毎日忙しく働いている工場の現場で「探す時間」 ほど無駄なものはありませんよね。

あれ、あの工具どこ行ったっけ?



部品が見つからない!納期に間に合わないぞ!



在庫の山!これ、全部必要なのか?
普段、現場で仕事をしていると、理由のわからない異常な状況にふと違和感を感じてしまうことがあるのに、ついつい忙しいので、と見逃してしまうこともあると思います。
そんな時でも、大丈夫!
5S活動さえしっかり取り組んでいれさえすれば、その中でも特に重要な整頓を徹底すれば、これらの問題は解決できるんです。
しかも、5S活動の中でも「3定(定位・定品・定量)」 をしっかり意識すれば、効果は絶大です。
- 工具や部品がすぐに見つかる!
- 無駄な在庫が減って、スペースも広がる!
- 作業効率がアップして、残業も減らせる!
- ミスが減って、品質も向上する!
5sに取り組んでいる現場は、そんなメリットを生み出せています。
でも本当にそんな現場ってあるのかな?って気になりますよね。
そこで今回は、工場で働くあなたに向けて、 5S活動と3定を活用した整頓術 をわかりやすく解説します。
ぜひ今回も読み終えるまでのお時間、しばらくお付き合いくださいませ。
5S活動って何?改めておさらい!
それでは改めて、5S活動とはなにか?シンプルにおさらいしておきましょう。
5S活動の基本を理解!目的・効果から5つの要素まで簡単に解説
5S活動って、聞いたことはあるけど、実際何をするものなのか、よくわからない!って人もまだまだ社内にいるかもしれません。その方に説明してあげて欲しいのです。
簡単に言うと、5S活動とは、職場環境を改善するための活動 です。
「整理・整頓・清掃・清潔・習慣(しつけ)」という5つの要素から成り立っていて、それぞれの頭文字を取って5S活動と呼ばれています。
5S活動の目的と効果
5S活動をすると、どんな良いことがあるのか?そのメリットを挙げると以下のとおりです。
- 無駄な時間やコストの削減
- 作業効率の向上
- 品質の向上
- 安全性の向上
- 従業員のモチベーション向上
- 顧客満足度の向上
など、たくさんのメリットが期待できます。
5S活動の5つの要素
そんなメリットの多い5S活動を構成する5つの活動を、それぞれ詳しく見ていきましょう。
- 整理活動: 不要なものを処分して、いくら探しても不必要なモノが見つからない状態にする
- 整頓活動: 必要なものを必要な時にすぐに取り出せるようにする
- 清掃活動: 職場におけるキレイな状態にして維持する
- 清潔活動: 上記の3S=整理・整頓・清掃レベルを維持するための未然防止策を考える
- 習慣(しつけ)活動: 上記で決められたルールを徹底して守り、習慣づける
なぜ整頓が重要?コスト削減・時間短縮・品質向上への効果を解説
5S活動の中でも、特に整頓は、工場の効率化に直結する重要な活動です。
整頓がもたらす現場へのメリットは、
- 探し物時間の削減
- 作業スペースの確保
- 在庫管理の効率化
- 作業ミスの削減
- コミュニケーションの円滑化
など、多岐に渡ります。
整頓がもたらす具体的なメリット
整頓によって、工場の現場では、
- 工具や部品がすぐに見つかり、作業がスムーズになる
- 無駄な在庫が減り、スペースが広くなって作業効率がアップする
- 作業ミスが減り、品質が向上する
などのメリットが期待できます。
コスト削減と時間短縮へのインパクト
整頓は、単に職場を整えるだけでなく、コスト削減 や 時間短縮 にも大きく貢献します。
- 探し物をする時間が減れば、それだけ人件費を削減できます。
- 在庫管理が効率化されれば、過剰な在庫を抱えることによるコストを削減できます。
- 作業ミスが減れば、不良品による損失を減らすことができます。
このように、整頓は5s活動の中でも、工場の収益向上に大きく貢献することができる活動だと言えるでしょう。
3定(定位・定品・定量)で整頓をどんどん進めよう
5s活動の最初の活動である整理活動が終わって、必要なモノだけが残った工場。でも、床に工具が散乱していたり、棚に部品が雑然と置かれていたりしたら、まだまだ効率的とは言えませんよね。そこで重要になるのが、整頓を効率的に進めるための「3定=定位・定品・定量」です。
で探す時間を激減!工場の整頓術③-1024x869.png)
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3定とはモノの置き場所を決める「定位」、必要なモノがちゃんと置かれている状況を見える化する「定品」、そして適切な量を維持管理する「定量」を指します。この3つを意識することで、工場の整頓レベルは格段に向上し、作業効率アップやコスト削減に大きく貢献するでしょう。
定位:すべてのモノの帰る場所を決める
「あれ、あのスパナどこいった?」「昨日までここにあったはずの部品がない!」、あなたの工場ではそんな声が聞こえてきそうでしょうか? 定位置とは、まさに、工場にあるすべてのモノに「帰る場所」を決めてあげることです。工具や部品、書類など、それぞれのモノに住所を与え、使い終わったら必ずその場所に戻すようにすることで、探し物をする時間を大幅に削減することができます。
例えば、工具箱に工具のシルエットを描いて、使ったらそのシルエットにぴったり戻すようにする。部品棚には、部品の写真を貼って、誰でも迷わずに収納できるようにする。そうすることで、誰でもすぐに必要なモノを見つけ出すことができ、作業がスムーズに進みます。
モノの帰る場所=定位を決めると、モノを探す時間を削減できるだけでなく、作業スペースを有効活用できる、在庫管理を効率化できる、作業ミスを減らせる、安全性を高められるなど、多くのメリットが生まれます。
分かりやすい定位を作るための工夫として、カラーラベルを使って使用頻度や緊急度でモノを分類したり、デジタルツールを活用して在庫管理を行うことも有効でしょう。
定品:正しくモノが置かれている状態がわかるようにする
定品とは、帰る場所が決まったモノが、しっかりその場所に置かれている状況が、誰が見てもすぐわかる状態を指します。間違った場所に、正しくないモノが置かれていたら、ひと目でわかるためには、しっかり置き場所に何が置いてあるのか、表示していなければなりません。
たとえ今日入社した新人でも、表示してある部品置き場に、まったく関係のない工具が置いてあればひと目でわかります。表示がしてあれば、正しく置こうと誰もが思いますよね。
定品を徹底すれば、置き場所を守るルールを周知させることにつながり、決めた置き場所が守られるようにできます。つまり置き方の標準化を図るための、有効な手段と言えるでしょう。
定量:適切な量を維持!在庫の見える化でムダを排除
ネジやボルト、グリスやオイルなど、工場で使う消耗品って、意外と種類が多いですよね。これらのモノは、不足すると作業が止まってしまい困りますが、かといって過剰に在庫を抱えても、保管スペースや管理コストがかかり、無駄になってしまいます。
定量とは、モノの量を決められた範囲内に保つことです。工具や部品、消耗品など、工場で使用するすべてのモノについて、適切な在庫量を設定し、常にその範囲内に収まるように管理することで、無駄をなくすことができます。
定量管理を徹底すれば、在庫切れによる作業の遅延を防ぐだけでなく、過剰な在庫によるコスト増加を防ぎ、スペースを有効活用することができます。また、品質劣化のリスクを減らし、在庫管理を効率化することも可能です。
定量管理を行うには、まず適切な在庫量を設定し、在庫状況を見える化することが重要です。そして、発注点を設定し、適切なタイミングで発注を行うようにしましょう。在庫状況を見える化するために、カンバン方式や在庫管理システムなどを活用するのも効果的です。
このように3定(定位・定品・定量)を意識して整頓を進めることで、工場の現場はより効率的になり、コスト削減、時間短縮、品質向上など、様々な効果が期待できます。ぜひ、あなたの工場でも3定を実践し、より快適な職場環境を作っていきましょう。
現場で役立つ!3定(定位・定品・定量)実践テクニック
3定の考え方を理解したところで、次は具体的な実践方法を見ていきましょう。ここでは、工場の現場で役立つ3定の実践テクニックを紹介します。
収納のコツ:ラベリング、カラーラベル、棚卸しでスペースを最大限に活用
限られたスペースを有効活用するためには、収納方法にも工夫が必要です。まず、すべてのモノにラベルを付けましょう。ラベルには、品名、数量、保管場所などを記載することで、誰でもすぐに必要なモノを見つけ出すことができます。
さらに、カラーラベルを活用すれば、視覚的にモノを分類することができ、より効率的に管理できます。例えば、使用頻度が高いモノには赤、低いモノには青といったように、色分けすることで、必要なモノをすぐに取り出せるようになります。
棚卸しは、定期的に行い、在庫状況を正確に把握しましょう。棚卸しによって、過剰な在庫や不足しているモノを把握し、適切な発注や処分を行うことができます。
また、収納グッズを活用するのも良いでしょう。工具箱や部品ケース、ラベルライターなど、5S活動に役立つ収納グッズはたくさんあります。これらのグッズをうまく活用することで、より整理整頓された状態を保つことができます。
さらに、近年では、デジタルツールを活用した在庫管理も普及しています。バーコードリーダーやRFIDタグなどを活用することで、在庫状況をリアルタイムに把握することができ、棚卸しの手間を大幅に削減することができます。
職場環境の改善:3定を意識したレイアウトで快適な作業スペースを構築
3定を意識した職場環境を作ることも重要です。作業スペースは、作業動線を考慮し、3定に基づいてレイアウトを工夫しましょう。
例えば、使用頻度の高い工具や部品は、作業場所に近い場所に配置することで、移動距離を減らし、作業効率を向上させることができます。また、通路を広く確保することで、移動がスムーズになり、作業中の事故を防ぐことにもつながります。
整理整頓を心がけ、不要なモノは置かないようにしましょう。整理整頓された清潔な環境は、従業員のモチベーション向上にもつながります。
チームで取り組む:チェックリスト、活動記録で継続的な改善を促進
5S活動は、一人で行うものではなく、チーム全体で取り組むことが重要です。そのためには、5S活動の推進体制を構築し、役割分担を明確にする必要があります。リーダーは、メンバーの意見を聞きながら、活動計画を立て、進捗状況を管理しましょう。
チェックリストを作成し、5S活動の項目を一つずつ確認していくことで、漏れや抜けを防ぐことができます。また、活動記録をつけることで、改善状況を把握し、次の活動に活かすことができます。
さらに、従業員一人ひとりが5S活動の意義を理解し、積極的に取り組めるように、教育や研修を行うことも重要です。3定を定着させるためには、継続的な教育と研修が不可欠です。
これらの実践テクニックを参考に、3定を工場の現場に定着させ、より効率的で快適な職場環境を構築していきましょう。
3定(定位・定品・定量)整頓術で得られる3大メリット
3定(定位・定品・定量)を徹底した整頓術を実践することで、工場の現場にはどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、3定整頓術によって得られる3つの大きなメリットを紹介します。
探し物時間の削減:ムダな時間をなくす
3定の中でも特に「定位」を徹底することで、モノを探す時間を大幅に削減することができます。必要なモノが決められた場所にきちんと置かれている状態であれば、探す手間が省け、作業をスムーズに開始することができます。
これまで探し物に費やしていた時間を、本来の作業に充てることができるようになるため、生産性の大幅な向上が見込めます。
また、探し物をするストレスから解放されることで、従業員のモチベーション向上にもつながります。ストレスの少ない、働きやすい環境を作ることは、従業員の定着率向上にも役立ちます。
作業ミスの防止:品質向上と安全確保
3定を徹底することで、作業ミスを減らし、品質向上と安全確保にも貢献することができます。
「定品」によって、必要なモノが必要な場所に必要なだけ置かれている状態を維持することで、作業に必要なモノが揃っているかを一目で確認することができます。これにより、モノの不足や取り間違いによるミスを減らすことができます。
また、「定量」によって、工具や材料の数量を適切に管理することで、過不足によるミスを防ぐことができます。
さらに、3定によって作業環境が整理整頓されることで、作業スペースが広くなり、安全な作業環境を確保することができます。
コミュニケーションの活性化:情報共有をスムーズに
3定は、コミュニケーションの活性化にもつながります。
「定位」を徹底することで、誰でも必要なモノの場所がわかるようになり、情報共有がスムーズになります。例えば、新しい従業員が入社した場合でも、定位置が決まっていれば、すぐに必要なモノを見つけることができ、スムーズに作業に慣れることができます。
また、「定品」によって、置くべきモノをはっきりさせることで勘違いによるモノの戻しミスや、正しい置き場所にないことによる探す無駄な動きを防ぐことができます。
「定量」によって、適切な量の在庫を維持することで、在庫切れによる作業の遅延を防ぎ、チーム全体の業務効率を向上させることができます。
このように、3定(定位・定品・定量)整頓術は、工場の現場に多くのメリットをもたらします。探し物時間の削減、作業ミスの防止、コミュニケーションの活性化など、様々な効果を通じて、工場全体の効率化、品質向上、そして従業員満足度の向上に貢献するでしょう。
5S活動の3定で、工場のさらなる高みを目指す!
3定(定位・定品・定量)を導入し、工場の整頓レベルが向上したら、それで終わりではありません。5S活動を成功させるためには、3定を維持・改善し、継続的に活動を続けていくことが重要です。
3定の維持・改善:継続的な活動
工場の環境や作業内容は、常に変化していくものです。そのため、一度定めた定位・定品・定量も、定期的に見直し、改善していく必要があります。
例えば、新しい設備を導入した際には、その設備に合わせた定位を新たに設定する必要があるかもしれません。また、生産量が変化した場合には、定品や定量を見直す必要があるでしょう。
定期的にチェックリストを用いて現状を把握し、改善点を見つけ出すことで、常に最適な状態を維持することができます。
5S活動の進化形:3定 + α
3定を基本として、さらに独自の工夫を加えることで、5S活動を進化させることもできます。
例えば、定位置にQRコードを貼っておき、スマートフォンで読み込むことで、そのモノの在庫情報や使用方法などを確認できるようにする、といった工夫も考えられます。
また、従業員からの改善提案を積極的に募り、より良い職場環境をみんなで作っていくことも重要です。
5S活動の成功事例:他社の取り組みから学ぶ
他の工場の成功事例を参考に、自社の5S活動に取り入れることは有効で、マンネリ防止にもとても効果があります。
業界別の成功事例
同じ業界の工場の成功事例を参考にすれば、自社の課題解決にも役立つヒントが見つかるかもしれません。
例えば、自動車部品工場では、部品の種類ごとにカラーラベルを分け、定位置管理を徹底することで、ピッキング作業の効率化に成功した事例があります。
また、食品工場では、衛生管理を徹底するために、清掃のチェックリストを導入し、清潔な状態を維持することで、品質向上を実現した事例もあります。
3定導入による成果
3定を導入することで、どのような成果が得られるのか、具体的な事例を見てみましょう。
ある工場では、3定を導入したことで、探し物にかかる時間が半分になり、年間1000万円以上もの人件費削減に成功したと聞きます。
また、別の工場では、定量管理を徹底することで、在庫切れによる生産ラインの停止をなくし、生産効率を約20%も向上させたという事例もあります。これは大きいですよね。
これらの成功事例を参考に、自社の工場に合った5S活動を実践していきましょう。
まとめ:5S活動と3定で、コスト削減を狙う工場の整頓術
さあ、ここまで5S活動と3定(定位・定品・定量)について、詳しく解説してきました。
「うちの工場、ちょっと整理整頓ができていないな…」
「探し物が多いし、在庫管理も煩雑で困っている…」
そう感じていたあなたも、解決の糸口が見えてきたのではないでしょうか?
5S活動と3定は、決して難しいものではありません。
今日から、ほんの少しの工夫と意識を変えるだけで、あなたの工場は劇的に変わります。
まずは、簡単なことから始めてみましょう。
工具箱の中身を整理して、定位置を決めてみる。
使用頻度の高い部品を、取り出しやすい場所に置いてみる。
在庫の量を把握し、適切な量を維持してみる。
小さな一歩が、大きな変化を生み出す第一歩になります。
そして、5S活動と3定は、一度導入したら終わりではありません。
定期的な見直しと改善を繰り返すことで、より効果を発揮します。
チーム全体で協力し、より良い職場環境を築き上げていきましょう。
5S活動と3定で、あなたの工場は、さらに効率的で、働きやすく、そして収益性の高い工場へと生まれ変わるはずです。
さあ、いますぐ行動を起こし、工場のさらなる高みを目指していただければ幸いです。