工場5Sのマンネリを打破!「やらされ感」が「楽しさ」に変わるユニークなアイデア7選

工場5Sのマンネリを打破!「やらされ感」が「楽しさ」に変わるユニークなアイデア7選

いきなりなんですが、現場の「5S=整理・整頓・清掃・清潔・習慣(しつけ)」のこと、どう思ってますでしょうか?

正直なところ、「面倒くさいな」「仕事終わりにやらされる掃除当番」みたいに、うんざりしてしまっていることってあるんじゃないかと思っています。また、なんだか偉い人たちが現場巡回に来るからって、その場しのぎで片付けて、数日経てばまた元通り……。「これ、やる意味あるんかな?」ってね。

もしあなたが、周りの仲間や若い子たちに「ちょっとは片付けようぜ」って声をかけている立場なら、なおさら大変だと思います。「また細かいこと言ってるよ」みたいな顔をされて、自分だけが空回りしているような孤独感。あれ、結構しんどいですよね。

でもね、5Sって本来は「誰かに怒られないため」にやるもんじゃありません。「俺たちが、明日もっと楽に仕事をするため」にやるもんなんです。

必要な工具が一発で見つかればイライラしないし、動線がスッキリしてれば無駄に歩かなくて済む。つまり、自分たちが早く帰ったり、楽をするための「しかけ」づくりなんです。

そこで今回は、堅苦しい「お勉強」の話ではなく「どうせやるなら、面白おかしくやろうぜ」っていう、現場ですぐに試せる「遊び心のある工夫」を7つ、紹介しようと思います。

お金もかからないし、明日からすぐに試せるネタばかりです。 ちょっと休憩がてら、読んでみてください。「これならウチの現場でも笑ってできるかも」って思えるやつが、きっと見つかります。

では今回も読み終えるまでのお時間、しばらくお付き合いくださいませ。

目次

そもそもなぜ、工場の5S活動は「マンネリ化」するのか?

意気込んで「よし、今月から工場をきれいにするぞ!」と始めても、3ヶ月もすればポスターは色あせて、誰も見向きもしなくなる……。

これ、どこの現場でも起きることです。決して、私たち現場の仲間の根気が足りないわけじゃありません。

人間はどうしても「飽きる」生き物なんですよね。

特に、毎日同じ製品を造り、同じ機械を動かしている私たちにとって、変化のない活動はただの「作業」になってしまいがちです。

なぜ、いつの間にか空気が重くなってしまうのか。その原因を少しだけ紐解いてみましょう。

目的が「指摘されないため」になっていないか?

一番の原因はこれです。本来、整理整頓っていうのは「自分たちが楽をして、効率よく稼ぐため」にするはずですよね。

でも、いつの間にか目的がすり替わっちゃうんです。

「来週のパトロールで、偉い人に怒られないようにここを隠しておこう」とか「指摘事項ゼロを目指そう」とか。

こうなると、もう仕事じゃなくて「粗探し対策」です。

現場のみんなも、「どうせ片付けても、また別の場所で文句言われるんだろ?」って気持ちになってくる。これじゃあ、モチベーションなんて上がるわけがありません。

景色が「当たり前」になってしまう怖さ

もう一つは「変化のなさ」です。

毎月同じルートを回って、同じような場所を見て、「ここが汚れている」「表示が剥がれている」と指摘する。

これ、最初のうちは「あ、直さなきゃ」って思うんですけど、何回も続くと脳が慣れちゃうんですよね。汚れている状態が「いつもの工場の風景」としてインプットされてしまう。

こうなると、もう汚れが見えていても「見えていない」のと同じ状態になります。これを打破するには、気合いじゃなくて「目先を変える工夫」が必要なんです。

「義務(やらなきゃ)」を減らして「遊び(やりたい)」を足す

じゃあどうすればいいか。

答えはシンプルで、少しだけ「遊び心」を足してあげることです。

難しい言葉で「ゲーミフィケーション」なんて言ったりしますが、要は「ゲーム感覚」を取り入れるということ。

毎日真剣勝負の現場だからこそ、5Sくらいは少し肩の力を抜いて、楽しむ要素を入れる。

「やらなきゃいけない苦行」から、「ちょっと面白いからやってみるか」という雰囲気に変えるだけで、現場の空気はガラッと変わります。

では次は、実際に現場でやってみて「これはウケたな」という、具体的な遊びのネタを紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

全員参加で盛り上がる!「ゲーム感覚」の5Sアイデア

「仕事場でゲームなんて不謹慎だ!」なんて怒る人は、現場の状況や今の若手の心情をあまり分かってないのかもしれません。

毎日同じ作業の繰り返しだからこそ、少し刺激がないとモチベーションなんて保てない。昔とは世界観が違います。

ここでは、子供だましに見えて実は心理的に「効く」、現場のみんなを巻き込むためのゲーム形式のアイデアを2つ紹介します。

チーム対抗!「劇的ビフォーアフター」コンテスト

テレビ番組みたいに、汚れているところを劇的に変えて、その「変わり映え」を競うやつです。これ、意外と燃えます。

ポイントは、「一番キレイな場所」を競ううんじゃないこと。「一番汚かった場所を、どれだけ見違えらせたか」という「落差(ギャップ)」で勝負を決めるんです。

コンテストの進め方と評価基準

やり方はめちゃくちゃアナログでOKです。

  1. まず、手をつける前の「うわ、汚ねぇ…」という状態をスマホで撮る。
  2. 作業してピカピカになった状態も撮る。
  3. その2枚を並べて印刷して、休憩所のホワイトボードや壁に貼り出す。
  4. 休憩中にみんなに見てもらって、「おお、これはすげぇ!」と思ったチームに、100均のシールを貼ってもらう。

これだけです。

「あそこのチーム、あんなに汚かったのかよ!」なんて笑いが起きつつ、「ここまで変わると気持ちいいな」という感覚をみんなでシェアできるのがミソです。

景品を用意してモチベーションアップ

で、ただ褒められるだけじゃ面白くない。やっぱり「ご褒美」が必要です。

会社から予算が出るならいいですが、出なくても現場レベルでできることで十分。

  • 優勝チームへカップラーメン1箱(全員分)
  • 「金曜日の掃除免除券」
  • 「定時になったら一番最初にタイムカード切って帰れる権」

こういう「地味に嬉しい」「ちょっと笑える」景品があると、若い子たちも「よし、ラーメン取りに行くぞ!」って意外と食いついてくれますよ。

宝探し感覚で!「5Sパトロール・ビンゴ」

「パトロール」って言葉、嫌いな人多いですよね。「また細かいところをチクチク言われる…」って身構えちゃう。

指摘する側も、仲間に対して「ここダメだよ」って言うのは気が引けるものです。

だったら、ダメ出しそのものの視点を変えて「宝探し」と言うイベントに変えてしまいましょう。

指摘するだけのパトロールをやめる

いつものチェックシートを捨てて、代わりに「ビンゴカード」を持って現場を回るんです。

目的は「現場を良くすること」ですが、やる側の気持ちとしては「ビンゴを揃えること」にしちゃうんです。

具体的なビンゴカードの作り方

エクセルか手書きで、3×3のマス目を作ってください。そこに現場の「あるある」を書き込みます。

  • 「賞味期限切れの掲示物」
  • 「床に落ちているボルト」
  • 「置きっぱなしの軍手」
  • 「油汚れで読めないメーター」

パトロール隊は、これを見つけたらマスを埋められる。

普段なら「あー、油汚れてるなぁ(嫌だな)」と思うところを、「おっ! 油汚れ発見! これでリーチだ!」とポジティブな発見に変える逆転の発想です。

ビンゴが揃ったら、そのパトロールチームの勝ち。

結果として、汚れや不備がたくさん見つかるし、見つけた方も「指摘してやった」というより「ゲームをクリアした」感覚になるので、ギスギス感が減るんですよ。

お金をかけずに即実践!「100均・DIY」の工夫ネタ

「現場をキレイにしたいから、専用の工具管理ボードを買ってください」って会社に頼んでも、「予算がない」の一言で却下される。あるあるですよね。

でも、そこで諦めるのはもったいない。今は100円ショップに行けば、工場の改善に使える「神アイテム」が山ほど売っています。

高いカタログ商品よりも、自分たちで工夫して作った道具の方が、使いやすいし愛着も湧くもんです。ここでは、明日ダイソーやセリアに行きたくなる活用術を紹介しましょう。

100円ショップのアイテム活用術

マグネットシートと結束バンドの魔術

工具の「定位置管理(姿置き)」って、専用のボードを買うと結構高いですよね。

あれ、100均の「マグネットシート」と「ホワイトボード」で十分作れます。

マグネットシートを工具の形に切って、ボードに貼るだけ。使った後に「形」が残るから、何が無いか一目でわかる。

あと、地味に使えるのが「強力マグネットフック」と「結束バンド」。

機械の側面とかにフックをつけて、結束バンドで輪っかを作った工具を吊るす。これだけで、作業台の上に散らばっていたスパナがスッキリ片付きます。

ケーブル配線の「空中化」作戦

床を這っているLANケーブルや延長コード、あれ掃除の邪魔ですよね。ホコリも溜まるし、つまずくと危ない。

これも100均の「粘着フック」や「ワイヤーネット」を使って、空中に浮かせてしまいましょう。

壁や機械の側面にフックをつけて、コードを通すだけ。床からモノがなくなるだけで、掃除のスピード(モップがけ)が爆速になります。「掃除が楽になる」と分かれば、みんな協力してくれますよ。

色彩心理を使った「ゾーニングテープ」術

床にラインテープを貼る時、ただ「区切り」として貼っていませんか?

実は、色には「心理的な強制力」があります。

例えば、どうしてもモノを置いてほしくない場所(消火器の前や通路)には、目立つ「トラ柄(黄色と黒)」のテープを貼る。人間、トラ柄を見ると無意識に「ここは入っちゃダメだ」と脳が反応します。

逆に、モノを置く場所は落ち着いた「青」や「緑」で囲む。

言葉で「ここはみ出すな!」って怒鳴るより、テープの色を変えるほうが、黙っていてもルールが守られるようになるんです。

現場の「名もなき場所」に名前をつける

モノが片付かない一番の理由は、「戻す場所が決まっていない」か「場所の名前が覚えにくい」からです。

「第2資材置き場のB棚の3段目」なんて言われても、ピンとこないですよね。

アドレス管理のユニーク化

ここでも少し遊び心を入れましょう。無機質な記号じゃなくて、ユニークな名前をつけるんです。

  • ちょっとした修理をする作業台 → 「緊急手術室」
  • ベテランの〇〇さんがよく使う棚 → 「〇〇さんの秘密基地」
  • 一時的に不良品を置く場所 → 「反省部屋」

バカバカしいと思うかもしれませんが、場所に「名前(キャラ)」がつくと、不思議と愛着が湧くんですよね。

「おい、これ手術室に戻しておいて!」って言えば、新人だって一発で分かります。

「住所」が決まれば、迷子がいなくなる

モノが散らかるのは、モノにとっての「自宅」がないからです。

「住所(定位置)」を決めて、そこに「表札(ネーミング)」を掲げる。

人間と一緒で、帰る家がはっきりしていれば、仕事が終わった後にちゃんと家に帰るようになります。これを徹底するだけで、片付けの心理的な負担はグッと減りますよ。

現場の声が変わった!実際の成功体験談

「そんな子供みたいな遊びで、頑固なベテランたちが動くわけないだろ」

そう思う気持ち、痛いほど分かります。私も最初はそうでしたから。

でも、人間って不思議なもので、「やらされる」のは死ぬほど嫌いでも、「自分の工夫を自慢する」のは大好きなんですよね。

私の知り合いの現場で、実際に空気がガラッと変わった時の話を少しさせてください。

「やらされ5S」から「自慢する5S」への変化

Before:上司が来る前だけ慌てて片付ける日々

その現場は、典型的な「やらされ5S」の工場でした。

「来週、社長パトロールがあるぞ!」って号令がかかると、みんなブーブー文句言いながら、その場しのぎでモノを隠したり、見えないところの汚れを放置したり。

パトロールが終われば、3日で元通り。「仕事の邪魔だなぁ」という空気が充満していました。

Trigger:きっかけは「自作グッズ」の発表会

ある時、担当者が開き直って、「綺麗さはもういいから、自分が楽するために作った道具を見せ合おうぜ」という会を開いたんです。

名付けて「俺の改善自慢大会」。

すると、普段は無口で掃除なんて絶対しないベテランの旋盤職人さんが、

「いちいち油差しを取りに行くのが面倒だから、機械の横にペットボトルでホルダー作ったんだわ」

と、照れくさそうに見せてくれたんです。

After:「俺が作ったこの場所を見てくれ」

それがきっかけでした。

「あ、それいいな。俺も真似しよう」「俺なんて、100均のマグネットでこんなの作ったぞ」と、連鎖反応が起きたんです。

結果どうなったか。

現場のみんなが「俺の持ち場を見てくれ」「俺の工夫を見てくれ」と、他人を自分の場所に呼びたがるようになったんです。

人に見せるとなれば、自然と周りも綺麗にするし、何より「維持しよう」という気持ちが勝手に芽生える。

教訓:5Sは「管理」ではなく「創造(クリエイティブ)」だ

この経験で気づきました。

5Sを「ルールを守る管理活動」だと思うからつまらないんです。

「自分たちの城(現場)をカッコよく改造するクリエイティブな遊び」だと再定義した瞬間、それは苦役から楽しみに変わるんです。

まとめ:工場5Sのマンネリを打破するアイデア

長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。

最後に、この記事で伝えたかったことをギュッとまとめておきます。

  • 5Sは「会社のため」じゃなく「俺たちが楽をするため」にやるもの。
  • 「正しさ」や「ルール」で縛るとマンネリ化する。「遊び心」と「変化」が必要。
  • お金をかけなくても、100均グッズとアイデアで現場は面白くなる。
  • 「やらされる」を「自慢したい」に変えるのが、長続きのコツ。

いきなり全部を変える必要はありません。

まずは明日、現場に行った時に「ここ、なんか使いにくいな」と思う場所を一つだけ見つけてみてください。

そして、そこに100均のフックを一つ付けてみる。それだけで、仕事のイライラが一つ減るはずです。

そんな小さな「楽しさ」の積み重ねが、結果として最強の現場を作っていきます。

もし、「ちょっと面白そうだな」と思ってもらえたなら、来週のパトロールを「宝探しビンゴ」に変えてみませんか?

いつものチェックシートを一度机にしまって、ゲーム感覚で現場を回ってみてください。きっと、現場のみんなの表情が、いつもと変わってくるかもしれません。

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この記事を書いた人

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。10年間で600社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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