製造業現場のモチベーション向上をコミュニケーション変革でカバーする方法〜コーチング編〜

製造業現場のモチベーション向上をコミュニケーション変革でカバーする方法〜コーチング編〜

製造業の現場は、実際に作業するヒトそのものの集中力や対応力によって、大きく生産性が左右されることはよく知られています。しかし多くの現場では、設備の性能や作業プロセスの見直しには取り組むものの、作業者のモチベーション向上のための組織的なしくみを考えて実装している企業はまだまだ少ないですよね。

そこで今回は、製造業の現場で作業者のモチベーションを向上させるコミュニケーション変革の実態や進め方などについて紹介していくこととしました。

ぜひ今回も読み終えるまでのお時間、しばらくお付き合いくださいませ。

目次

製造業の生産性向上は作業者のモチベーションから

製造業の生産性向上はもちろん至上命題ではあるのですが、ハード的な対策はよく考えられていても、ソフト的な対策はまだまだ手付かずの現場が多いです。私たちが日々の仕事で大切にしているのは、やはり「どれだけうまく、速く、正確に作業をこなせるか」ですよね。でも、これって実は、私たち一人ひとりのモチベーションに深く関わっているんです。

製造業現場における作業者の集中力や対応力の重要性

製造業の現場では、設備や機器がどれだけ最新であっても、最終的には人の手が大切。結局、私たちの集中力や対応力が、その日の生産量や品質を左右します。うまり、作業者一人ひとりがいかに気を引き締めて作業に取り組むかが、結果に直結するわけですね。

モチベーション向上の取り組みが遅れている

でも、実は多くの製造現場で忘れられがちなのが、この「モチベーション向上」。新しい設備を導入するのも大事ですが、作業をする私たちがどれだけ「やる気」になれるかも、同じくらい重要なんです。でも、残念ながら多くの現場では、モチベーション向上に向けた具体的な取り組みがまだまだ不足しているのが現状です。

だからこそ、これまであまり取り組んでこなかったモチベーションを高めるしくみを整えられれば、生産性を大きく上げることも可能なはずですよね。

製造業現場のモチベーションの現状と課題

製造業の現場では、作業員のモチベーションが直接生産性に影響を及ぼします。ではそもそも、なぜ作業員のモチベーションは低下するのでしょうか?そして、それが生産性にどのような影響を及ぼすのか、一緒に考えてみましょう。

製造業における作業者のモチベーションが低下する背景

製造現場での作業は繰り返しが多く、時には単調であることがモチベーションの低下につながることがあります。標準作業はこれだ、と説明をうけてそれを逸脱すると叱られます。これだとやはり窮屈ですし、言われたとおりにやればいいのか、と何も考えないようになってしまいます。また、長時間労働や休日出勤が多いこと、作業環境のストレスなども影響しているかもしれません。これらの要因が重なると、作業者はやる気を失い、仕事に対する情熱が薄れてしまうものです。

モチベーション低下が生産性に与える影響

その結果モチベーションが低下すると、作業の質や速度にも影響が出ます。やる気がないと、注意力が散漫になり、ミスが増えたり、生産効率が低下したり、はたまた気づかずに危険作業をしてしまうかもしれません。また、モチベーションが低いと、新しいアイデアや改善提案が出にくくなるため、生産プロセスの革新も進みづらくなるでしょう。これは誰にとっても、幸せな状況ではありませんよね。

逆にモチベーション向上が生産性に与える影響

一方で、モチベーションが高いと、作業員は集中力を発揮しながら積極的に業務に取り組み、生産性や安全性は大きく向上します。そうすると作業中の情報量も多くなりますから、新しいアイデアが出やすくなり、生産プロセスの改善にも積極的に貢献できる環境を手にします。また、モチベーションが高いと、仕事に対する満足感が増すと同時に、職場の雰囲気もエネルギッシュになります。これらはすべて、製造現場における生産性を向上させるには重要な要素となります。

では次に、具体的にモチベーションを高めるために何ができるかを見ていきましょう。

コミュニケーション変革の必要性

作業員のモチベーションを向上させるには、まずコミュニケーションの変革が必要不可欠です。製造業の現場では、コミュニケーションの質が直接作業員のモチベーションに大きな影響を与えるため、ここではその現状と、改善がどのように役立つかをお話していきましょう。

製造業におけるコミュニケーションの現状

多くの製造業現場では、上下関係が厳しく、一方的な指示や命令がまだまだ主流です。これにより、作業員は自ら意見を述べにくくなり、意思疎通が十分に行われない現場にはよく遭遇します。また、忙しさのあまり、同僚や上司との対話や話し合いがおろそかになることも少なくありません。このような状況は、作業員のモチベーションを下げ、チームとしての協調性も損なわせます。

コミュニケーションの改善がモチベーション向上にどう貢献するか

そこでそんな状況を打破するのがコミュニケーションの変革でう。これまでと違ったコミュニケーションスタイルの変革は、作業員のモチベーション向上に大きく貢献します。クローズでなくオープンスタイルでの双方向コミュニケーションが可能になれば、作業員は自分の意見や新しい発想を自由に表現できるようになり、彼らはより前向きなイメージで仕事に取り組めるようになるため、チーム全体の協力と創造性のレベルが高まります。また、それに加えて適切なフィードバックがあれば、作業員は自分の仕事に対する満足感を感じ、より一層の努力をするようになります。これはご自身に置き換えるとおわかりいただけますよね。

個人的のモチベーションを高めるコーチングの導入

では、これらのモチベーションを向上さえるためには、いったいどんな方法があるのでしょうか?今回はコミュニケーションの改善を実現するための有効な手段のひとつである「コーチング」を紹介していきましょう。

コーチングとは何か?その基本的な原則

コーチングとは、対話によって個人の潜在能力を最大限に引き出すことで、自己実現を促進する支援方法です。これは、一方的な「指導」という手段ではなく、個人の内面に対話を通じてアプローチし、自発的な成長と学習を促します。

コーチングの基本原則には、相手を尊重し、オープンな質問を通じて深い洞察を促し、相手の自己認識を高めることが含まれます。これにより、作業者は自分自身の能力や可能性を認識し、自信とモチベーションを高めることができます。

コーチングの具体的な進め方

製造業現場のモチベーション向上をコミュニケーション変革でカバーする方法〜コーチング編〜
コーチングの運用モデル

コーチングは上記の青字と黒字の5つのキーワードを覚えれば実行できます。まず一番大切なのは①目的です。何が目的なのか、どうなったらいいのか?を対話を通じてみつけていただきます。そして目的が明らかになったら次は②行動です。そのためにどんな行動をとればいいのか?この①目的と②行動の2つの質問が実はコーチングの核心部分になります。

そしてその行動をとった③結果、何が起こったか。この行動と結果によって人間は⑤学習をします。こういう風にすれば結果がでるんだ。あるいはこのやり方では結果がでないんだ、って学習するわけですね。

で、この結果に基づいて、じゃあ次はどんな行動をとるべきなのか?その行動をとったら何が起きそうか?④予測=シミュレーションをしていただくことで、どんどん自分で考える習慣がついてきます。このサイクルをぐるぐる回していくことで相手は成長をしていける、というわけです。

コーチングで重要な勇気づけ

しかし実際にこのサイクルを回していくには、つまり最初は結果が出にくい中で試行錯誤を継続するには一定のエネルギー(勇気)が必要になります。そのためコーチがやるべきことは、相手に質問することと、エネルギーを注入(勇気づけ)すること、の2つの使命があるということなんですね。ではこの5つの勇気づけについてみていきましょう。

勇気づけ①関心、驚き

相手の言っていることややっていることに対して、感心を持ったり驚いたりと、しっかりリアクションをとることで、相手のエネルギーをあげていきます。相手がしゃべっている時に「へー、面白いね」「すごいね」「いいんじゃない?」「どうしてそんなこと思いついたの?」などのリアクションはちょっとなんだかノってきますよね。

勇気づけ②出来ている部分

ヒトはできていない部分に注目するよう訓練されていますが、実は出来ている部分に注目する方が行動力は高まります。「できていない部分もあるけど、逆に出来ていることもあるよね」「こんなところに結果が出てるね」「こういうこと変わり始めたね」と良かったところをどんどんフィードバックしてあげる、よしまた次やってみようってエネルギーが上がってきますよね。

勇気づけ③プロセス

結果は大切です。でも実は結果だけをフィードバックすると、より安全な目標を設定する心理傾向がある、というわれています。つまりヒトは結果しか褒めてもらえないと、確実に結果が出せるような目標しか設定せず挑戦しないようになってしまう、ということ。「こういうところ工夫してたね」「こんなところを変えてたんだね」とプロセスに注目してあげるとエネルギーが上がります。

勇気づけ④成長、自分らしさ

他人と比較されるとエネルギーは落ちます。「あいつはできているのにお前はできてない」などカチンとくることがあると思います、笑。なので他人と比べるのではなく、過去のそのヒトと比べて成長しているところを見てあげて「ここはよかったね」「ここってあなたらしいよね」などを伝えれば、また取り組むエネルギーはあがっていくはずです。

勇気づけ⑤感謝

人間には貢献欲があると言われています。つまり誰かの役に立ちたいという欲求があるということ。そのため、感謝を伝えてあげると、何か役に立ったなっていう風に感じられてエネルギーが上がっていく、というわけです。「資料を見やすくつくってくれて助かった」「お客さまにしっかり伝えてくれてありがとう」「いい意見を言ってくれて助かった」などぜひ積極的に伝えて下さい。

製造業現場でのコーチングの適用方法

製造業現場でコーチングを適用するには、まず管理職やリーダーがコーチングの技術を学び、実践することが大切です。彼らは、日々の作業の中で、作業者に対して励ましや適切なフィードバックを提供し、目標設定をサポートすることで、作業者の自己肯定感を高めます。また、作業者が直面している問題について共に考え、解決策を探ることで、チーム全体の問題解決能力を向上させることが可能になります。このようにして、作業者一人ひとりのモチベーションを個別にサポートすることで、製造現場全体の生産性と効率を高めることができるのです。

コーチングによるモチベーション向上の事例

では製造業の現場でコーチングを導入することによって、作業者のモチベーションがどのように向上し、それが生産性にどのような影響を与えるのか、具体的な事例を見ていきましょう。

実際の製造業現場でのコーチング導入事例

ある電子機器製造会社では、従業員の自己実現と職場での成長を促進するためにコーチングを導入しました。管理職はコーチングのトレーニングを受け、日常の業務でこれを実践。具体的には、作業員に目標を設定させ、定期的なフィードバックと共に彼らの進捗をサポートする方法を採りました。これにより、作業員は自らの成長を感じ、より積極的に業務に取り組むようになったんです。

コーチングが生産性向上にどのように寄与したのか

ではこの事例の場合、コーチングが生産性向上にどのように寄与したんでしょうか。この取り組みの結果作業員は、自分の業務に対する自信と手応えを強く感じるようになり、仕事に対する意欲が高まったと言います。その結果、生産現場ではエラーの減少、作業時間の短縮という結果が表れてきて、全体の生産性が大幅に向上しました。また、作業員からの改善提案も増え、業務プロセスの改善にも繋がっているとのこと。この事例から、コーチングが作業者のモチベーション向上により、生産性の向上にも直接的な影響を与えることがよくわけりますよね。

実践的なコーチングテクニック

製造業の現場でコーチングを導入する際、実践的なテクニックが非常に重要です。ここでは、具体的にどのようなテクニックが有効か、またそれを使ったコミュニケーションの例を見ていきましょう。

製造業現場で実践可能なコーチングテクニック

  1. 目標設定の支援: 作業者に短期・中期・長期の目標を自ら設定させ、その達成に向けたプランニングを支援します。
  2. オープンエンドの質問: 「どうしたらもっと効率よく作業できますか?」のようなオープンエンドの質問を使って、作業者自身で考えて、解決策を見つけていただきます。
  3. ポジティブなフィードバック: 小さな成功でも認め、積極的にフィードバックを行うことで、作業者の自信とモチベーションを高めます。

質問力や聴く力を活用したコミュニケーションの具体例

  • 質問力の例: 「この工程で工夫していることは何ですか?」といった具体的な質問を通じて、作業者の考えを引き出します。
  • 聴く力の活用: 作業者が話している間は、全ての注意をそこに集中し、話に耳を傾けることで、作業者が自分の意見が価値あるものと感じるようにします。
  • 相槌と要約: うなづきや「なるほど」「確かに」といった相槌を使い、話の要点を要約して示すことで、作業者が理解されていると感じるようにします。

これらのテクニックを使うことで、製造業の現場では作業者一人ひとりのモチベーションを高め、結果として全体の生産性向上に繋げることができるようになります。

まとめ:製造業現場のモチベーション向上

製造業現場でのモチベーション向上にコーチングを活用する方法はいかがだったでしょうか?つまりコーチングはコミュニケーションの在り方のひとつです。つまりあなたが製造業の現場で働く一員であれば、今日からでも変化を起こすチャンスがあるということです。

コーチングの手法は、複雑な理論や難しい技術を必要としません。大切なのは、作業者一人ひとりが持つ潜在能力に目を向け、その力を引き出すこと。そして、それはあなた自身から始めることができます。

まずは、身近な同僚や部下に対して、彼らの意見や考えを聞いてみてはいかがでしょう。彼らが何を思い、どのようなことに悩んでいるのか理解することが、最初の一歩です。そして、彼らの意見を尊重し、一緒に目標を設定し、達成に向けてサポートすることで、チーム全体のモチベーションと生産性は自然と高まっていきます。

製造業の現場は常に変化し、進化し続けています。その変化の中で、あなた自身が積極的な役割を果たすことで、より良い職場環境を作り出し、生産性を向上させることができます。ぜひその一歩はこの記事を最後まで読んでくれたあなたから。

 もし、確認したいことがあれば以下まで気軽にZOOMでの無料相談をお申込みいただければと思います。

 滋賀県よろず支援拠点> https://www.shigaplaza.or.jp/yorozu/contact

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 それでは今日はここまでです。今後とも宜しくお付き合い下さい☆
 長文乱文を最後まで読んでくださりいつもありがとうございます♪
 すべては御社の発展のために、すべてはあなたの笑顔のために

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この記事を書いた人

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。10年間で600社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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