる管理体制を
ぜひつくっていってくださいませ
それでは今日はここまでです
今後とも宜しくお付き合い下さい☆
長文乱文を最後まで読んでくださり
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