不良ゼロへの道:最適な品質管理を実現する8ステップについて

不良ゼロへの道:最適な品質管理を実現する8ステップについて

 多くの企業が「品質第一」という理念を掲げ、品質向上に取り組んでいるにもかかわらず、なかなか成果が出せていない状況があります。その原因が何かを的中させることは容易ではありませんが、多くの中小製造業が実践している品質向上の取り組みは形骸化してしまい、なんだかやってる感だけ出せてればよい空気さえ感じるところも。。。そこで今回は不良ゼロを達成するために具体的に多くの工場の取り組みを8ステップとして紹介することで、品質管理における目標設定と見える化の重要性について一緒に考えてみたいと思います。

今回も読み終えるまでのお時間、しばらくお付き合いくださいませ。

目次

不良ゼロとは何か

 不良ゼロとは、製品やサービスの欠陥、クレーム、事故などの不良をゼロにすることを目指す取り組みです。不良ゼロを実現するためには、製品やサービスの品質管理を徹底し、問題が発生した場合は、原因を追及して改善策を講じることが必要です。また、作業者に対しては、品質管理の意識を高めるための教育や研修を行い、品質管理に対する取り組みを促すことが重要です。

 「不良ゼロ」というフレーズは、製造業界でよく使われます。これは、製造された全ての製品が一定の品質基準を満たす、つまり不良品が一つもない状態を指します。この目標は、製品の品質を向上させ、顧客満足度を高めるために重要です。

不良ゼロの概念

 不良ゼロを達成することは、企業にとって多くの利点をもたらします。製品の品質が向上することで、顧客の信頼と満足度が高まります。これは、長期的な顧客関係の構築とブランドの信頼性向上につながります。また、不良品の再製造や廃棄によるコストを削減できるため、企業の利益率を向上させることが可能です。

【不良ゼロの3つの利点】

利点説明
顧客満足度の向上品質の高い製品を提供することで顧客の信頼と満足度が高まる
コスト削減不良品の再製造や廃棄によるコストを削減できる
ブランドの信頼性向上高品質な製品を継続的に提供することでブランドの信頼性が向上する

 しかし、不良ゼロを達成するためには、企業全体での取り組みが必要です。製造プロセスの各段階で品質管理を徹底し、問題が発生した場合はその原因を追求し、再発防止策を講じることが求められます。これには、全社員の品質に対する意識の向上と、品質管理システムの導入や改善が必要となります。

不良ゼロの目指すべき3つの理由

 不良ゼロを目指す理由は、以下の3つが代表的です。

1. コスト削減

 不良品の発生は、企業にとって大きなコストを引き起こします。再製造や廃棄、顧客への返品処理など、これらの余分なコストは企業の利益を圧迫します。しかし、不良ゼロを目指すことで、これらのコストを削減し、企業の利益を最大化することが可能となります。具体的には、不良品によるコストは製品の原価を上昇させ、その結果として製品価格の競争力を損なう可能性があります。また、不良品の再製造や廃棄には時間もかかり、その間に新たな製品の製造や開発が遅れるという機会コストも発生します。

2. 顧客満足度の向上

 不良品が顧客に届くと、その顧客の信頼を損なう可能性があります。一方、品質の高い製品を一貫して提供することで、顧客満足度を向上させ、長期的な顧客ロイヤルティを確保することができます。これは、企業の持続的な成長と競争力の維持に直結します。顧客満足度が高まると、リピート購入や口コミによる新規顧客の獲得が期待でき、企業の売上や利益に対して大きな影響を与えます。

3. ブランドイメージの強化

 不良ゼロを目指すことは、企業が品質に対する強いコミットメントを持っていることを示す強力なメッセージです。これは、ブランドの評価を高め、新たな顧客を引き付ける力となります。また、社内においても、品質への取り組みは従業員のモチベーションを高め、組織の一体感を醸成します。ブランドイメージの強化は、企業の競争力を高め、市場での立ち位置を強化します。特に、品質が重視される製造業においては、ブランドイメージの強化は企業の存続に直結する重要な要素となります。

 以上のように、不良ゼロは企業が追求すべき目標であり、その達成は企業の成功に直結する重要な要素と言えるでしょう。

不良ゼロを達成するための8つのステップ

 不良ゼロを実現するためには、以下の8つのステップが重要となります。自職場と比較して、できているかどうか評価して、ぜひ万全な体制づくりのヒントにしてください。

ステップ1:不良発生時に即時かけつける

 チームリーダーは不良発生の連絡を受けたら、直ちに品質保証部、あるいは発生現場に行って、現品または写真で不良状態を自分の目で確認する体制をつくります。

[留意点]
・不良を現物で確認
・できなければ、写真で不良状態を確認

ステップ2:現在の仕掛品の点検・確認

 ほかに同じ不良がないか、全在庫を確認し、不良の先頭と末尾を確実に押さえることができるようルールを設定します。

[留意点]
・”不良選別基準”を会社として標準化。  
・品質保証部は、チームリーダーが正しくやったかどうかを確認。

ステップ3:その日のうちに要因追及

(1)初回不良の場合 ・作業者の話を聴いて、思い当たることがないか確認する。

・作業をやらせて問題を見つける。
・設備、治具、ツールをチェックして、異常がないか確認する。
・品質チェックでなぜ発見できなかったのかを考える。
 →チェック項目漏れか、判定ミスか、手抜きか?
・当日の変化点がなかったか確認する。
わかったことを問題と対策用紙に書き出す。

(2)再発不良の場合

 過去の対策がなぜ効かなかったのかを検討し、真の原因をつかむ
  たとえば。。。

[人が手抜きした場合]
・再教育
・再訓練
・守るべきことの再確認
・教育履歴の見える化

[標準手順どおり作業していた場合]
・発生要因を再度洗い出し
・流出要因を再度洗い出し し
・わかったことを書き出す

[留意点]
・作業者を含めて要因を洗い出し。  
・隠さないことの徹底(隠しても、要因が残ったままなのですぐに再発する)。  
・人、もの、設備、方法の4Mで洗い出す。  
・対策の履歴を見える化し、残された問題は何かを全員で考える。
  →必要に応じ現地現物確認を朝市後に全員で実施することも非常に有効。

ステップ4:主要因に対する即時対策

  • わかった問題を、その日の内に対策 本対策に時間がかかるものは必ず暫定対策を行い、再発を防止。
  • フォローアップ項目を明確にして実施 誰が何時までに何をやるかを問題と対策用紙に書いて、すべて完了するまでフォローアップ。
  • 進捗状況は全員で共有 全社に報告する自部署で解決できない問題は、翌朝の朝市で議論し、チームで問題解決。
  • 実施結果をまとめる 結果を”不良の原因と対策”シートに記入。

[留意点]
・対策は、発生源だけでなく流出源についても実施。  
・要因が残っているかぎり、不良は再発する。
  隠さずにすべてをさらけ出して対策を実行。  
・チームリーダーに対策時間を与えること。

ステップ5:翌日に全従業員へ発生・対策情報を共有

  • 毎朝、時間を決めて、○分以内で実施、などルールを決める。 不良が多い場合は重要度の高いものから実施し、残ったものは品質保証部でフォローアップ 場所:品質マネージメントボード前 司会:品質保証部
  • チームリーダーは前に立って、前日不良の原因と対策を説明。
  • 必要に応じ、工程へ行って現地現物確認。
  • フォローアップ項目は、期限が来たら必ず結果を確認。司会者は、前日に責任者に連絡し、きちんと説明できるよう準備させること。

[留意点]
・トップの参加で士気が高まる
  決断決定も早く、対策内容がレベルアップする。【重要】 
・”隠さない”の徹底
  その場を言い逃れても、要因が残っている限り再発する。
  すべてをさらけ出して議論、対策することが大切。

ステップ6:標準化と横展開の徹底

不良が教えてくれる、”現存する問題”を発生工程だけでなく、類似工程や類似のものすべてに横展開して再発を防止する。

  • 標準作業手順書 学んだキーポイントを手順書に記述。図面を見てものをつくる場合は、事前に図面をつくりこんで作業指示書とする。
  • 基本ルール ”やってはいけないこと””やらなければならないこと”を項目ごとに標準化。 例:作業中断ルール。
  • 治具、型、工具など 再発防止に効果のあるものはすべて横展開する。日程表をつくり、すべてが完了するまでフォローアップ。

[留意点]
・”標準のないところに改善なし”
  徹底的に標準化する。
・手順の標準化はチームリーダーの大事な仕事。
・基本ルールは会社として標準化し全員が守って働く。

ステップ7:教育・訓練項目の再点検・実行

教育とは、標準化されたことを人に教えること 訓練とは教えたことを実作業で正しくできるようにすること
 →教えたことを正しくやることを約束させる

教育=標準化されたことを人に教える
 手順、ルールを守って仕事をすることがなぜ大事か、守らないとどうなるかを-人ひとりに正しく教える。

訓練=教えたことを正しくできるようにする
 教えたことを、実作業で正しくタクトタイム内でやれるようになるまで訓練する。

再教育・再訓練=標準内容の徹底を目指す。
 口では”手順、ルールを守ります”と言いながら、手抜き、違反を繰り返す作業者には、個別の教育訓練履歴表を作成し、再教育・再訓練練の都度、本人の約束を記録。直るまで続ける。

[留意点]
・教育・訓練の仕組みを標準化。
  誰が、いつ、どのように教育・訓練するか。  
・教育・訓練者の育成。
  良い先生づくりを会社として考える。  
・技能マップの作成。
  ”誰がどの工程をやれるか”を見える化

ステップ8:日常管理の徹底

 決めたことを決めたとおりにやっているか実作業を見る。不具合があれば直ちに是正する。きちんとやっていれば評価する。

  • “問題と対策”用紙を現場に用意し問題に気づいた人が即座に記入する。夕市ミーティングを行い、誰がいつまでに対策するかを決めて実行し、不良・不具合を未然に防止する。

[留意点]
・評価することが大事!
  人をやる気にさせるにはちゃんと評価することが一番
・問題を放置しない。
  すぐ対処してくれることがわかれば、従業員はどんどん伝えてくれます。

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不良ゼロを維持するための継続的な努力

もちろん不良ゼロを達成することは一つの大きな目標ですが、それを維持し続けることはさらに大きな挑戦となります。不良ゼロの状態を維持するためには、組織全体での継続的な努力が必要となります。以下に、そのための主要な取り組みを5つ紹介しましょう。

努力1: 品質管理体制の強化

不良ゼロを維持するためには、品質管理体制の強化が不可欠です。これには、品質管理部門の役割を強化するだけでなく、全従業員が品質に対する意識を高め、日々の業務における品質管理を徹底することが求められます。品質管理のスキルや知識を全従業員に向けて教育することも重要な取り組みとなります。

努力2: 不良情報の共有とフィードバック

不良が発生した場合、その情報を迅速に共有し、原因を追求することが重要です。また、その結果をもとに改善策を立案し、それを実行することで再発防止につなげます。このプロセスは、不良ゼロを維持するための継続的な取り組みとなります。

努力3: 品質改善の取り組み

品質改善は、不良ゼロを維持するための重要な取り組みです。これには、製品の設計や製造プロセスの改善、作業員のスキルアップ、設備の更新や保守などが含まれます。これらの取り組みは、不良の発生を未然に防ぎ、品質を一層向上させることにつながります。

努力4: 顧客のフィードバックの活用

顧客からのフィードバックは、製品の品質を維持・向上させるための貴重な情報源です。顧客の声を積極的に取り入れ、それを製品改善に活かすことで、不良ゼロの維持に寄与します。

努力5: 継続的な監視と評価

品質を維持するためには、製品やプロセスの品質を継続的に監視し、評価することが必要です。これにより、問題が発生した場合に迅速に対応し、品質の低下を防ぐことができます。

これらの取り組みは、不良ゼロを維持するための継続的な努力を示しています。一度不良ゼロを達成したからといって油断せず、日々の業務における品質管理を徹底し、顧客満足度の向上を目指すことが重要なのは、これを最後まで読んでいる方ならご存じですよね。

まとめ:不良ゼロへの道のり

不良ゼロという目標は、製造業における最高の品質管理の象徴とも言えます。しかし、この目標を達成するためには、組織全体での取り組みと継続的な努力が必要となります。

まず、不良ゼロを達成するための8つのステップを再確認しましょう。次に、不良ゼロを維持するための継続的な取り組みを参考に考えてみましょう。

これらのステップを通じて、不良ゼロという目標は達成可能であり、そして維持可能です。しかし、品質管理は一度達成したら終わりではなく、絶えず改善し続けるプロセスであることを忘れてはなりません。それにはやはりあなた1人ではなく、組織全体として取り組む意思決定が不可欠ですよね。

不良ゼロへの道のりは決して容易ではありませんが、その達成は組織の品質管理能力を証明し、顧客満足度を高め、組織の信頼性を向上させることにつながります。そのため、不良ゼロへの道のりは、組織全体が一丸となって取り組む価値のある目標であると言えるでしょう。

それでは今日はここまでです。今後とも宜しくお付き合い下さい☆
長文乱文を最後まで読んでくださりいつもありがとうございます♪

すべては御社の発展のために、すべてはあなたの笑顔のために

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この記事を書いた人

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。10年間で600社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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