2.日本的品質管理のいいところ(3)全社的品質管理(TQC)から総合的品質管理(TQM)へ
2.日本的品質管理のいいところ(3)全社的品質管理(TQC)から総合的品質管理(TQM)へ

前回は「日本的品質管理の考察」として、今の日本製造業が忘れかけている品質管理についてお伝えしてきました。

今回は、そんな日本的品質管理が教えてくれることを踏まえた進化の方向性について解説を加えてまいります。変化してきている今を感じ取っていただけるようお伝えします。今回もぜひご参考いただければ幸いです。

 

全社的品質管理(TQC)をもう一度考えてみる

戦後日本のものづくりの品質レベルは、決して高いものではありません。

日本製品は安かろう・悪かろうという粗悪品の代名詞であり、製品の品質向上が多くの企業にとって課題でした。そこで、品質管理に統計的手法などを活用するようになり、モノづくりを繰り返すことにおける狙いとそこからのズレ(出来栄え)の確認をするようになります。

また、出来あがってくる製品だけを見るのではなくて、製品を造るプロセス(製造工程)まで確認する範囲を拡げて製品の「狙いとズレ」を確認するようになります。そこにカイゼンという言葉が生まれてきました。

 

カイゼンは、日本語でも英語でも「カイゼン」ですが、日本製品の品質を格段に向上させました。これは、今でも継続されていることでもあります。時代とともに、生産量が増えてくると品質の考え方も拡がりを見せます。ユーザーの顧客要求に応えるために上流工程の企画や設計、ユーザーに近いところでの販売・サービスなどにも幅を拡げた管理を行うようになりました。

このころから品質を会社全体で総合的にとらえ、組織全体でこれを良くする活動が始まります。これが、TQC(Total Quality Control:全社的品質管理)です。全員参加の活動のため、小集団活動の提唱を進めながら、品質を確保するための手段としてのQC7つ道具の準備や事実に基づくPDCA活動などが進められてきました。

 

全社的品質管理(TQC)の考え方を発展させた総合的品質管理(TQM)

時代の進展により、人々や企業が豊かになってくると、マーケットにも製品があふれてきます。市場が成熟してくると今までのやり方ではなかなか製品が売れなくなってくるので、会社としてもっとユーザーの声を商品に反映させようとなります。

顧客の欲しいものを聞いて商品を作ること(プロダクトアウトからマーケットインへ)の考え方へと変わってきます。つまり、製品が売れる時代から売れない時代への転換だと考えられます。

このような時代の変化で多様化する顧客要求に対してより柔軟に対応するために、品質の範囲拡大やレベル向上を進めていかなければなりません。そのため、今までの管理といった意味合いの強いControlという言葉を、より顧客要求に対応する意味も含めたManagementという「計画・統制」という言葉に置き換わってきました。

TQC(Total Quality Control)からTQM(Total Quality Management)へ呼び方も変わってきました。

 

いまでは、グローバル化も進み世界と競争する時代となりました。製品の品質がいいとか、価格が安いというだけでは競争には勝っていけません。いかにして顧客が求める品質や顧客価値を生み出していくかが変化の激しい市場においては重要な点です。

顧客要求に応じて、企業ミッションと段階的に進めるステップを定め、実行に移した後の変化に柔軟に対応することが求められます。つまり、戦略・企画・設計・技術・製造・販売・サービスのすべての部門が会社全体で品質や顧客価値を理解したうえで取り組む活動です。

TQMは、時代の変化に伴って出てきた考え方で、品質や顧客価値を追求するために全社で計画し柔軟に対応していくこと(統制)なのです。

 

総合的品質管理(TQM)と国際標準化機構(ISO)

標準化規格は、「規格通りに従えばいい製品ができる」ということが前提の考え方として思っている方が多いと思います。

規格ですから、適用範囲や基準(要求事項)が明確になっており、第三者機関が認証するしくみになっています。もちろん、企業によっては自社の規格に適合する努力をするところもありますし、取得せずに独自の考え方で進める企業もあります。また、取得したけれど継続を断念したところも最近は増えてきています。2000年以降企業はこぞって品質マネジメントシステムとしてISO9001に向いて進んできました。

 

一方、TQM(Total Quality Management:総合的品質管理)は、もともとはQC(Quality Control:品質管理)から時代の流れによって変遷し発展してきたものです。「組織運営を実現する」や「経営全体での活動」というように経営陣がトップダウンの形で品質管理を行うようなものです。つまりTQCの考え方を経営陣の業務にまで拡大したものが「TQM」ということも言えそうです。

このような経営陣を含めた考え方は、ISO9001_2015年度版でも取り上げられています。しかし、TQMには「この基準を満たせばいい」という考え方はありません。そのため、決められたしくみなどはないため組織に根付かせるには手探り状態にもなり時間を要することになります。

 

このように、ISOとTQMは、成り立ちやアプローチの違いから、似ている部分とそれぞれの特徴が出た部分があります。
ISOは、しくみがあるため導入は容易で企業に根付かせ易いがルールに従って考えることをしなければ使いこなすこと本質には届きません。また、TQMは導入するには時間を要しますが、常に考え続けることの必要性を提供してくれています。

 

総合的品質管理(TQM)を有効に生かすには

以前、勉強会でこのようなことを伺いました。

ISO9000は、英軍の軍規がベースになっていると聞きました。植民地政策をとっていた英国軍は、中近東やアフリカで戦うことが多くありました。そこで第一線で戦う兵士達が臨機応変な対応を取るための指針を与えているのが、軍規の目的です。つまり、ISO9000が効果的なものになっているかは、第一線の人が適切な対応を取れているか、そのレベルが向上しているかで判断すべきものなのです。

標準が少なすぎても指針となるものがなく、適切な判断ができないと思いますが、細かく決めすぎた標準は、適切な判断よりもマニュアルに従っているかの議論に終始させられて、適切な対応検討を放棄させてしまいます。

 

多くの日本人のISO9000解釈はマクドナルドのマニュアル化に近いものになってしまったのではないかと危惧してしまいます。

品質管理ではプロセス管理はとても大切です。結果でプロセスを管理しますが、これが品質管理の基本になります。ただ結果だけで判断するのは状況を見誤ることになります。結果とプロセスを見てプロセスをみることになりますが、結果をみずにプロセスだけをみてしまいますとごまかされることもあります。ISO9000は、この事態に陥っていないか、大いに反省のあるところだと思います。これが、「品質問題の原因」につながっているのかもしれません。

このように結果でプロセスを管理する品質管理の基本的考え方を経営陣の業務にまで拡大して進めていくことが有効なことです。

 

最近の話ではありますが、私の勤めていた会社から品質保証部門が消えてしまいました。もともとグループ制を敷くフラットな組織体制でその横くしを刺すためのグループとして品質の組織がありました。その組織がグループ制のなかのグループに吸収されたのです。そのため、横くしを刺す組織もなくなり、その機能はグループの中に消えて行ってしまったのです。

このような組織体制で果たして結果でプロセスを管理する品質管理の基本的考え方を経営陣の業務にまで拡大することができるのか、身近なことではありますが、いささか疑問に思えます。

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