抜取検査とは何か?抜取検査のメリットとデメリットと作り方について

抜取検査とは何か?抜取検査のメリットとデメリットと作り方について

QC活動は品質の維持・向上が目的です

お客さまへ価値を提供するのが
我々企業の役割であるなら
品質管理とはその提供する価値を
確かなものにするための活動だと
言うことができるでしょう

そこで品質上の砦となる検査で
よく活用される抜取検査とは
いったいどのようなものか?
そのメリットやデメリットについて
今回はお話していこうと考えます

 

目次

品質保証上の検査という位置づけ

ものづくりを2つの要素に分けるなら
付加価値そのものである「もの」
それを作る活動を表す「づくり」
分けることができます

実はこの2つにわけてみることで
とてもすっきりと全体の輪郭が
見えやすくなってきます

製品を造って市場に供給するときに
「不良をつくらない」
「不良を流さない」
仕組みをつくることが
品質管理活動の基本です

この活動はものづくりにおける
「づくり」に該当します

工程で品質をつくりこんで
不良が流出しないようにすることは
品質保証活動においてとても重要です

それを満たすための機能的な役割を
検査という工程の関所が担います

 

実は一方で検査にはもうひとつ
重要な果たすべき機能があります

製品がどのような状態であるか
そんな貴重な情報を獲得できるのです

つまり単に製品の良否判定や
ロットの合否判定をするだけではなく

「フィード・バック」
検査結果を前工程に情報を戻して
「不良をつくらない」ようにしたり

「フィード・フォワード」
製品の状態を次工程に知らせて
「不良を流さない」ようにします

つまりものづくりにおける
「もの」を確かなものにするための
重要な情報発信源となるわけです

そんな検査には大きく分けて
抜取検査と全数検査に別れます

 

抜取検査と全数検査との違い

全数検査では、ロットの全数について
その製品の1つ1つを検査します

全数検査で不良を完全に取り除ければ
その製品品質は要求を満たせます

しかし、ネジやナットのように
安価で細かい部品(数の多い部品)で
時間と費用をかけて全数検査するのは
経済的でも現実的でもありませんよね

特に電子部品の寿命試験や
伸銅材の引張試験などのように
その製品を壊したり
価値が無くなる検査方法では
全数検査を行うことはできません

このような場合に
製品の中からサンプリングを行い
製品特性を把握する
抜取検査を行なうのです

 

抜取検査とは何か?

抜取検査とは
ロットから製品を抜き取って調べて
その結果をロット判定基準に照合して
そのロットの合否を判定する検査です

全数検査よりも検査個数が少ないため
検査費用と時間が少なくて済み
経済的であり、現実的です

しかし一方で
ロットからの抜き取りであるため
サンプリングの状態によっては
偏った特性を示す場合があったり
検査に合格したロットの中に
全く不良品がないとは断言できません

 

また、抜取り具合(数、頻度など)で
良いロットを悪いロットと判断したり
その逆の場合も発生してしまいます

そのため品質レベルを確保するために
統計的なテクニックを活用します

具体的には
全体の不良や不具合の混入具合が
狙った範囲以内で許されるように
確率を用いてロット単位の抜取数や
ロットの合否基準を設定します

ま、合理的に判断できるなら
全て見なくてもいいですよねっていう
妥協案だというわけです

 

抜取検査のメリットとデメリットについて

もちろん抜取検査には
メリットもデメリットもあります

それぞれ見ていくことにしましょう

 

抜取検査のメリット

抜取検査のメリットとはやはり
全数検査に比べて負荷が低いことです

全数検査には検査時間を必要ですし
検査によっては商品そのものの
機能を低下させることもあります

そのため、統計的に許される前提で
検査の数や頻度を減らせることが
抜取検査の最大のメリットです

 

抜取検査のデメリット

逆に許される程度の検査の数や頻度を
統計的に計算する知識と手間が必要

それとやはりいくら統計的に
合理的な検査ができていても
想定どおりの範囲で収まるかどうか
保証まではできない点があります

そのため
許容できない不具合が発生した場合は
クレームに発展する恐れがあります

怖いですよね

では、抜取検査体制の作り方について
ご紹介していきましょう

 

抜取検査体制の作り方

抜取検査体制の設計はシンプルに考え
生産者側(売り手)と
消費者側(買い手)との立場を
よく考慮したうえで
組み立てる必要があります

それは以下の4つのステップで
体制づくりを進めます

【抜取検査体制の作り方の4ステップ】
STEP1:検査する場所を決める
STEP2:検査するデータを決める
STEP3:検査の合格基準を決める
STEP4:抜取検査の形式を決める

ではそれぞれについて
詳しく説明していきましょう

 

STEP1:検査する場所を決める

まず最初のステップは目的別に
どこで検査を実施するのか?
最適な場所を検討して決めます

ここでは大きくわけて
受入検査、工程検査、出荷検査の
3つに分類した検査場所を
詳しくみていきましょう

 

検査場所1:受入検査

受入検査とは原材料が納入されたとき
不純物が混入していないかを
判定するために行う検査です

原材料を調達した買い手の立場で
売り手と買い手がお互いに
合意した水準以上の品質の製品が
納入されていることを確認する目的を
念頭におきます

 

検査場所2:工程検査

工程検査は加工工程進行中に
加工途中品(仕掛品)を
工場内で検査します

不良品が次工程に
流れることを防止したり
安定して加工が進んでいるかなどを
確認する目的を考えていきます

 

検査場所3:出荷検査

出荷検査では、最終工程で市場出荷前の
完成品を検査します

生産部門が生産した製品を
最終的に買い手の立場に立って
チェックする最終出荷検査です

この結果でもって
製品が市場に対して
品質を保証することを重要視します

 

STEP2:検査するデータを決める

次のステップでは
取り扱う測定データを決定します

サンプルから得られる情報が
不良数など離散的な数値である場合は
『計数値抜取検査』

特性値など連続的な数値である場合は
『計量値抜取検査』となり

それらの分類をすることで
確認・分析する方法が変わるため
測定データがこの2つのいずれなのか
明らかにしておいてください

 

STEP3:検査の合格基準を決める

検査場所と取り扱うデータが決まれば
次に合格基準の決めていきます

この合格基準は以下の4タイプがあり
最適なタイプを選択して決めます

【抜取検査の合格基準の4タイプ】
TYPE1:規準型抜取検査
TYPE2:調整型抜取検査
TYPE3:選別型抜取検査
TYPE4:連続生産型抜取検査

それぞれ簡単に説明していきます

 

TYPE1:規準型抜取検査

良いロットと悪いロットを振り分ける
検査の基本機能をベースとした基準

 

TYPE2:調整型抜取検査

継続して検査にロット提供される場合
品質実績によって
◯なみ検査
◯きつい検査
◯ゆるい検査 の
3種類の検査の厳しさを
適用して分類する基準

 

TYPE3:選別型抜取検査

ロットを抜き取り検査で判定し
もし不合格となった場合には
全数を選別することによって
検査するアイテム数を
最小にしようとする基準

 

TYPE4:連続生産型抜取検査

連続的に製品が製造される場合に
そのまま適用する基準

 

STEP4:抜取検査の形式を決める

最後に抜取検査にも以下の形式があり
もっとも製品の特性にマッチした
形式を選択して採用します

【抜取検査の4つの形式】
形式1:1回抜き取り検査
形式2:2回抜き取り検査
形式3:多回抜き取り検査
形式4:逐次抜き取り検査

この形式についても簡単に説明します

 

形式1:1回抜き取り検査

1回抜き取り検査は
ロットからサンプルを1回抜き取って
合格・不合格を判定する形式です

 

形式2:2回抜き取り検査

2回抜き取り検査は
第1サンプルを抜き取って判定し
ここで判定が付かなかったら
第2のサンプルを抜き取って
その双方の結果でで判定する形式です

 

形式3:多回抜き取り検査

多回抜き取り検査は
2回抜き取り検査の回数を
より多くした形式です

 

形式4:逐次抜き取り検査

逐次抜き取り検査は
多回抜き取り検査をさらに
合否判定できるまで細かくした形式

 

抜取検査とは何か?抜取検査のメリットとデメリットと作り方についてまとめ

このように抜取検査の種類を
組み合わせることで検査体制を
作っていきます

この辺りは実際に
キッチリと運用されている工場は
あまり多くないかも知れません

しっかり勉強していきたいですね

 

 

それでは今日はここまでです
今後ともよろしくお付き合いくださいませ☆

長文・乱文を最後まで読んでくださり
いつもありがとうございます♪

すべては御社の発展のために
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この記事を書いた人

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。10年間で600社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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