IoT導入の実態②中小製造業に対する現状把握
IoT導入の実態②中小製造業に対する現状把握

IoT利活用の調査を進めるにあたり
まず中小製造業における
全般的な現状を分析していきます

内容的には前半部分で
『生産プロセスの実態』
『中小製造業のニーズ』について
一般的な視点から分析します。

そして後半では今回の研究事業にて
兵庫県内で実施したアンケート結果から
同県内の中小製造業の実態について
分析結果を取り纏めることにします

ちょっと長くなりますが
お付き合いいただければ幸いです
 

生産プロセスの実態

2018年までの我が国の経済は
それまでの緩やかな回復基調を維持

中小企業、小規模事業者についても
業況や資金繰りは回復傾向にあり
また経常利益についてはなんと!
過去最高水準を維持していました

さらに倒産件数は10年減少を続け
1990年以来28年ぶりの低水準

中小企業、小規模事業者を
取り巻く状況は改善傾向でした

 

今考えればメディアやニュースが
流すイメージよりとても良い状況
だったんですね!

 

しかし、我が国人口に目を移すと
2008 年をピークに2011 年以降減少

将来的にも減少が続く見込みとなり
特に人出不足が深刻な状況であり
中小企業の労働生産性が伸びてない

具体的に、我が国の労働生産性は
OECD加盟諸国36か国中21位であり
首位のアイルランドのおよそ半分程度

また、労働生産性上昇率については
36か国中29位と低い水準のようです

 

OECD 加盟諸国の労働生産性と労働生産性平均上昇率(出典:2019 年ものづくり白書)

 

つまり我が国の全企業数の
99.7%を占める中小企業にとって
労働生産性を上げることは
喫緊の課題と言えそうです

 
また、労働生産性と関係の深い
ITリテラシーの必要性を感じる中小企業は
76.5%に上ってます

しかしデータの収集・利活用について
生産プロセスに関する設備の稼働状況等
何らかのデータ収集を行っている
中小製造業の割合は56.8%程度であり
大企業と比べると2/3程度なのです
 

IoT導入の実態②中小製造業に対する現状把握2

企業規模別生産プロセスのデータ収集(出典:2019 年ものづくり白書)

 
さらに、機械稼働状況を見える化し
プロセス改善に取り組む中小企業は
大企業の約半分程度と厳しいうえ

 

今後重点的に取り組む経営課題の
中小と大企業の差が大きい項目は
「カイゼン活動」である

このような課題意識を反映して
中小企業におけるデータの利活用が
大きく期待されていると言えます
 

IoT導入の実態②中小製造業に対する現状把握

企業規模別プロセスの改善に取り組む割合(出典:2019 年ものづくり白書)

 
IoT導入の実態②中小製造業に対する現状把握

企業規模別今後重点的に取り組むべき経営課題(出典:2019 年ものづくり白書)

 

中小製造業のニーズとは

我が国は「ものづくり大国」として
職人や先端技術を取り入れれる能力
現物をうまく擦り合わせる技術
繊細な作業でも強く取り組む勤勉さ
などを強みとしていました

しかし低コスト化した新興国の台頭
国内の労働力人口の減少などにより
製造業の事業者数や従業員数は
大きな減少を見せていいます
 
また現代はIoTやAI活用が必須となる
「第4次産業革命」の時代であり
製造業をとりまく課題の解決法の
理解と習得が求められています

一方で中小企業の経常利益は
過去最高水準を記録しているものの
大企業との生産性の格差は2倍もあり
この差を埋めるための手段として
中小企業の生産性向上は必須です

 

IoT導入の実態②中小製造業に対する現状把握

企業規模別従業員一人当たり付加価値額(労働生産性)の推移(出典:2018 中小企業白書)

 
ではこうした中で
中小企業におけるIoT・AIの活用は
どうなっているのでしょうか?

2019年版中小企業白書(第3部)では
従業員規模別に見た導入状況が
表現されています

これにより中小企業は大企業と比べ
IoT・AI導入に総じて消極的であり
「IoT・AIどちらも導入意向はない」
の割合が半数を超えているようです
 

IoT導入の実態②中小製造業に対する現状把握

従業員規模別に見た IoT・AI の導入状況(出典:2019 年中小企業白書)

 
また導入しない最大の理由が
「導入後のビジネスモデルが不明確」
となっている点が注目すべきところ

IoT導入のためには自社の経営課題を
まず明確にすることが大切であると
いうことが言えそうです
 

IoT導入の実態②中小製造業に対する現状把握

従業員規模別に見た、IoT を導入しない理由(出典:2019 年中小企業白書)

 
次に収集・蓄積データの活用方法は
「既存業務の改善」
「商品・サービスの開発や展開」

2つの方向性に分けらます

「既存の業務改善」への活用は
一定程度進んでいるものの
「商品・サービスの開発や展開」
活用が進んでいないようです

つまり今後、収集・蓄積データを基に
新たな事業展開を検討することが
事業の成長機会につながる可能性が
高いことがうかがえます
 

IoT導入の実態②中小製造業に対する現状把握

従業員規模別に見た、IoT により収集・蓄積したデータの活用状況(出典:2019 年中小企業白書)

 
さらに先進ツールの活用などによる
労働生産性の向上に向けた取り組みが
重要となってきている認識はあるが

自社の売りが「技術」だとの自負から
ツール導入にためらってしまう結果
導入に消極的な場合も多いようです

このような関連情報から類推できる
中小製造業のニーズを具体的に
以下の3つにまとめてみました
 

中小製造業の3つのニーズ
ニーズ1:スマートファクトリーをめざしたい
ニーズ2:「働き方改革」に取り組みたい
ニーズ3:産業用ロボット等を導入したい

 
これはどう意味なのかもう少し
くわしく説明を加えていきましょう
 

ニーズ1:スマートファクトリーをめざしたい

近年、WEB接続した設備やシステムや
センサー管理で生産性向上を目指す
「スマートファクトリー」に
注目が集まってきています

経営者にもその情報は届いていて
自社のビジョンとして設定するなど
導入ニーズは高い状態です

「2018年度ものづくり白書」でも
「自動機・ロボット導入の自動・省人化」
「IT・IoT・ビックデータ・AI活用による
生産工程の合理化等」

大きくクローズアップされています

 

IoT導入の実態②中小製造業に対する現状把握

製造の現場力の強み、および維持・向上に関する課題(出典:2018 年ものづくり白書)

 
またスマートファクトリー化を進めるには
工場規模や業務内容に適した仕様を
構築できる「デジタル人材」は必須で

この人材の輩出には、
①システム思考の導入
②システム知識の習得

の強化が求められるようです
 

IoT導入の実態②中小製造業に対する現状把握

IoT 関連分野において現在不足している人材、5 年後に不足が予想される人材(出典:2018 年度ものづくり白書)

 
デジタル人材の確保育成が難しい場合
外部専門家に依頼することで
スマートファクトリー化や作業自動化を
実現することは可能ですよね

専門家は、生産性向上について
製造工場の専門的な知識や経験を
有しているヒトを選べるため
IT活用を考える場合は積極的に
専門家の活用も検討したいところ

 

ニーズ2:「働き方改革」に取り組みたい

厚労省が進める「働き方改革」
中小製造業にとって関係は深いです

中小企業の課題である人材確保面は
生産性に直結する「技能人材」が
突出して課題認識されています

従来からある「3K職場」であるなど
製造業への先入観を払拭するために
誰もが働きやすい環境の整備が
より強く求められている業界です
 

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確保が課題になっている人材について(出典:2018 ものづくり白書)

 
「働き方改革」に取り組む企業は
職場環境の改善や育児・介護休暇など
多くの工夫をこらし始めてています

さらに、日々の残業時間の可視化し
進捗管理など業務量を調整する
仕組みづくりを進める会社も増加
 
しかし、それも限界があるため
IoT導入によってデータ収集を試みる
企業も増えてきています

ちなみに、人材確保の状況と
データ収集の有無との相関をみると
人材確保に課題がある企業ほど
人手不足対策の一環として
先端ツールの利活用も含めた
合理化を進めているようですね
 

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人材確保の状況とデータ収集の有無との関係を示した図(出典:2018 ものづくり白書)

 

ニーズ3:産業用ロボット等を導入したい

製造業では収益性と生産性の向上は
経営上の基本的目標となります

その中でも労働生産性向上のために
「改善による効率化」に向けての
取り組みが最も多く行われています
 

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労働生産性を向上させるために行っている取り組み(出典:2018 年ものづくり白書)

 
具体的に今後強化したい取組として
単純作業や重労働、危険な作業、
あるいは24 時間作業を行えるなど
作業効率を大幅に向上できる
産業ロボット等の導入による自動化が
やはり筆頭にあがりますよね

 
もう一方ではデータの利活用推進で
新たなビジネスモデル構築の推進も
大いに期待できる方向です

でも実際は「産業用ロボット」
初期投資が大きいことも起因して
中小製造業が単独でロボットシステムを
構築することはとても困難です

なので自社に適したアイテムを
選択していく必要がある点には
注意が必要ですよね

 

中小製造業に対するアンケート結果から抽出したニーズ

県内の中小製造業の実態把握のため
97社にアンケート調査を実行しました

アンケートに回答頂いた企業は
金属部品製造業、非鉄金属製造業、
食品製造業、アパレル製造業、
基板実装加工業など多岐にわたり
売上規模も様々でした
 

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過去 3 年間の売上規模

 
また、ここ3 年の売上高の傾向は
「増加傾向」が 45%と多く、続いて
「横ばい」37%「減少」16%です
 
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過去 3 年間の売上高の傾向

 
増加の理由は、
「新商品・新技術開発」
「新規顧客の開拓」
「製品の値上げ交渉成功
」等です

また、ここ3年の利益の傾向は、
「増加傾向」43%
「横ばい」32%
「減少」23%
となっています
 

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過去 3 年間の利益の傾向

 
増加の理由は
「売上に連動し利益が増加した」
以外にも
「高付加価値製品へのシフト」
「製造費・人件費等のコスト削減」
等が
挙げられていました
 
一方、本来ならば受注したいけれど
余力がなく断っている仕事があると
回答した企業が半数近くありました
 
IoT導入の実態②中小製造業に対する現状把握

本来なら受注したいが、余力がなく断っている仕事の有無

 
つまりはボトルネックを解消すれば
今回回答頂いた半数程度の企業で
売上増が見込まれるということが
わかったわけです

なんだか期待できますよね!
 

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図表 2-17 が「はい」の場合、仮にそれらの仕事を受注した場合の売上の伸び

 
さらに3年後の目指す姿を聴くと
1 位「売上増加」が圧倒的に多く
2 位「利益増加」
3 位「生産性向上」

「既存・新規事業拡大」となりました
 
IoT導入の実態②中小製造業に対する現状把握

3 年後の目指す姿

 

また、その実現のために
現在進めようとしていることは
1 位「新商品開発」
2 位「人材育成」
3 位「販路開拓」
となった
 

IoT導入の実態②中小製造業に対する現状把握

3 年後の目指す姿を実現するために進めようとしていること

 
これらの回答から
まずは売上や利益を増やすことを
重点的に検討していることが
明らかになりました

そりゃそうですよね
 

公的支援機関に対するアンケート結果から抽出したニーズ

続いて、商工会16団体と他2団体に
製造業支援に関するアンケートに
ご協力いただきましたのでそちらも
ご紹介しておきたいと考えます
 

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アンケートに協力頂いた公的支援機関(他 2 団体除く)

製造業支援業務の割合は、
業務全体の「10~20%未満」との
回答が46%を占めました

どうも意外と少ないようです
 

IoT導入の実態②中小製造業に対する現状把握

製造業支援業務の割合


具体的な支援内容は
「職員による個社支援」
「専門家による個社支援」
「補助金申請サポート」

が多く挙げらました
 
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主な製造業支援の内容(複数回答可)

 
一方製造業支援の困りごととしては
「製造業に対する専門知識がない」
という意見が圧倒的に多いようです
 

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製造業支援における困りごと

 
また、「今後実施を検討している」
もしくは「実施したい」支援内容は
「業務効率化・生産性向上」
「ものづくり補助金申請支援」
「展示会出展支援」
「IoTや生産性向上セミナー」など
様々な意見がありました
 
IoT導入の実態②中小製造業に対する現状把握

製造業に向けて、「今後実施を検討している」もしくは「実施したい」支援内容

 
そして、それらの支援内容を
実施するにあたり想定される課題は
「製造業知識がなく課題が抽出不可」
「製造業支援の専門家を知らない」
「支援者側の人手不足」
等の意見が挙がりました
 
IoT導入の実態②中小製造業に対する現状把握

現時点で想定される課題

 
これらの結果から
支援機関として中小製造業に対して
様々な支援を実行しているものの
支援者側の製造業知識が足りず
課題の抽出ができないため
本来行うべき支援ができていない
そんなケースがあることが
わかってきたわけです

ほんと、皆さま困っていたんですね

 

IoT導入の実態②中小製造業に対する現状把握まとめ

今回は中小製造業の現状について
「生産プロセスの実態」
「中小企業のニーズ」という観点で
整理してみました
 
「生産プロセスの実態」からは
労働人口減少が進むなかで
労働生産性の向上が喫緊の課題で
そのためのIT化や改善活動に対して
大企業と比べて進んでいない状況が
よく把握できました
 
また「中小企業のニーズ」からは
スマートファクトリーを目指しながらも
働き方改革に取り組んで
生産性向上を狙いたいという
中小製造業ニーズもわかりました
 
さらに県内の中小製造業や
それを支援する公的支援機関に対し
アンケートで足元の状況を確認

まず中小製造業者は近年
売上高や利益が順調に推移したが
受注を断っている企業が半数も存在

生産性を向上することが
売上や利益の向上に直結する
可能性があることを見出せました
 
また、公的支援機関は
中小製造業に様々支援をしているが
支援者側の製造業知識が足りなくて
課題の抽出が難しい理由から
本来行うべき支援ができていない
そんなケースもわかってきました

これらの結果を踏まえた次章では
中小製造業や公的支援機関に向けて
生産性向上の具体的な改善活動の
手法をまとめてお伝えしていきます
 

もし先に内容が知りたい方は
ぜひ公開している以下のページから
資料をダウンロードしていただければ
全容が確認できますのでご参考下さい

(一社)兵庫県中小企業診断士協会HP

 

 

それでは今日はここまでです

今後とも宜しくお付き合い下さい☆

長文乱文を最後まで読んでくださり

いつもありがとうございます♪

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