エフ付けの定義~あなたも知らない製造現場の落とし穴~

エフ付けの定義~あなたも知らない製造現場の落とし穴~

先日のエフ付け・エフ取りの記事が
参考になるとの声を頂きました

エフ付け・エフ取りは清掃活動に
点検という機能を付加するツール

新たな視点とも言えますよね

 
一方でこれを継続するためには
気を付けるべき点があるんです

そのエフ付けをする定義とは?
またどういった落とし穴があるのか?
そしてどう継続させていくべきか?

今回はそんなエフ付け・エフ取りを
有効に機能させるための留意点を
お伝えさせていただければ幸いです

今回も読み終えるまでの時間
しばらくお付き合いくださいませ

 

目次

エフ付けの定義について

ものづくりは数ある工程が繋がり
はじめて製品を完成させることが
できるようになっていると思います

その一つの機能が失われたとしたら
その被害は甚大になってしまいます

『大きなロスを生み出す設備故障』

これを避けるために必要なことは
小さな予兆を見逃さないことです

 
見つけた小さな予兆をしっかり記録
そしてリスト化して管理していく

そのためのツールが『エフ』です

この『エフ』というツールを使って
予兆=潜在的な欠陥を見つけ出して
管理するのがエフ付け・エフ取りです

但しこれをしっかり機能させるには
一定の工夫が必要になってきます

それっていったいどういうことか?

 

エフ付け・エフ取りの問題点~製造現場の落とし穴~

これにはエフ付けだけに限らない
製造現場の落とし穴=問題点を
理解しておかなければなりません

それは多くの職場で見られる
以下の2つの問題点です

不具合を生み出す2つの問題点
問題点1:作業者の問題意識の欠如
問題点2:作業者の現場知識の不足

どういうことか?
もう少し解説を加えます

 

問題点1:作業者の問題意識の欠如

一部の作業者の意識は高いんです
でもその多くは気にもしていません

その理由をお聴きしてみると
『忙しい』『他にも仕事がある』
『自分の仕事じゃない』
など
職場を良くすることがあたかも
誰か違う世界のヒトの仕事だと
逃げている実情が見えてきますよね

その結果以下の判断をうながします

・欠陥だけど今は問題になってない
・小さな異常は対処するほどでもない
・正常のイメージがなく判断できない

つまり最終的に故障に繋がる予兆が
対処されないまま知らない合い間に
どんどん増えていく職場になります

 
ところが
みんなで気づく訓練を行う職場は
どんどん改善されて設備故障などは
最小限の発生に押さえられるんです

どちらが強い職場で、どちらが
お客さまの信頼に応えられるかは
だれが考えてみても明らかですよね

これに気が付いていないことが
1つ目の大きな問題点です

 

問題点2:作業者の現場知識の不足

不具合や欠陥・異常が見逃されるのは
もうひとつの重要な問題点があります

それは設備の構造や仕組みといった
設備装置の構造や加工についての
知識が不足しているという問題です

まず自分たちの設備や装置
あるいは作業や業務について
しっかり学習することも最低限必要

なぜなら不具合とは
『正常な状態から外れているもの』
ですから
『正常な状態とはどんな状態か?』
これを認識しておかなければ
不具合を見つけることができません

 

エフ付けの定義=判断基準について

これら2つの問題点の前者は
職場の方針や学習会、企業研修等で
カバーすることが可能です

また後者の知識不足については
エフ付けの定義=判断基準を作って
運用していくことでカバー可能です

そのため今回はある職場で活用中の
判断基準の実例を紹介しましょう

 

項目 不具合 不具合の内容
微欠陥 汚れ ほこり、ごみ、粉、油、錆、塗料
キズ 亀裂、つぶれ、変形、欠け、曲がり
ガタ 揺れ、抜け、傾き、偏心、摩耗、ひずみ、腐食
ゆるみ ボルト・ナット、ゲージ、カバー、ベルト、チェーン
異常 異音、発熱、振動、異臭、変色、圧力、電流
異常 詰まり、固着、堆積、はがれ、動作不良
基本条件の不備 潤滑 油切れ、油汚れ、油種不明、油種不適切、漏れ
給油 給油口汚れ、詰まり、破損、変形、管潰れ、保管、機器不良
油面計 汚れ、破損、漏れ、レベル表示不良
増締め ボルト・ナット、ゆるみ、脱落、かかり不良、長すぎ、つぶれ、腐食、ワッシャー不適、ボルト向き、Wナット逆
困難箇所 清掃 機器構造、カバー、配置、足場、スペース
点検 カバー、構造、配置、計器位置、方向、適正表示
給油 給油口位置、構造、高さ、足場、廃油口、スペース
増締め カバー、構造、配置、サイズ、足場、スペース
操作 機器配置、弁類、スイッチ、ハンドル位置、足場
調整 圧力計、温度計、流量計、水分計などの位置不良
汚れの発生源 製品 漏れ、こぼれ、吹き出し、飛散、あふれ
原料 漏れ、こぼれ、吹き出し、飛散、あふれ
潤滑油・作動油・加工油・燃料油の漏れ、こぼれ、にじみ
気体 空気・ガス・蒸気・ペーパー・排気の漏れ、飛散
液体 水・半製品・冷却水・排水・循環液体の漏れ、こぼれ、にじみ
加工 バリ、切断層、包装材、スパッター、火花、煙、端材、接着剤、塗料、油光、研磨粉、不良品など
その他 バリ、切断層、包装材、スパッター、火花、煙、端材、接着剤、塗料、油光、研磨粉、不良品など
品質不良 異物 錆、切粉、塗料、昆虫、原料などの混入、進入、巻込み
衝撃 落下、落差、衝突、振動
水分 過小、過多、侵入、除去不良
粒径 スクリーン、遠心分級、エア分級装置などの異常
濃度 加温、加湿、調剤、混錬、蒸発、撹拌などの不良
粘度 加温、加湿、調剤、混錬、蒸発、撹拌などの不良
不要・不用品 機器類 ポンプ、ファン、コンプレッサー、交換部品、修理部品ほか
管類 配管、ホース、ダクト、弁類、ダンパーほか
計器類 温度計、圧力計、新休憩、電流計ほか
電装額 配線、配管、コード、スイッチ、コンセント、配電盤ほか
治工具 工具、刃具、治具、模型、金型、枠、カバーほか
予備品 設備予備品、保留品、長期在庫、補助材料、補用品ほか
仮処置 テープ、ひも、針金、ガムテープ、段ボール、板切れほか
掲示物 ポスター、看板、銘板、名前、方針、標語ほか
不安全箇所 凹凸、段差、突起物、割れ、はがれ、摩耗(しま鋼板)
階段 急勾配、段違い、滑り止め剥離、腐食、手すり
照明 照度不足、位置不良、球汚れ、カバー汚れ、破損、防爆不適
回転物 カバー外れ、脱落、壊れ、安全装置、緊急停止装置
揚重機 クレーン、ホイスト類のワイヤー、フック、ブレーキほか
その他 特化物、溶剤、有毒ガス、断熱材、危機表示、保護具ほか

これを参考にしながら職場に合わせて
まずはつくり直すことによって
判断基準としていくわけです

ぜひ自職場の判断基準を作成して
エフ付けレベルの向上に挑戦ください

 

エフ付け対象の定義まとめ

オススメの進め方としてはこれを
誰か1人が作成するのではなく
全従業員であーだ、こーだと考えて
作成してみることです

そのことによって意識の高いヒトの
異常発見のために感覚を知識を
低いヒトと共有できるとともに
正常とはどうあるべきか?について
個人認識のアップデートが狙えます

 

もし全員が集まって改善の話合いが
進められない職場だったとするなら
それは将来がない職場と断言しても
いいと個人的には思うほど重要です

あなたの意見はいかがですか?

 

 

それでは今日はここまでです

今後とも宜しくお付き合い下さい☆

長文乱文を最後まで読んでくださり

いつもありがとうございます♪

すべては御社の発展のために
すべてはあなたの笑顔のために

 

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この記事を書いた人

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。10年間で600社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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