IoT導入の実態③中小製造業の生産性向上のあるべき姿
IoT導入の実態③中小製造業の生産性向上のあるべき姿

前章で、今後取り組むべき課題として
中小と大企業との大きな行動の違いは
『カイゼン活動』にある、と
説明をさせていただきました

【関連情報】

やっぱり製造現場って少しずつでも
進化の歩みを進めることが大切で
大企業にくらべて我々中小製造業は
そこがウィークポイントなわけです

『わかっちゃいるんですけどねー』
いや、そのお気持ち、わかります

そこで、本章では中小製造業が
生産性を向上させるためには
どのように「カイゼン」すべきかを
お話していきたいと思います

 

前半部分では、
生産性とは何か、また
生産性向上のための手法について

後半部分では、
リソース面で制約の多い中小に
特に有効と考えられる改善手法を
紹介していきたいと考えます

では今回もしばらく
お付き合いいただければ幸いです

 

1. 生産性向上のための実現手法

(公財)日本生産性本部によれば
生産性の中で最も用いられるのが
労働の視点からみた生産性、
すなわち『労働生産性』です

「労働投入量1 単位当たりの
産出量・産出額」
として表され
労働者1 人当たり、あるいは
労働1 時間当たりでどれだけの
成果を生み出したかを示すものです

成果とは付加価値
つまり社内で付けて加えた価値です

つまり皆さま自身が仕事した量を
金額換算したものが付加価値だと

 

付加価値とは
 生産額(売上高)から原材料費や外注加工費、機械の修繕費、動力費など外部から購入した費用を除いたもの

その付加価値を労働時間で割ると
1時間でどれだけ仕事したか?が
数値表現できるというわけです

こうやって解釈すると
わかりやすいですよねー!

この生産性の測定方法として
物量を単位に測定する「物的生産性」
付加価値が単位の「付加価値生産性」
の2つが存在しています

そのため生産性の向上のためには
「売上高」をあげるか、もしくは
「費用」を下げるか
あるいは両方の実現が必要なんです

この2つの要素に分解したうえで
改善手法との関係を示した例が
下の図です

IoT導入の実態③中小製造業の生産性向上のあるべき姿

 

(1) 売上を向上させるための施策

売上高は「単価×数量」に分解できます

単価つまり売値は
顧客=市場が決めますよね

その顧客が価格決定の要素として
代表格として挙がるのは顧客満足度

でも本当のところは
顧客にとっての満足感を供給側が
定義することって実は難しいんです

一方で商品が産業用途の場合は
〇 品質(Quality)
〇 納期対応力(Delivery)

評価されることは多いですよね

また、納期は供給側のいう
リードタイム(LT)の観点であり
情報LT、加工LT、滞留LT の3つに
分けて考えることができます

なお、売上高の要素である数量には
ボトルネック工程が市場にあるのか
自社内になのかで対応が変わります

しかし数量についての議論は
今回の調査研究事業のテーマから
逸脱することになるので割愛します

顧客満足度の向上のための施策と
改善手法の関係を下図のとおりです

 

施策 改善手法 内容
品質向上 QC活動 第一線の職場で働く人々が継続的に製品・サービス・仕事などの質の管理・改善を行う活動のことで、QC サークル活動、小集団活動とよばれる。活動を通じて、活動メンバーの能力向上・自己実現、職場の活性化を図れることから、人材育成や企業体質強化を目的に行われることが多い。
情報LT短縮 IT活用 顧客から受注して製品を届けるまでのリードタイムのうち、受注や生産計画、発注などの間接業務にかかるリードタイムを短縮するための施策。業務改善と並行してIT 活用により情報を一元管理し、共有することで実現する。
加工LT短縮 IE手法 あらゆる科学的手法を適用し、人・設備・材料・方法の総合的システムの改善と構築を行う手法である。作業研究を基本として、徹底したムダ取りと効率化により競争力を向上させることを狙いとしている。
滞留LT短縮 5S活動 整理・整頓・清掃・清潔・習慣(しつけ)の頭文字をとったものが5S活動であり、あらゆる改善活動の基本となる活動である。製造現場や事務所に物や情報が溢れていると、探したりかわしたりといったムダな作業が発生する。5S活動によりそのようなムダを取り除き、滞留LT 短縮に大きく寄与する。

 

 

 

(2) コストを低減するための施策

工場のコスト(費用)に注目した場合
その内訳は
〇 材料費
〇 加工費(労務費含む)
〇 その他経費
 の
大きく3つに分解できます

各々直接費、間接費があるものの
改善手法との関連を意識する上で
不必要な費目(例えば既に投資した
設備の減価償却費など)の分解は
ここでは行わないものとします

 

材料費について

材料そのものや取引先を変更して
コスト低減が可能な場合と
工程内の歩留まりを向上させることで
コスト低減が可能な場合があります

 

加工費について

人と設備とを各々効率化することで
コスト低減を図ることができます

 

その他経費について

自社の生産プロセスを効率化して
外注支出分を自社に取り込みんで
外注費を削減する

あるいは、徹底したムダ取りにより
動燃費や消耗品費を削減したり
することができます

これらコストを低減するための
施策と改善手法の関係を
以下に示します

 

施策 改善手法 内容
材料変更 VA手法/VE手法 製品やサービスの「価値」を、それが果たすべき「機能」とそのためにかける「コスト」との関係(「価値」=「機能」÷「コスト」)で把握し、システム化された手順によって「価値」の向上をはかる手法。
品質向上 QC活動 前の図表で説明済み
作業効率化
設備稼働率向上
IE手法 前の図表で説明済み
経費節減 省エネ 設備更新による省エネもあるが、製造プロセス改善による省エネもある。製造プロセス改善はIE 手法により実現可能である。

 

2. 具体的な改善手法

生産性を向上させる
施策と改善手法との関係について
これまで説明をしてきました

これらの施策に取り組むためには
そのための人や時間が必要です

でも、中小製造業にとっては
新たな人材の採用を進めるのは
困難だと同時にリスクも伴います

でも実はその対処法があるんです!

前述の改善手法のIE 手法によって
作業のムダ取りを進めることで
改善活動に必要な時間と人を
創出することが可能です

そして創出した時間と人を
売上拡大やコスト低減などの
生産性向上の施策に割り当てれば

結果として付加価値を向上させる

そんなことが可能となるわけです

ま、この調査研究事業では
IoT 利活用による生産性向上を
研究するものではあるのですが

それ以前に事業課題を正しく認識し
費用対効果を考え、優先度をつけて
重点を絞り込んだ改善を行うことも
とても大切なことですよね

そのため本節では
そのような改善アプローチを持って
改善の最も基本的な手法である
IE手法を中心とした
具体的な手法について説明します

 

(1) IE の基本

IE手法の基本である作業研究は
作業そのものや流れの設計改善を
目的とした『方式研究』

ロス時間の排除、及び標準時間の
測定を目的とした『作業測定』
大きく区分できます

『方式研究』
生産過程を図式化する工程分析
作業や動作を観測する動作研究

『作業測定』
作業時間を測定する稼働分析
動作や作業を標準化する時間研究

にそれぞれ分別されます

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典型的なIEアプローチでは
工程分析と稼働分析でムダを把握後
動作研究や時間研究で詳細に分析

以降、IoTの利活用により
製造現場の概要把握に有効となる
工程分析、稼働分析、連合作業分析、
及び分析後の改善の切り口となる
ECRS について説明進めていきます

 

(2) 工程分析

工程分析は、工程の流れを
加工順、時間、方法別などにわけて
ひと目でわかるようにすることです

ムダな工程、停滞を明らかにして
改善のポイントを押さえていきます

具体的な手法である流れ線図の例は
以下のとおりです

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工程は加工、運搬、検査、停滞の
4つ区分することができるのですが
この内付加価値を生むのは加工のみ

それ以外の運搬、貯蔵、停滞は
できる限り排除していく方向性が
改善の基本的な考え方です

貯蔵もしくは停滞から運搬
そして再び貯蔵もしくは停滞などの
流れは特にムダとされるため
優先して改善を進めたいところです

 

(3) 稼働分析

人や設備がどのような作業要素に
どれだけ時間をかけているか

その割合を知ることで
改善点を見つける分析手法を
稼働分析と言います

観測が比較的簡単であるため
全体の問題把握と改善の糸口を
見つけるのに最適と呼ばれています

ここでは稼働分析の中で最も有名な
ワークサンプリング法について
説明をしていきたいと思います

ワークサンプリング法では
ある観測周期(通常は等間隔)で
人や設備の作業・稼働状況について
いくつか記録をしていきます

観測した結果から全体を推測して
比率が高く、かつ付加価値の低い

そんな作業を見つけることで
それらを優先的に改善していきます

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(4) 連合作業分析

人が1 台以上の設備を操作し
作業(連合作業)する時に分析します

それぞれの稼働と非稼働に区分して
それぞれの非稼働をなくすことで
生産性を向上させるための手法です

例えば人が手待ちの間に検査や
仕上げ作業などの作業、あるいは
複数設備を操作できないか

設備段取りを外段取り化することで
設備の非稼働時間を短縮できないか

といった観点で人と設備
の生産性を改善しようとします

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(5) ECRS

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ECRS は改善の切り口であり

  • Eliminate(排除)
  • Combine(結合と分離)
  • Rearrange(入替えと代替)
  • Simplify(簡素化)

の英語の頭文字をとったものです

具体的な検討例を表してみましょう

 

Eliminate(排除)… 作業そのものを無くせないか

  • 一時置きを無くせば、積み下ろしや積み替えがなくせるのでは
  • 本当に必要な検査か?検査そのものを無くせないか

 

Combine(結合と分離)… 同時もしくは別々にできないか

  • 治具や金型を工夫して2 工程を1 回で加工できないか

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Rearrange(交換)… 順番を変更もしくは別のやり方にできないか

  • 加工順を入れ替えて、人による仕上げ作業を自動化できないか

 

Simplify(簡素化)… もっと簡単にできないか

  • メジャーによる寸法計測作業を、規定寸法の治具との比較で良否を判断できないか

尚、検討は E→C→R→S の順番で検討した方が効率的である。

 

3. まとめ

本章では、中小製造業が
生産性を向上させるために
何をどのようにカイゼンするべきか

生産性向上のあるべき姿について
説明を進めてきました
資源面で制約の多い中小企業には
有効で具体的な改善手法として
特にIE手法はお勧めですね

本章で説明した改善手法を踏まえ
次章以降ではIoT導入における
課題や課題解決方法について
説明を進めていきたいと思います

 

もし先に内容が知りたい方は
ぜひ公開している以下のページから
資料をダウンロードしていただければ
全容が確認できますのでご参考下さい

(一社)兵庫県中小企業診断士協会HP

 

 

それでは今日はここまでです

今後とも宜しくお付き合い下さい☆

長文乱文を最後まで読んでくださり

いつもありがとうございます♪

すべては御社の発展のために
すべてはあなたの笑顔のために

 

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