品質管理システムとは?メリットとデメリットを理解して自社に合うツールを選ぼう

品質管理システムとは?メリットとデメリットを理解して自社に合うツールを選ぼう

 品質管理は製造業にとって非常に重要な課題です。製品の品質を維持・向上させることは、顧客満足度の向上や競争力の強化につながります。しかし、品質管理を効果的に行うためには、適切なシステムやツールを導入することはとても有効なのですが、導入している小規模工場はあまりお目にかかれないのが実態です。

 実は近年、品質管理システムは目覚ましい進化を遂げています。従来の統計解析ソフトに加え、クラウド型のデータ分析ツールなども登場し、選択肢が広がっています。皆さまはその事実を知らないので、なかなかツール導入には踏み切っていないのだとそう感じています。

 そこで今回は、中小製造業でよく使われている品質管理システムを3つのタイプに分類し、それぞれの特徴を詳しく解説します。また、イメージしやすいよう実際のソフトの概要も紹介したうえで、自社に最適なツールを選ぶためのポイントについても触れていきます。なので品質管理システムの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

 それでは今回も読み終えるまでのお時間、しばらくお付き合いくださいませ。

目次

よく使われている品質管理システムの3タイプ

 製造業でよく使われている品質管理システムは、以下の3つのタイプに分けられます。

スプレッドシートソフト

特徴詳細
代表的なソフトExcel、Google Sheets
機能基本的な統計分析、グラフ作成
メリット導入コストがかからない、多くの人が使い慣れている
デメリット高度な分析機能は限られる、データ量が多いと処理速度が遅くなる

 スプレッドシートソフトは、Excelなど多くの人が普段から使っているソフトで、導入コストがそんなにかからないのが大きなメリットです。ただし、高度な分析は苦手で、大量のデータを扱うと処理速度が落ちる点には注意が必要です。

 そしてこれらをうまく使うのは、品質管理全体について、多くの専門的な知識を備えている必要があります。何が大切で、何が大切でないのか、管理すべき情報はなにで、必要な情報はどれでどこにその記録があるのか。また多機能である膨大なそれぞれのソフトの使い方のマスターも必要でし、一定程度の統計知識ももっていなければならず、誰でも簡単にできることではないです。

品質管理専用の統計解析ソフト

特徴詳細
代表的なソフトMinitab、JMP、StatQuest
機能多変量解析、工程能力指数(Cp、Cpk)の算出、散布図やヒストグラムなどのグラフ作成、仮説検定など
メリット高度な分析機能、専門知識がなくてもある程度使えるものが多い
デメリット導入コストやランニングコストが高い、習得に時間がかかる

 品質管理専用の統計解析ソフトは、品質管理に特化した高度な統計的な分析機能を備えているのが強みです。専門的な知識がなくても使えるものが多いですが、導入やランニングのコストが高く、習得にも時間がかかるのが難点です。

クラウド型データ分析ツール

特徴詳細
代表的なツールQiita、Tableau、Looker
機能データ可視化、ダッシュボード作成、コラボレーション機能など
メリット導入コストやランニングコストが比較的安価、場所を選ばずに利用できる
デメリット高度な分析機能は限られる、セキュリティ面で不安がある場合がある

 クラウド型データ分析ツールは、インターネット経由で利用できるのが特徴で、どこからでもアクセスできる手軽さが魅力です。コストも比較的安価ですが、高度な分析機能は限られており、データをクラウド上に置くことへのセキュリティ面の不安が残ります。

 以上が、中小製造業でよく使われている3つのタイプの品質管理システムの概要です。それぞれに一長一短があるので、自社のニーズに合ったシステムを選ぶことが大切ですね。

中小製造業でよく使われている品質管理システム8選

 では、それぞれのツールについて具体的な概要を簡単に紹介していきましょう。

スプレッドシートソフト

 では次にもっとも利用されているスプレッドシートソフトです。

品質管理システム①:Excel(読み方:エクセル)

 Excelは、基本的な統計分析やグラフ作成機能を備えた、広く普及しているスプレッドシートソフトです。システムとはいいにくいかも知れませんが、現実的には間違いなくもっとも品質管理システムに使われているツールです。たとえば、抜き取り検査データの分析や不良品管理などに活用されています。多くの企業で導入済みのソフトウェアであるため、導入コストを抑えつつ、品質管理業務の効率化を図ることができるのが特徴です。

Google Sheets(読み方:グーグル・シート)

 Google Sheetsは、Excelと同様の機能を持つクラウド型のスプレッドシートソフトです。インターネット環境があれば、場所を問わずデータの共有や編集が可能であり、リアルタイムでのコラボレーションに適しています。製造現場での品質管理データの一元管理や、関係者間での情報共有に役立ちます。

品質管理の統計解析ソフト

まずは品質管理でよく使われる統計解析ができるシステムです。

Minitab(読み方:ミニタブ)

 Minitabは、多変量解析、工程能力指数(Cp、Cpk)の算出、散布図やヒストグラムなどのグラフ作成、仮説検定など、品質管理に必要な幅広い統計解析機能を備えたソフトウェアです。製造業において、製品の品質改善や不良品の原因分析、工程の最適化などに活用されています。直感的なインターフェースと豊富な分析ツールにより、品質管理担当者の効率的な問題解決をサポートします。

JMP(読み方:ジェイ・エム・ピー)

  JMPは、高度な統計分析や機械学習などの機能を持つ統計解析ソフトウェアです。製造業における品質管理では、工程能力分析や実験計画法などに活用されます。対話的なデータ可視化機能や、プログラミング知識不要の操作性が特徴で、品質管理担当者の効率的なデータ分析をサポートします。

Stata(読み方:ステータ)

 Stataは、製造業の品質管理に特化した統合型統計解析ソフトウェアです。工程能力指数の算出や管理図の作成、抜取検査の分析など、品質管理に必要な統計手法を備えています。GUIとCUIの両方に対応し、使いやすいインターフェースとグラフ作成機能を持ちます。半導体製造の歩留まり改善や自動車部品の不良率低減などの事例があり、品質管理だけでなく全要素生産性の計算やサプライチェーンの最適化にも活用されています。Stataは製造業の品質管理に適した、コストパフォーマンスに優れた統計ソフトと言えるでしょう。

クラウド型データ分析ツール

最後にまだまだご存じない方もいらっしゃるだろう、クラウド型データ分析ツールです。

Qlik(読み方:クリック)

 Qlikは、データの可視化やダッシュボード作成、コラボレーション機能などを備えたクラウド型データ分析ツールです。直感的な操作性と高速なデータ処理が特徴で、品質管理に関する様々なデータソースを統合し、リアルタイムに分析することができます。部門間や拠点間でのデータ共有や、品質管理の課題に対する迅速な意思決定に貢献します。

Tableau(読み方:タブロー)

  Tableauは、高度なデータ可視化機能やダッシュボード作成、分析ストーリーの作成などが可能なクラウド型データ分析ツールです。品質管理データを視覚的に表現し、傾向や異常値を見つけ出すことで、品質改善のための示唆を得ることができます。また、分析結果を関係者に分かりやすく伝えるためのレポート作成にも適しています。

Looker(読み方:ルッカー)

  Lookerは、クラウド型のビジネスインテリジェンス(BI)ツールで、データ分析やダッシュボード作成機能を提供しています。品質管理データをリアルタイムに分析し、品質の状況を可視化することで、早期の問題発見や予防措置に役立ちます。また、データ探索機能により、品質管理担当者が自由にデータを掘り下げ、新たな気づきを得ることができます。

品質管理システムを選択する時のポイント

 品質管理システムを選ぶ際には、自社のニーズや状況に合ったツールを選ぶことが重要です。以下の4つのポイントを考慮しながら、最適なシステムを選びましょう。

必要な分析機能

 品質管理における課題や目的に応じて、必要な分析機能を見極めることが大切です。単純な統計分析やグラフ作成のみで十分な場合もあれば、多変量解析や機械学習などの高度な分析が必要な場合もあります。自社の品質管理の現状と目指す方向性を踏まえて、必要な分析機能を備えたツールを選びましょう。

予算

 品質管理システムの導入には、初期費用と運用費用がかかります。自社の予算に合ったツールを選ぶことが重要です。クラウド型のツールは初期費用が抑えられる一方、長期的な運用コストを考慮する必要があります。また、ツールの導入に伴う教育費用や、カスタマイズに必要な費用なども含めて検討しましょう。

データ量

 取り扱うデータ量もツール選定の重要な要因です。大量のデータを処理する必要がある場合、パフォーマンスの高いツールが求められます。一方、データ量が少ない場合は、シンプルで使いやすいツールで十分な場合もあります。現在のデータ量と将来的な増加見込みを考慮して、適切なツールを選びましょう。

利用者のスキル

 品質管理システムを実際に使うのは現場の担当者です。利用者のITスキルや統計知識のレベルに合ったツールを選ぶことが大切です。高度な分析機能を備えたツールでも、使いこなせなければ意味がありません。利用者の習熟度に合わせて、分かりやすいインターフェースや充実したサポート体制を備えたツールを選ぶことをおすすめします。

中小製造業の場合、高度な分析機能が必要ない場合は、Excelやクラウド型データ分析ツールで十分なことが多いです。これらのツールは、導入コストが低く、多くの人が使い慣れているという利点があります。

しかし、より深い分析が必要な場合は、品質管理専用の統計解析ソフトを検討する必要があります。専門的な分析機能を備えたツールを使いこなすことで、品質管理の課題解決や改善に大きく貢献できるでしょう。

品質管理システムの選定は、自社の状況を見据えた長期的な視点が必要です。上記の4つのポイントを踏まえて、自社に最適なツールを選び、品質管理の効率化と高度化を図っていきましょう。

まとめ:品質管理システムとは?

 品質管理システムは、製品の品質を守り、お客様の信頼を獲得するための強力な武器です。統計解析ソフトやスプレッドシートソフト、クラウド型データ分析ツールなど、様々なタイプのシステムがあり、自社のニーズに合ったものを選ぶことが大切です。品質管理システムを導入することで、品質管理業務の効率化、データに基づく意思決定、品質問題の早期発見と迅速な対応、継続的な品質改善などのメリットが期待できます。

 製品の品質は、顧客満足度や企業の評判に直結する重要な要素です。品質管理システムを活用し、高品質な製品を安定的に提供することで、顧客からの信頼を獲得し、ビジネスの成長につなげることができます。今すぐ品質管理システムを導入し、データに基づく意思決定と継続的な改善で、高品質な製品を安定的に提供する体制を整えましょう。

 お客様に喜ばれる製品を届けることは、私たち製造業者の使命です。自社の品質管理を高いレベルに引き上げ、お客様の満足と信頼を獲得することができれば、我が社の工場の成長と発展が実現できます。品質管理システムは、その実現に欠かせない存在です。品質管理システムを活用して、その使命を全うするために、今すぐ行動を起こしましょう。

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 それでは今日はここまでです。今後とも宜しくお付き合い下さい☆
 長文乱文を最後まで読んでくださりいつもありがとうございます♪
 すべては御社の発展のために、すべてはあなたの笑顔のために

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この記事を書いた人

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。10年間で600社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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