『整理』『整頓』『清掃』=3s活動は職場には必ず必要だと言われています。
ではいったなぜ、理想的な職場にそれが必要とされるのか?
『自分は掃除するために職場に来ているのではない』
『そんな時間があるなら、もっとやるべきことがあるはず』
『清掃の担当者を雇えば職場はキレイになるじゃないか』
確かにそのとおりなんです。
職場をキレイにすることだけが目的ならば、プロの掃除屋さんを雇えばいいんです。
そうすれば餅は餅屋でそれぞれは自分の仕事に専念できて効率もよいでしょう。
最近では職場清掃専門を売りにしている企業もあります。
プロが取り組めば、そりゃキレイになります。
確かにお金をかければ維持もできます。
しかしそれには、そのためには。。。その人数分の人件費を生み出す程度の『稼ぐチカラ』を強める必要がありますよね。
その『稼ぐチカラ』を向上させるのに、この整理・整頓・清掃への活動が有効に働くということ。
今回はそんなお話しです。
仕事の本質とは?
一部の小学校に、だいたい定番の方の銅像が立っているのは皆さまご存じでしょうか?
そうです、あの有名な二宮金次郎さんです!
彼は貧乏で、学校へ行く余裕もないのに働きながら独学で学習して偉くなった。。。つまり勤勉の象徴として飾られている理解で良いと思います。
しかしその金次郎さんって。。。二宮尊徳(にのみやそんとく)さんと呼ばれ、本当にとっても偉い方だったんです。
現在の神奈川県の小田原市に生まれ、この地域の活性化に大きく貢献をした方です。
その考え方は『報徳思想(ほうとくしそう)』と呼ばれ以下のようなものでした。
報徳の教えとは、二宮尊徳が独学で学んだ神道・仏教・儒教などと、農業の実践から編み出した、豊かに生きるための知恵である。神仏儒を究極的には一つにいたる異なる道に過ぎないと位置づけ、神仏儒それぞれの概念を自由に組み合わせて説かれている。
引用元: 報徳思想 By Wikipedia
その中で彼はこう言ったそうです。
道徳なき経済は犯罪であり、
経済なき道徳は寝言である |
そうなんです。
『道徳のない経済は犯罪だ!』とまで言い切り
『経済のない道徳は寝言だ!』とまで言い切っているんです。
結構どキツイ表現です。
でも言いたいことは分からないでもありませんよね。
つまり、しっかり世の中から必要とされる事業を行うには、『精神面と経済面』どちらも必要だという主張。
これは正解だと思います。
この2つを少し考えてみましょう。
経済面と精神面が支える事業の成り立ち
最初、経営者はほぼひとりで事業を始めたはずです。
ひとりのときは自分の判断だけなので、それぞれの想いに合わせて自由に対応ができたと思います。
自分と相性の良いお客さまだけの幸せを追求し、ある程度目の届く範囲での商い。
思い起こせば、最も気楽で、大きく手応えの感じる段階なのかもしれません。
しかしお客さまに認められ始めると、ひとりでは賄いきれなくなります。
そうすると一人、二人と増えていき、事業集団化していきます。
集団化すると、当然全員の生活を支えるだけの売上と利益が必要となっていきます。
もちろん、10人になれば一人のときの10倍、20人になれば20倍です。
それを確保するための仕組み化が必要となります。
これが経済面。
また集団とは言っても、ヒトはそれぞれ違った価値観を持っています。
なのでそれぞれの価値観に任せた判断のままでは、優先順位がバラバラで複雑化し、組織上も会社のイメージもブレていきます。
結果、誰のために商いをやっているのかお客さまが見えなくなってしまい、分かりにくい企業となってしまいます。
そこで、この集団のアイデンティティ、つまり大切にすべき想いや信念をしっかり提示し、それに沿って事業活動を行う精神面の仕組み化が必要となります。
しかしこの経済面と精神面は自然に任せれば二律相反に捉えられかねない微妙な位置づけ。
そのため、経済面、精神面の2つの柱がその事業集団を支え、不安定な2つの柱のバランスを取っていく仕組みづくりが必要になってくるのです。
経済面とは?
売上高と利益というのは事業活動には必須の項目です。
その売上高とはいったい、どのようなものなのでしょうか?
事業に関わる人間ならば、売上高を向上させることがいいことであることはもちろんよくご存じです。
しかしこの売上高は単なるお金儲けの指標ではありません。
これは、お客さまに価値を提供し、その対価として頂戴する貨幣です。
つまり、お客さまの役に立ったかどうか?を表す指標なのです。
そのお客さまの役に立つ価値を提供するのにかかるお金が経費です。
つまり、『お客さまへの提供価値を最大化』し、『そのためにかかる経費を最小化』すること。
この2つが最もシンプルな事業の姿です。
そして生み出した利益が、未来の価値を生み出す原資になり、これがなくなったら単純に会社がなくなる。
つまり『お客さまの役に立てなくなった時点』で、『他社に比べて経費節減の努力ができなくなった時点』で、その会社は世の中から必要でない存在になる、ということです。
ものすごくシンプルで、よくできている構造と思います。
これが経済面のお話。
では一方で、精神面はどのような構造になっているのでしょうか?
精神面とは?
まず土台として、その事業を始めたときの想いや信念=経営理念がベースにあり、その上に社員間の個性の組み合わせによって自然発生的に空気が出来上がり、そのカタチに沿うように機能・組織を編成して役割分担をすることにより商品・サービスを生み出し、それを媒体としてお客さまの心を串刺しにするモデルが上記です。
やはり土台がしっかりしていないと自分勝手に社員間の空気が出来上がり、商品・サービスの位置が不安定になって、安定的にお客さまの心をつかむことはできないでしょう。
その土台はやはり、ヒトとして当たり前に大切にすべき価値観が入っていなければいけません。つまり二宮尊徳さんのいう道徳です。
そしてそれは、TOP自らも大切に守っていかなければならない、会社としての最低限のルール。つまり、国でいう憲法にあたる部分です。
その土台の上に乗りたい人だけが集まって、その土台の上に『お客さまのための集団』という空気感を充満させて組織を編成。
それが安定してお客さまの心に刺さる商品・サービスを量産していく。
これが精神面の構造です。
経済面と精神面のバランスが大切
上記はどちらかが優先してしまうととたんに会社が傾いてしまいます。
なので、この2つのバランスをっていくことがとても重要なのです。
経済面の市場ルールの中で得点を取っていく戦略を、従業員全員で考えることで共有し、精神面というフィールドの中でそれをしっかりと実行していく。
そのことによって、継続的に利益を産み出す=『稼ぐ』ことができるようになるのです。
そのための『仕組みづくり』を企業経営と呼びます。
さて、ではその『稼ぐ』ためのチカラはどのようにつけていけばいいのでしょうか?
『稼ぐチカラ』とはなにか?
『稼ぐ』ためのチカラとは、やるべきことを理解して、それを改善していくことです。
ヒトの仕事は本質的に、『気づく→考える(決める)→行動する』を繰り返す仕組みを高度化させることです。
これはPDCAのシンプル版ととらえてみてください。
PDCAとは、PLAN:計画→DO:実施→CHECK:点検・分析→ACTION:処置・改善 であり、このサイクルを回すモデルを言います。
でもこれって英語での解釈がしやすいよう表現されていますので、少しデフォルメしたいのです。
まずヒトは『気づく』んですよ。
『あれ、これは違うんじゃない?』
『もっと良い方法を思い付いた!』
『このままではよくない』
これはほぼ直感なんだと思います。
自分でも理由がわからないことが多い。
けれど問題に気づけたならどうするか『考える(決める)』
そして決めたならそのまま『行動する』
そして行動すればまた新しい『気づき』が生まれる。
これを高回転化していくことで、仕組みはどんどん進化していく。
もちろん、経済面の論理を背景として、精神面の活動範囲の中で。
それを『稼ぐチカラ』と呼びます。
どうやれば『稼ぐチカラ』が強化できるか?
この『稼ぐチカラ』を強化するには3つの条件が必要です。
1つめは『理想的な姿』を持っていること、です。
このサイクルを高回転化していくためには、『気づく』ことが必要なんです。
一方でこの気づける直感を生み出すにはある条件が必要です。
それは『理想的な姿』を持っていることです。
『本来なら、こうあるべきだ』
『近い将来、こうあって欲しい』
『この職場ならこうなるべきでしょ』
そういった理想を持っていてはじめて
『あれ、これは違うんじゃない?』
『もっと良い方法を思い付いた!』
『このままではよくない』
といった違和感や改善策が生まれます。
その『気づき』が次なるステップを生み出すきっかけを多くつくってくれます。
2つめは『考える(決める)』ための時間と場所があること、です。
従業員全員の意見をすくいあげるヒアリングやアンケート。
それらを把握し、次の改善案を考えて、決定する仕組みがなければ進みません。
なんとなく、気づいたまま時間は過ぎていくだけの職場は多いです。
それはとてももったいないことです。
さらに、いつしかその違和感は薄れていき、慣れてしまい、気づけなくなってしまいます。
ヒトはムダな感性にはフタをするからです。
ね、職場の汚さと同様です。
3つめは『行動する』を評価できる軸があること、です。
何が正しいのか、精神面か経済面か。
そもそも職場の想いや信念=経営理念はどんなもの?
その方向が正しいかどうか判断できる価値基準が必要です。
【『稼ぐチカラ』を強化する3つの条件】 ① 『理想的な姿』を持っていること ② 『考える(決める)』ための時間と場所があること ③ 『行動する』を評価できる軸があること |
この3つの条件を持っていてはじめて『稼ぐチカラ』を強化していくことが可能となります。
業績が安定して向上している企業は意識していなくても、この3つはしっかり確保しています。
業績が下がっている企業は、意識していてもこのどれかが機能不全を起こしています。
これは特に集団だけではなく、たった1人だけの個人事業でも同じことです。
さて、それではその『稼ぐチカラ』を維持・拡大するために、『整理・整頓・清掃』がどのように関わっていくのか見ていきましょう☆
3s活動=『整理・整頓・清掃』が育むチカラとは?
『稼ぐチカラ』を強化する3つの条件の①と③は、一朝一夕で共有できるものではありません。
1日1日の仕事の判断にすべて意識されるまでは長い時間が必要です。
しかしそれを毎日、毎日、一歩ずつ確実に前に進めることができるのが『整理・整頓・清掃』を進める3s活動なのです。
【3s活動『整理・整頓・清掃』が職場に必要な3つの理由】 ① 『理想的な姿』を常に追求する活動であること ② 『考える(決める)』ための時間と場所をつくる活動であること ③ あらゆる『行動する』を評価する機会があること |
整理をすることによって大きな判断が下されることで、職場の評価軸を体で感じることができます。
整頓を進めるには自らが考え、改善していく仕組み(時間と場所)を構築します。
そして清掃で、理想的な姿の共有とその追求を進めることができます。
つまり、3s活動=『整理・整頓・清掃』を進めることで、『稼ぐチカラ』を強化する3つの条件を整備することが可能となるのです。
誤解がないように言及しますが、もちろん3s活動=稼ぐチカラではありません。
3s活動を進め方≒稼ぐ施策の進め方 なのです。
その稼ぐための組織的素地を育成するのに多いに役立つのです!
逆に言えば、3s活動さえできないのであれば、稼ぐことは難しいでしょう。
いくら稼いでいても3s活動ができない組織的実力なのであれば、維持・安定は困難です。
そうなんです。
3s活動=『整理・整頓・清掃』は、単なる美化運動ではないのです。
本質的に職場の『稼ぐチカラ』チカラを育む人材育成ツールなのです。
そのため『プロに頼めばキレイになる』との考えを容認しそうになるのは、まだまだ組織的に真剣に取り組めていない証拠。
つまり、まだ人材育成に対してチカラを加えていない状態と言えそうです。
『整理・整頓・清掃』をしっかり組織的に取り組めば、従業員が自らが仕事人としての品質・品格を磨くことを意識するはずです。
しっかり目的を共有して取り組んでいただきたいと思います。
それでは今日はここまで
今後ともよろしくお付き合いくださいませ☆
長文・乱文を最後まで読んでくださり
いつもありがとうございます♪
すべては企業発展のために
すべてはみんなの笑顔と元気のために